《三学期》

「一番、柴犬のブリーダー。二番、喫茶店のマスター。三番、格闘家」
上田が、覗き込んだプリントの文字を読み上げる。
「海堂、お前、間違ってるぞ」
三好が呆れた声を出す。上田は真面目な顔で頷く。
「そうだよ。海堂君なら、喫茶店のマスターより格闘家が先だよ。僕としては、アイドルとかでもいいと思うけど」
「そうじゃなくて。進路希望ってのは、将来なりたいものじゃなくて進学したい大学を書くんだ」
三好が、げっそりして言う。
「そうなのか?」
「何、聞いてたんだ。お前は」
三学期の始まった都立和亀高校2−Bの教室。
明日までに提出という進路希望のプリントをすっかり忘れていた海堂が、慌てて書いているのを覗き込んだ三好と上田。
高遠は、先生に呼ばれて職員室に行っていた。
「大学なんか、今から決めてどうすんだ?受けるの来年の今頃だよな」
海堂がシャープペンシルをくわえて、唇を尖らす。
「馬鹿か、お前は。来年のクラス分けで必要なんだよ。私立文系と国立理系じゃ、勉強する中身がまったく違うだろ」
「クラス分け?」
それは、海堂にとって、青天の霹靂だった。

「高遠っ」
職員室から戻ってきた高遠に海堂が駆け寄る。
「なに?」
「お前、進路希望のプリントどうした?」
「あ……」
実は、高遠は迷っていた。
海堂ではないからこのプリントの意味はよくわかっていた。
そして、自分と海堂の進む方向が、何となく同じでなさそうだということも感じていたのだ。
「もう、書いたのか?」
「うん、あ、いや、まだ……」
「どっちだよっ」
「いや、書いたけど、決めてないってゆーか」
高遠のはっきりしない様子に海堂は眉を吊り上げ、上目遣いに睨む。
「見せろよ」
「だから、まだ決めてないって」
「今書いてあるのを、見せろよっ」
まったくの痴話喧嘩だ。三好はさっさと自分の席に帰って傍観者を決め込んだ。

「第一志望がY大学電子工学部、二番目がF大情報処理……」
高遠から取り上げたプリントを見て、海堂が小さくつぶやく。
高遠はその横に気まずそうに立っている。
「お前、こんなの、いつ決めてたんだよ」
「いつ、って……」
高遠が口ごもると、それをキッとにらんで海堂が叫んだ。
「俺に相談しないで、何で勝手に決めてんだよ」
「相談って」

海堂に進路相談。これほどのミスマッチがあるだろうか。

「別に人に、相談するもんじゃねぇし……まだ自分でもはっきり決めたわけでも……」
と口の中でもごもごと答えたが、その言葉に海堂がキレた。
「なんだよ。お前はそう思ってるんだなっ」
鞄をつかんで、
「わかったよっ。高遠なんか嫌いだ」
捨て台詞とともに教室を飛び出して行った。
「海堂っ!」
ちなみにこの痴話喧嘩、2−Bクラス全員の目の前で繰り広げられている。
「あーあ」
成り行きを見ていた三好が高遠の後ろからとぼけた声を出す。
「今のは、お前が悪いな」
「そうかな……そうだよな、やっぱ」
高遠は、せっかくの男らしい端正な顔を気弱げに歪めて、うつむいた。
海堂に嫌いだと言われたショックはかなり大きい。
三好が、その背中を軽く叩いて言った。
「追いかけてやらないと、余計荒れるぞ」



「……なんだよ。高遠のやつ」
海堂は、悲しかった。
クラス分けがあって、三年になったら高遠と別々のクラスになるかもしれない。
そんな話、今日はじめて知った。
いや、当然知っていないといけない話だが、海堂が真面目にホームルームを聞いたためしは、ほとんど無い。大概寝ていて、あとから高遠や三好に教えてもらう毎日だ。
それでも、こんな大事なことを高遠は何も言ってくれなかった。
その上、自分の進路だけは決めている。
(あいつは、俺とクラスが別々になってもいいと思ってるんだ……)
悔し涙が出そうになって唇をかむ。
凶悪天使海堂も、高遠のことになるとこんなにも簡単に涙腺が緩むのだ。

