ひろみか☆PLAZA>ものがたりの部屋>サンタクロースの プレゼント4
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それから見た光景を、男の子は一生忘れないでしょう。
サンタ・クロースと男の子を乗せたそりは、クリスマスの夜空をかけめぐり、
サンタ・クロースがふわりとまいたプレゼントは、
静かに眠っているこどもたちの部屋の窓へ
すぅーっと、吸い込まれていくのです。
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「ねぇ、おじ・・・いや、サンタクロースさん!
僕がもらったプレゼントの箱は中がからっぽだったけど、
このプレゼントたちもみんな中はからっぽなの?」
「いいや、ぜーんぶの箱の中に、
あふれるほどのプレゼントが詰まっているんだよ。
いいかい、坊や。よーく、覚えていておくれ。
ほんもののサンタクロースからのプレゼントは、目に見えないものなんだ。」
男の子がふと下を見ると、サンタ・クロースからのプレゼントが届いた家々が
きらきら、きらきらと光り輝いていました。
「あの光は、しあわせの光だ。
あの家に住んでいる家族たちが、しあわせで包まれているあかしなんだ。
そう、わたしからのプレゼントは、
目には見えないけどとってもとっても大事なもの。
信じる心、愛する心を、はぐぐみつづける 『夢』
なんだよ。」
「しんじるこころ・・・あいするこころ・・・」男の子は、つぶやきました。
「人間ってね、」サンタ・クロースは続けました。
「とっても、弱い、生き物なんだ。
ちょっとしたことで、すぐに憎しみやうたがいの心を持ってしまう。
でも、『夢』があるかぎり、人間はやさしくなれるんだ。
信じる心、愛する心を、持ちつづける事ができるんだよ。」
「・・・なんだか、むずかしくて、よくわからないよ」
男の子は言いました。
「今はそれでいいんだ。坊やは、わたしのことを信じてくれるだろう?
わたしを信じていてくれる心があるかぎり、
わたしはずっと、坊やに『夢』を届けつづけよう。
坊やが大人になっても、ずうっとだ。
だいじょうぶ、わたしは死なないよ。
だって、わたしは『夢』そのものだからね!」