「友哉っ」
僕は震える指で窓の鍵を開けた.
「京っ」
窓から友哉が飛び込んでくる。
時計の針は午後五時をさしていた。
「あっ……ああああっ……とっ……とも…やっ……」
思わず友哉の身体にしがみつく。
「んっ、あっ」
「京っ、しっかりしろっ」
友哉が、僕の身体を押さえ込む。
僕は、身体を突き動かす熱情、抑え切れない獣のような欲情と戦いながら、なんとかまだ自分で後ろに手を出さずにいられた。
「とも、や……」
僕が掠れた声で、ささやくと、友哉は両手で僕の腕を押さえて、そして体重をかけて僕の身体の自由を奪うと、苦しげに囁いた。
「我慢、するんだ…京っ」
「あ……んっ、ともっ……んん」
僕は、自分の中の荒れ狂う奔流に押し流されつつあった。
ダンダンダンダン
と、そこに激しい足音がして、僕の部屋のドアが鍵を壊して開かれた。
「京っ」
あ、まつい……。
クスリに朦朧とする僕の頭では、何故松井がここまで入ってこれたか、謎であったが、その後ろからヅラデーションの頭が見えたとき、橋田さんが内側から鍵を開けることを知ったのだとぼんやり分かった。
「こら、何をしているっ」
僕に覆い被さって押さえ込んでいる友哉を松井が引き離そうと押しのける。
松井の事を僕から聞いている友哉は、キッと睨み上げると、しゃにむに僕にむしゃぶりついて怒鳴った。
「京に手を出すなっ!!!」
「なにっ?」
「この変態野郎っ」
友哉の言葉に、松井が怒りに震える。
「何を言ってる?!」
ああ、二人が言い争っている。
僕は、身体の疼きに混乱しつつ、無意識に腰を振って叫んだ。
「どっちでもいいから、イレてっっ」
「俺が入れてやるぞ、桜内」
「何言ってるっ、京っ、我慢だ!我慢!」
「お願いっ、僕をメチャクチャにしてっっ」
僕は涙を流して叫ぶ。
「こりゃ、なんだい」
ヅラデーション橋田婆あが、電動優君を拾い上げて、
「ひいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
叫んで、窓から外にそれを投げ捨てた。
僕の身体は、ともかく……僕の部屋の中は、間違いなくメチャクチャだった。
「あああん。イレてっっ。掻き回してっ」
「今、俺が」
「ヤメロっ。我慢だっ」
「ひいいい、一体何だい?狐がついてんのかい」
「はあああん」
「京っ、頑張れっ」
「無理するなっ、無理は身体に毒だ」
「ナンマンダブナンマンダブナンマンダブ……」
「……これは一体、何の騒ぎだ……」
地獄の底から響くような低い声に、朦朧としていた僕の頭も、水をかけられたようにはっきりした。
部屋の入り口に、右手に『優君』、左手に『おたべ』の入ったキヨスクのビニール袋を持った美貌の兄が立っている。
お、おかえりなさい……
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