「海堂」
後ろから肩をつかまれて、海堂は振り向いた。
ものすごく困った顔をした高遠が、立っている。
海堂は追いかけてきてもらえたのが嬉しかったが、素直にはなれない。
「なんだよ。放せよ」
肩に置かれた高遠の手を振り払って、足早に歩き出す。
「待てよ、待ってくれ」
その高遠の声に、海堂はむきになって走り出す。
高遠がそれを追いかける。
校内、全力疾走。
このところ、いちいち目立つ二人だった。
旧体育館の裏の道を抜けて、林に出る。
ようやく高遠が正面に回りこんで、海堂の前をふさいだ。
海堂は、わざときつい目をして見上げる。
「どけよ」
海堂が言うのと、高遠の手が海堂の身体を包み込んでぎゅっと抱きしめるのが同時だった。
「……」
「ごめん、海堂。俺がわるかった」
高遠が、耳元で囁くように謝る。
海堂のきつく結ばれていた口許が緩んでいく。
(いつのまに、こんなワザ覚えたんだよ)
海堂の手がゆっくりと高遠の背中に廻されて、学生服を掴む。
唇が重なった。

「ほんとに、ショックだったんだからな」
長い口づけの後、頬を上気させた海堂が上目遣いで高遠を見上げる。
拗ねた口調と裏腹に、機嫌は直っている。結局、単純。
高遠はやっぱり赤い顔をしたまま、素直にうなずいて謝る。
「うん、ごめん、本当に悪かった」
「俺と、クラス別々でいいなんて、思ってねえよな」
「それは……」
と、高遠が言いよどむと、海堂は再び機嫌を損ねそうになる。高遠は慌てて、
「俺だって、海堂とは一緒のクラスがいいよ、ずっと」
そう叫んだ後、ポツリと続けて言った。
「でも、お前、どう考えても理系じゃねえし……」
高遠の得意な科目は、しいて言うなら数学と物理。海堂は断然体育だが、体育を除けば国語と日本史。母親麻里絵の教えもむなしく英語もさっぱりだが、数学に至ってはログと聞いたとたんに寝るほどだ。
「理系……?高遠、理系に進むのか?」
「俺の頭なら、そっちが適当だろ」
「俺は?」
海堂が、瞳を丸くして、真面目な顔で高遠を見上げて尋ねる。
お前のことだろ、とは言えない高遠。
「海堂は、私立文系か……」体育大とかかなぁと小さく応える。
海堂はその場に固まった。次の瞬間、ペタンとその場に座り込む。
「海堂?」
慌てて、高遠が横にしゃがみこむ。
「じゃ、俺たち、卒業したらバラバラになるのか?」
三年生のクラス分け以上のショックだった。今まで、一度も考えなかったほうが不思議なくらいだが。
「……海堂」
高遠が、海堂の背中に腕を廻して引き寄せる。
海堂はうつむいて黙ったまま。
高遠は座り込んでいる海堂をすっぽり胸に抱くと、唐突に言った。
「覚えてるか?ここ、俺がお前に初告白したところだ」
「え?」
海堂が顔を上げた。高遠が照れて笑う。
「告白って言うのも、変だけどな」
海堂は思い出した。ちょうど今と同じように、へたり込んで座っている自分を抱き寄せて、高遠が『好きだ』と言ってくれた日のこと。
「高遠……」
何故だか急に泣きたくなって、高遠の胸に顔を押し付けた。
高遠の胸は、温かい。あの日と同じ。
海堂は高遠の心臓の音を聞きながら、切ない気持ちになった。
(絶対、離れたくねえ)


