彼は思い出に溺れている。



曇り空の下、恋人に会うため、私は小高い丘をゆっくりと登っていた。



私の友達はいう。
「あの人は、昔の恋人のことを忘れられないんでしょう?
それなのにあなたはどうして、そんなに彼を大事にするの。」

恋人同士である、ということは…、

私が彼を愛していて、
彼が私を愛していなければ、

成り立たない関係ではない。



2人の気持ちが全く別の方向を向いていても、恋人同士になるのはそんなに難しくはない。



私の友達はいう。
「それは屁理屈だと思うけれど。」



それはそうかもしれない。
けれど、事実今の私達はそういう関係。



思い出に溺れている彼を見て恋に落ちた。
今の貴方が好き。傍にいてもいい?と尋ねたら、
彼は虚ろな目で頷いたので、私は彼の恋人。



私の友達はいう。
「でも振り向いて欲しいでしょう?
いつまでも、他の人を眺めている人の傍になんていられない。」



確かに時々はこっちを見て欲しくなる。
それは否定しない。



丘の上に建つ古い家。
その家の中で今日も彼は、
思い出に溺れて浅い呼吸を繰り返す。



「来たわ。」



聞いて。
最近ね。
私の声に振り向くようになったの。



私の友達はいう。
「きっともうすぐ、彼は思い出から這い上がってくるでしょう。」



その時に1番最初に掴むのが、
私の手だといい。



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彼も彼女もちょっと病んでる気がする。
私が書く話っていつもそうだな(笑)。

えー、今回のお花は「ローズマリー」でございます。
和名は「万年蝋(まんねんろう)」だそうで…これまた素敵な名前です。
花言葉は「思い出」「記憶」「追憶」「私を思って」「静かな力強さ」だそうです。

他のお花と花言葉は以下の通り↓

榛(はしばみ)…「仲直り」「真実」「調和」「直感」「和解」「一致」
(仲良しが1番です)

金木犀(きんもくせい)…花言葉は10月2日を参照。

梅擬(うめもどき)…「明朗」「知恵」「深い愛情」
(良妻賢母って感じかな?)


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