超高速リレー小説『薔薇の鎖』 presented by もぐもぐ&れな |
その9 byれな
「友哉……お前、どうして…」
茫然自失しながらもそう問いかけると、友哉もやはり茫然自失状態でありながら
「いや…そろそろお前の座薬の時間だと思って…玄関、鍵かかってたから、二階の窓から侵入してみた」
と答えてくれた。
「それってお前、家宅侵入罪じゃあ…」
バイブ後ろに突っ込んで、ナニ握ったまま言っても、まったく説得力ない気がする。
「ごめん」
が、友哉は驚きすぎてしまったのか、素直に僕の前でそう頭を下げた。
「いや、謝らなくても…」
いいんだけど、と言いながらも彼が僕を見下ろし続けてるおかげで、僕はまだ回転を続けている電動優君を後ろから引き抜く切欠を失ってしまっていた。
ウィィィィン
微かな電動音が部屋の中に響いている。次第に僕の中に二度目のビッグウエイブが訪れつつあったが、それを友哉に悟られるわけにはいかなかった。
「座薬……そうやって入れるもんなのか」
友哉はそんな僕の身体の変調などまったくお構いなしで、まじまじと僕の下肢へと真剣とも思える眼差しを向けてくる。
「う…うん」
フツー不自然だとか考えないだろうか?僕は全裸の上に、後ろにバイブ突っ込んで前を扱いてたんだけど…と思ったが、意外にも純真無垢であった友哉のリアクションに、わざわざ
「違うよ」
なんて答える必要は勿論ない。曖昧に笑ってごまかそうとしている僕に向かって友哉は
「やっぱり消費者に愛されるものだけあるなあ」
と頷きながら、
「ちょっと見てもいい?」
とにっこり微笑んできた。
「…う…うん」
駄目、なんてここで言えるわけがない。僕がそう頷き、後ろから優君を引き抜こうとすると
「あ、でもまだ、薬入れてる最中なんだろ?手伝うよ」
友哉はそう言いながら僕の手から優君を取り上げ――
「え?」
何かがおかしい、と顔色を変えた僕をちらと見下ろしたあと、おもむろに優君をまたも僕の後ろへと捻じ込んできた。
「やっ…」
回転を続けるそれを激しく抜き差しをはじめた友哉の顔は――笑っていた。
「とも…っ」
咎めるような声で彼の名を呼ぼうとしたが、彼の手によって与えられる滾るような快楽に僕の言葉は飲み込まれていく。
「…やっ…あん…っ…んんんっ」
「…京の顔…やらしいなあ」
くす、と笑いながら友哉は僕に顔を近づけそんな言葉を囁いてきた。
「やあ…っ…もうっ…もう…っ」
耳朶を擽る彼の吐息が更に僕を昂めてゆく。僕の雄は再びすっかり勃ちあがり、先端から白濁の涙をこぼし始めた。
「……もっとやらしい顔、見せてくれよ」
そう言って友哉は僕の雄の根元をしっかりと握った。達しそうになっていた僕はそれを阻まれた苦しさに、彼の手から逃れようと無意識に腰を振り始めてしまっていた。
「顔だけじゃない……京のカラダもやらしいんだな」
友哉はそう笑うと、僕の後ろを攻めるその手のピッチを上げた。
「あ…っはぁ…っあっ…」
僕はもう頭の中が溶けそうだった。何も考えられない。猛る欲望を鎮めたい。一気に発散させたい。それでも彼に根元をしっかり握られそれが叶わないもどかしさに、
「友哉っ」
と僕は彼を懇願するように見上げ、口唇を彼に寄せた。
「……楽しもうよ。京…まだ夜ははじまってもいないじゃないか」
口唇の端をあげるようにして友哉がそう僕に向かって鮮やかな微笑を返し―――
「京?」
友哉の呼ぶ声に僕ははっと我に返った。
突然目の前に現れた友哉の姿に僕は驚いたあまり、思わず気を失ってしまっていたらしい。
それにしても――我ながらなんつー鬼畜な夢を見てしまったんだろう、と僕は思い、ごめんな、と目の前で僕のことをほんとに心配そうに見下ろしている友哉に心の中で手を合わせた。
「……大丈夫か?」
そう尋ねてきた彼の右手に握られていたのは――電動優君3号。
「え?」
もしかして今の――夢じゃない?
青ざめた僕に向かって友哉は
「さ、座薬、入れようぜ」
とにっこり微笑むと、ウィン、とそれのスウィッチを入れた。