* * *

「で?お前の希望もY大学電子工学部とF大の情報処理?」
三好が呆れた声を出す。
「うん」
海堂が大きく頷く。
「無茶なやつだな」
「でも、とりあえずこれでクラスは一緒になるんじゃないの?高遠君と」
三好の横で、上田があっけらかんと言う。
「愛だよねぇ。じーん」
上田の感動はともかく、高遠の気持ちは複雑だ。
海堂の気持ちは嬉しいが、これでは海堂の大学入試が、限りなく不可能に近くなった気がする。
「考え直せよ」
高遠が言うと、海堂は兇悪な目をして睨む。
「俺と一緒が、嫌なのか?」
「そう言うわけじゃ……」
高遠は大きく溜息をついた。


その日の放課後、海堂が珍しく職員室に呼ばれた。
呼び出した担任の藤本は、海堂を職員室の隣の部屋に招きいれた。
進路指導室。
「お前、何で呼ばれたかわかるか」
藤本が、困ったように頭を掻く。
「ぜんぜん」
きょとんと応える海堂を見て、藤本は溜息をつく。脳みそ筋肉の体育教師藤本、普段は結構海堂を気に入って可愛がっている。それだけに、これから言う話は気が重い。
「進路希望のプリント見たんだけどな」
「うん」
「無茶するな」
「何で、先生まで三好とおんなじこと言うんだ」
「いや、担任だから言うんだ」
藤本は、椅子にどっかと腰をおろした。
「お前の頭は、理系じゃない。大学行きたかったら、私立文系にしろよ」
担任の言葉に露骨にムッとする海堂。
「おおきなお世話だ」
「担任の忠告を大きなお世話とは何だ。まがりなりにも、進路指導だぞ」
「担任なら、生徒の自主性とやる気を重んじて、応援しろよ」
「屁理屈だけは、頭が回る。やっぱ文系だよ、お前」
「いやだっ。俺は、絶対理系コースに行く」
「ったく、そんなに高遠ヤマトと一緒がいいのか?」
今では和亀高校の名物カップル、噂は担任の耳にも当然入っている。そんな事でいちいち目くじら立てていては、男子高校の教師は務まらないのだ。
海堂がむうっと頬を膨らませているのを眺めて、藤本が言う。
「とにかく、一生の問題だぞ。一度、親とちゃんと話し合え」
提出したプリントをつき返された。
その場は、しぶしぶ受け取った海堂。
ところが次の日、全く同じプリントが、なんの書き直しも無く藤本の机に置かれていた。


「おい、高遠」
職員室の前を通りかかった時、いきなり呼ばれた。
振り向くと、担任がその大きな身体を縮めるようにして窓から顔を出して、辺りを窺っている。
「先生、どうしたんですか?」
「海堂はどうした?」
「美術室に筆箱忘れて、走って取りに戻っています」
「ちょうどいい。ちょっと来い」
無理やり、進路指導室に押し込まれる。
高遠は、嫌な予感に襲われた。
「海堂のことだけどな」
(やっぱり……)
「お前からも言ってやれ」
「……言いました」
「いくらお前と同じクラスがいいっていっても、その結果、大学どこにも入れなかったらかわいそうだろ。一年間だけの問題じゃないからな」
「……わかっています(俺は)」
今回の海堂の進路希望に、一番頭を悩ましているのは高遠だ。
自分のために、誰がどう見ても無茶な希望を出している。
『愛だね』と単純に感動しているのは上田だけだ。
「とにかく、お前も恋人なら、それらしく、あいつの将来を考えてやれ」
(なんで、担任にまで……)
顔から火の出そうな高遠。
年末の『お父さん挨拶』以降このところ、すごい勢いで公認になりつつある。


