超高速リレー小説『薔薇の鎖』

presented by もぐもぐ&れな

その15 byれな

「兄さんっっ」
僕は堪らず、いつものように兄の腰にすがり付いてしまった。その姿を見た友哉と松井が
「京!目を覚ませ!」
「俺が入れてやるっていってるだろうっ」
と、それぞれに大声を出す中、
「あらあら、期間限定『七夕おたべ』かい?77個しか店で売らないっていうのに、さすがまあくん、抑えるところは抑えるねえ」
さすが京都銘菓『おたべちゃん』。ヅラデーション(これサイコーなネーミングだよね(笑)byれな)橋田のばばあをあっという間に我に返させた。
が、その効用は当然松井や友哉には及ばないようで
「ほら、こっちへ来い!」
と松井が僕の肩を掴み
「やめろってんだよっ」
とその手を友哉が掴むとそのまま彼は松井を殴りつけようとした。
「一体全体何が起こってるんだ?」
美貌の兄が、友哉が振り上げた手を後ろから掴んでそう尋ねる。兄はこう見えて通販マニア。アブフレックスも1も2も持ってりゃボディブレードも持ってる。身体を鍛えることには余念がない。聞かれちゃないが、ヤバ系のおもちゃも通販で購入しているという噂だ――ってどこで噂になってるんだか。
……なんてことを、そのときの僕は考える余裕がなかった。
「お願い…っ兄さぁん」
男三人がくんずほぐれずもつれ合ってる隙を――そして橋田さんが、一人『期間限定おたべ』の薀蓄をたれてる隙を狙って、僕は自らシャツの釦を引きちぎるようにして前を開き、もどかしくファスナーを下ろしてパンツごとスラックスをその場で脱ぎ捨てた。
「京っ」
悲壮な友哉の叫びと
「よしっ!桜内!俺が可愛がってやる!」
と目を輝かせた松井の横で
「……なんだ、京…気づかれたのか?」
と兄が美しい眉を寄せる。
「ひぃぃぃぃっ!あたしになにしようってのかい?」
今更のように悲鳴をあげた橋田さんのことは、その場にいる全員がきれいにシカトした。

「お願いっイレてっ」
既に我慢の限界を迎えていた僕はその場に仰向けになり彼らに向かって大きく脚を開いて見せた。ごく、と三者三様の生唾を飲み込む音が聞こえる。
「こうなったら……」
松井が兄と友哉の肩をがしと掴んだ。
「togetherしようぜ」
――古すぎ。ルー大柴(byアデランス)なんて誰が覚えてるってんだ。

       
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