『愛してるって百回言って』番外編エッチその一 お初編


* * *

 お兄ちゃんに、キスされてる。
 頭の中がボウッとしてくる。
 お兄ちゃんの舌が僕の舌にからんで、強く吸われたら、閉じた目の裏が真っ赤になった。
「んっ、ふっ…」
 苦しくて、お兄ちゃんのシャツをつかんだ。
 お兄ちゃんは、突然唇を離すと、僕の顔を見て
「続きはあっち」
 立ち上がって、僕をヒョイって抱き上げた。
「うそっ」
 僕は、怖くてお兄ちゃんにしがみついた。
 お兄ちゃんは、僕を軽々と抱えて隣の部屋に行く。

 そこは、お兄ちゃんのベッドのある部屋。
 そうっとベッドに下ろされながら、僕は、自分の心臓の音を聞いていた。

 ゆっくりと押し倒されて、着ていたTシャツをまくり上げられた。
 裸の胸にエアコンで冷えた空気が当たってヒヤッとした。
 まだ明るい部屋で、僕をじっと見るお兄ちゃんの目が、一瞬知らない人みたいで怖くなった。
「お兄ちゃん……」
 呼んだらその目がふっと優しくなった。
「白いな。プール、行ってないのか?」
 お兄ちゃんの手が脇腹をすべって、僕は、ビクッてした。
「今年は、まだ行ってないよ。僕の中学、プール無いし」
 くすぐったいの我慢して答えた。
「泳げる?」
 たずねながら、お兄ちゃんは僕の胸にいっぱいキスした。
「んっ、やぁ……」
 お兄ちゃんの頭を退けようとした手を押さえられた。
「な、智也、泳げるの?」
 お兄ちゃんは、クスクス笑っている。笑うたびに、胸に変なふうに息がかかって、ゾクゾクする。
「お、泳げるよ。ちょっとだけ……」
 本当は、あんまり泳げない。
「ふうん」
 胸の先っちょをペロッて舐められて、僕は、あせった。
「やっ」
 舐められた先がすうすうして、背中がゾクゾクする。
 怖いよ。
「やだ、嫌だよ、お兄ちゃん」
 僕がバタバタすると、お兄ちゃんは僕を両手で抱きしめて、押さえるようにして言った。
「今度、海に行こう。一緒に」
「う、み?」
「ああ、海」
 僕が大人しくなったと思って、お兄ちゃんの指がもう一つの胸の先をこすった。
「あっ…ふ…」
 変な気持ち。
「お兄ちゃん……」
 助けて欲しくて呼んだのに、お兄ちゃんは、ますます僕の胸にいたずらする。
 もうおしゃべりもしないで。
「ふ、あ……ん、ん…」
 舌で舐められたり、押しつぶされたり、指先でキュッてつままれたりするたびに、僕の腰がフルフルフルって震えるの。
 どうしよう。
「やだ、変……」
 僕は恥ずかしくて、そばにあった枕で顔を隠した
「コラ」
 枕をどけて、お兄ちゃんが僕の顔を覗き込む。
「可愛い顔、隠しちゃダメだろ」
「う……」
 恥ずかしくって、涙が出そうになった。
 お兄ちゃんは目を細めて、指先で僕の唇をチョンって突ついて身体を起こした。