* * *

放課後の生徒会室。本田秀一はしみじみと過去の『和亀名物トトカルチョ』の報告書を眺めている。様々な思い出が、走馬灯のようによみがえる。
三年生の本田は、先日行われた新年度生徒会役員選挙で、生徒会長の座を現二年の宮本に引き継いだ。
もうすぐ卒業。丸一年辣腕を揮った生徒会室ともお別れだと思うと、いつになく感傷的になっている。
そこに新聞部部長、いや元部長の牧野が入ってくる。牧野も先日、新聞部の部長を橘に引き継いでいた。
「秀一、やっぱりここにいたのか」
「アツヒロ、どうしたんだ?今日は学校に来る日じゃなかったろう」
大学受験の真っ最中の三年生は、この時期ほとんど登校していない。
「秀一が出ているって聞いたから、さっき来たんだ」
「さっき?」
授業も無い時間に何でまたと、本田が不思議そうに首を傾ける。
「何しに?」
「秀一と最後の学生生活の思い出をつくりに……」
牧野の静かな瞳が本田を見つめる。
「え?」
牧野の手がそっと伸ばされ、本田の秀麗な顔を知的に印象づけている眼鏡をはずそうとした。牧野の指が耳に触れ、本田がびくっとした瞬間。
「会長おぉっ!」
トトカルチョ実行委員坂本が飛び込んできた。
またもや、本田が牧野を突き飛ばす。コンマ二秒の早業。
「じゃ、なかった元会長!」
坂本、興奮気味。
牧野は、壁に貼り付いている。本田は赤い顔で振り返る。
「どうしたんだ?坂本君」
「ファイナルトトカルチョです」
「は?」

《ありがとう!本田会長記念♪和亀名物トトカルチョファイナル!!かっこ今年度》

黒々と油性マジックで書かれた紙には、
《来年のクラス換えは愛し合う二人を引き離すか?!》
和亀名物ラブラブカップルの海堂、高遠ペアが同じクラスになれるかどうかが、関係者のコメントと共に、女性週刊誌並のいいかげんさで書かれていた。
「会長の卒業記念に、今年度最後の大トトカルチョを企画しました」
「…………」
「〆切は早いんですが、本当の結果発表は、先輩の卒業した後になっちゃいます」
てへっと笑う坂本。
それが何故《ありがとう!本田会長記念》になるのか?
さすがの本田にも分からなかった。


* * *

「龍之介、なんか、ママ、学校からお手紙もらっちゃったわよ」
海堂の母親麻里絵がひらひらと封筒をちらつかせる。
「進路のことだって」
「ふうん」
海堂は、リビングのソファにうつ伏せに寝転んだまま、右手にキューキュー鳴く犬のおもちゃを持ってトラノスケとじゃれあっている。床の上をトラノスケがグルグル回る。
「俺、希望変える気ねえからな」
ぼそっと言う海堂に、麻里絵は笑って言った。
「龍之介がいいならそれでいいけど、あなただけ浪人して高遠君が大学生になっちゃったら、悲惨だわね」
海堂の眉がピクリと動いた。
(俺だけ浪人?)
海堂の頭の中に、不吉な図柄が浮かんだ。
大学生になった高遠と三好が二人仲良くキャンパスを歩いている。この場合、三好は国立でたぶん高遠とは違う大学だろうなどという考えは、海堂には無い。
そして自分一人が、浪人生。
ガバッと起き上がって、トラノスケのおもちゃを投げ捨てると、電話に向かった。

高遠家の電話のベルが鳴る。
たまたま風呂上りで玄関近くにいた高遠がとると、切羽詰った海堂の声がした。
「どうしたんだ、海堂?」
驚いて受話器を握りしめる高遠。
「俺、もうダメだっ」
海堂の声が震えている。高遠は慌てた。
「どうしたんだよ。何があったんだ?」
「俺、俺、高遠と一緒に大学生になりたいのに……」
「あ、ああ」
よくわからないが、海堂のただならぬ気配に気圧される高遠。
「高遠っ」
「何だ、海堂」
「俺が、浪人したら、どうする?」
「は?」


