3・ちっちゃいけれどいっちょまえ

「ただいまー!」
「おじゃましまーす!」

ラジオ体操の後、家に帰って飯食って、母さんに友達の家に行くっていって、
ジュンの家に遊びに行った。
オレの家のすぐ近くにある、マンションの2階。
こんなに近くにいたのに、どうしてお互いを知らなかったのかが不思議なくらいの場所だった。

「俺すっげーの持ってるんだぜ!見せてやるよ!」

ジュンの部屋には大体オレの部屋と似通った玩具が色々あって。
戦隊ヒーローの人形とか、武器とか、ロボットとか。
あとはサッカーボールとか。

友達の部屋に行くことなんて、もう随分前からしなくなったけど、
実は結構、好きだった。
そいつの好きなものとか、興味あるものとか、性格(意外とマメとか、片付けが苦手とか)とか、
話さなくてもわかるから。
それで、その中に自分が好きなものや、自分によく似たものを見つけたりすると、嬉しくなる。

「あった!見ろ!」

部屋の中を興味津々で見回していたオレに、
ジュンが見せたのは、何と割り箸でできた銃だった。

「うわっ!すごい!何これ!?」

細くて、全体の姿は華奢だけど、
よく見ると割り箸がいっぱい使われてる。

「ねえ、弾は?」
「へっへっへ。これは弾じゃなくて、輪ゴムレーザーが撃てるんだよ!」

そういうとジュンは素早く身を翻し、壁に貼られた的に向かって銃を撃った。
パチン!という小気味良い音と共に、輪ゴムが勢いよく飛ぶ。

すっげーかっこよかった。
そりゃもちろん、オモチャ屋で売ってるヤツに比べたら地味だし、
輪ゴムを飛ばすから撃ち合いとかはできないけど。
でも、引き金を引くと、複雑に組まれた割り箸が動いて、
その動きが何かすごく「それっぽく」見えたんだ。

「いいないいなー!これどうしたの?」
「へへー…おじさんが作ってくれた!いいだろ!」

得意満面とはあの時のジュンみたいな顔なんだろう。

「今度さ、作り方教えてくれるっていってたから!そしたらタカも一緒に作ろうぜ!」
「マジ!?やったっ!」

…それで、その後ホントにジュンのおじさんが作り方を教えてくれた(オレも一緒に習った)から、
オレはそのカッコイイ割り箸レーザーガンを手に入れることができたんだ。
そういえば、あれ、どうしたんだっけな…。

2.へ戻る4.へ続く


ちっちゃいけれどいっちょまえなのは、割り箸の銃のことでした♪
ホントはロボの話にしようかと思ったのですが…。
ちょっとお題からはそれちゃったかな。
ところでこの割り箸ガンは実在するものです。小さい頃、父が作ってくれました。
ホントによくできてたんですよー。今でも作れるかなぁ。
できれば実物をお見せしたいです。


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