 そしてお兄ちゃんは、着ていたシャツを脱いだ。
 痩せてるように見えたお兄ちゃんの胸が、すごく分厚くって、僕はビックリした。
 次にズボンも脱いだら、お兄ちゃんのアレがパンツから飛び出して、僕はもっともっとビックリして、それから目が離せなくなった。
 だって、僕のと、全然違うんだよ。
「スケベ」
 お兄ちゃんが、照れたように笑った。
「俺だけじゃ恥ずかしいから、智也も脱いでよ」
 お兄ちゃんが言ったけど、僕は、固まって動けなかった。
 困ったようにお兄ちゃんを見たら、
「じゃあ、脱がせていい?」
 お兄ちゃんの手が、僕のショートパンツのファスナーを下げた。
「やっ、ヤダ…」
 僕は、弾かれたようにその手をつかんだ。なのに、お兄ちゃんは、スルッて僕のパンツを下ろしてしまった。
「恥ずかしいよぉ」
 あそこを隠したくて、モジモジ足を動かしたら、
「何か変にそそられるな。どこでそんなテク覚えた?」
「テクって、なに…ああっ」
 たずねる途中で、僕のアレをお兄ちゃんにつかまれて、大きな声が出た。
「だ、だめっ、そこ、ん、あっ」
 お兄ちゃんが、そのままゆっくり手を動かして、僕は身体を固くした。
 お兄ちゃんの肩にしがみついた。
「ふ、あ…やっ、やだ…」
「気持ちいい?」
 お兄ちゃんに聞かれて、僕は首を振った。
「よくない?」
 コクコクうなずく。ホントは頭が変になるくらい気持ちよかったけど、それ以上に、怖かったんだ。
「…そっか、じゃ」
 お兄ちゃんは、身体をずらして僕の足の間に入った。閉じていた膝を、ひろげられた。
 僕は、一瞬、何が起きたのかわかんなくて。でも、次の瞬間、僕のアレをお兄ちゃんが口の中に入れたんで、ビックリして叫んでしまった。
「やだっ!!」
 上半身で起き上がったけど、お兄ちゃんの腕が僕の腰を押さえていて、それ以上動けない。
「やめてよ、そこ、汚いっ、んんっ」
 お兄ちゃんの舌が、僕を舐める。
 先っちょをくすぐられると身体中がしびれた。
「あっ、ああっ…」
 まるで感電したみたい。
 オシッコする前みたいに身体がブルッて震えて、僕は、本当にお兄ちゃんの口の中に出してしまった。
「やあ……うっ…ふっ…」
 僕は、泣き出してしまった。恥ずかしいよ。
 おもらしした。子供みたい。
「ううっ、う…」
 ポロポロこぼれる涙を、お兄ちゃんが、そっとぬぐってくれた。
「智也」
「ご、ごめんなさ……」
 恥ずかしくて、恥ずかしくて……お兄ちゃんの顔が見れない。
「うっ…ご、ごめ、なっ…」
「謝るなよ。何で、謝る?」
 優しく僕の髪を撫でながら、お兄ちゃんがたずねる。
「汚い…」
「汚くないよ」
「だって、オシッコ…」
「えっ?」
 お兄ちゃんは、目を瞠って、そして吹き出した。
「オシッコじゃないだろ」
 苦しそうに笑う。
 僕は、何がおかしいのかわからなくて、お兄ちゃんの顔を見た。
 涙でかすんで見える。
 笑っていたお兄ちゃんがふっと真面目な顔になって、僕の髪の毛をクシャッと撫でて言った。
「ゴメンな」
 今度は、お兄ちゃんが謝るの?
「智也のこと、オトナにしちまってもいい?」
 お兄ちゃんの身体が、僕に重なった。
 ゆっくり抱きしめてくれる。
 初めて知ったけど、裸でくっつくのって、すごく気持ちいい。
「僕、早く大人になりたい……」
 お兄ちゃんみたいな。

「うん、でも…勿体ないんだよな。智也は、子供のところが可愛いんだから」
 お兄ちゃんは僕の髪の毛に鼻を埋めた。そして
「オコチャマの匂いがする」
 そう言って笑った。
「ぶーっ」
 僕がふくれて見せたら、お兄ちゃんは
「海、いつ行く?」
 機嫌をとるように聞いてきた。
「え?」
 そう言えば、そんな話していたっけ?
「じゃあ、今度の日曜は?」
「平日の方がよくないか? 木曜、俺、仕事無いんだけど」
「うん、いいよ」
「よし」
「そうだ。あのお兄ちゃんから貰った海パンはいて行こう」
「アレは、やめろよ。ガキくさい」
 子供のところが可愛いって言ったくせに。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「続きしないの?」
「う」
 僕の腰に当たっていたお兄ちゃんのが、ビクッて大きくなった。
「人がせっかく話題をそらして、我慢しようと思ったのに」
「なんで?」
「だから、勿体ないって思ったんだよ。……智也が、あんまり可愛かったから」
 ヨイショって身体を起こして、僕の上に覆い被さる。
 お兄ちゃんの熱くなったアレがちょうどお腹に当たった。
「でも、ガマンやめ。せっかく智也が誘ってくれたんだからな」
「お兄ちゃん……」


 そして、このあと、僕はまた一つオトナになった。
 オトナになるって、とっても痛いことだったんだね。





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