二十分後、高遠は海堂の部屋に居た。
「だからさ。海堂は私文にしろよ」
高遠が海堂の顔を除きこむ。
海堂はうつむいて頬をふくらませる。
「クラス、別々になってもいいんだな」
「それは、嫌だけど。でも、卒業してから別々よりはいいだろ」
高遠の言葉に、海堂が視線を上げる。
「理系と文系の学部は違っても、同じ大学に行こうぜ」
高遠が微笑む。海堂の瞳が見開かれて、顔が輝いた。
「同じ大学?」
「うん。ほらどうせ俺たち同じくらいだろ、成績。大学のレベルも変わんないよ」
とたんに、海堂の頭の中に浮かぶ想像。
さっきの高遠大学生バージョンの隣に、三好ではなく自分がいる。
「高遠っ」
高遠に抱きついて、嬉しそうに頬を擦り付ける。
「大学に行っても、俺たち一緒だよなっ」
海堂の言葉に頷いて、高遠はその華奢な身体を抱きしめる。
「あたりまえだって」

高遠の胸の中で、海堂はくんくんと鼻を鳴らす。
「高遠、石鹸の匂いがする」
「ああ、さっき風呂入って来たから、って海堂っ、何すんだよ」
海堂が高遠の膝の上に馬乗りになって圧し掛かる。
「安心したら、ヤリたくなった」
「ばか、海堂っ、下に、麻里絵さんが……」
「ドア、鍵かけてるから、平気」
(いつの間にっ?)
焦る高遠の膝に乗ったまま、海堂は高遠のシャツのボタンをプチプチと外していく。
「や、やばいって」
「んー?」
海堂の瞳は既に欲情してうるうるに潤んでいる。
そういう顔をされると、高遠の理性も風の前の塵(ちり)のごとし。


* * *

「……で、結局F大の社会学部と経済、教育も?」
少々呆れ顔の三好に、海堂は胸をはる。
「ああ、絶対高遠と一緒の大学に行ってやるぜ」
「愛だねぇ。じーん」
またもや感動する上田。高遠は恥ずかしそうに頭をかく。
「Y大は受けないのか?確か、高遠そこも受けるんだったよな」
三好が訊くと、何故か高遠が顔を赤くした。
海堂が唇を尖らせて言った。
「Y大はどっちも家から通えるからな」
「は?」
「F大だったら遠いから、俺と高遠で一緒に部屋借りるの」
「…………」
「昨日の夜、決めたんだよな」
頬を染めて、高遠を見上げる海堂。高遠、真っ赤。
「ごちそうさん」
三好がのっそり立ち上がる。
「あ、待てよ三好」
海堂が三好の腕を掴む。
「何だよ」
「それで、俺と高遠、四月からクラス別々だろ」
「ああ」
「だから、席、換わってくれよ」
「は?」
「俺、高遠と隣の席になることもうねぇだろ。だから」
と、言いながら、既に自分の荷物を机の中から引っ張り出して、三好の机に運んでいる。
「何、勝手なこと言ってんだよ」
三好が慌てる。
「いいじゃねえか。ほら」
海堂は、三好の机から荷物を出して手渡す。
「ほらじゃねえだろ」
「いいじゃん。かわれよ」
「だーっ。かわれよと来たか。もう少し低姿勢に出てくれば考えないことも無かったが、絶対、この席は譲らん」
「え―――――――っ」
海堂と三好のやり取りを、高遠は困ったように見守っている。この分じゃ、来年度クラスが変わっても、海堂は自分の隣に席を作りかねない。
そして、それは嫌じゃない。

昨日の夜、あわただしく身体を重ねた後で海堂が言った。
『大学、家から遠いところにして、二人で住もうぜ。俺、ずっと高遠と一緒にいたい』
まるで、海堂のほうからプロポーズされたようで、ものすごく照れくさかった。
そして、ものすごく嬉しかった。

『うん、海堂。ずっと一緒にいよう。ずっと、ずっと、二人で』




HOME

小説TOP

NEXT