「誰も来ねぇから」
「何でわかるんだよ」
「何ででも」
学校の屋上でのエッチ。
小心者の高遠がビビるのはあたりまえだが、その気になってしまった海堂は止められない。
「向こうから見えるんじゃないか」
隣の校舎を気にするので、
「じゃ、こっちの影にこいよ」
給水塔の裏に引っ張る。
「ほら、ここなら、誰にも見られねぇって」
嬉しそうに微笑む海堂。高遠は困ったように空を見上げて
「でも……雲が見ている」
「タァコ!」
海堂に殴られた。



海堂は、高遠の背中を給水塔の壁に押し付けて、唇を深く重ねた。
「んっ…」
高遠の太腿の上にまたがって、そのまま腰を押し付ける。
高遠の首に腕をまわして、互いに舌を絡めあい、歯の裏を舐めあい、きつく吸いあげ唾液を交換するうちに、腰の辺りが痺れたように熱くなる。
海堂は、高遠のあそこも熱く硬くなっているのを感じて、ズボンの布越しに自分のそれと強くこすり合わせた。
「んっ、うん」
思わず高遠が漏らした声に、海堂は身体を離すと高遠のズボンのベルトをはずしにかかった。
「あっ、馬鹿、やめろ、海堂」
「高遠がわりぃんだよ。そんなエッチくさい声出すからさ」
ズボンからシャツを引き出し、トランクスをずらすと、高遠のモノが勢いよく飛び出してくる。
海堂はいつもながら自分のより二回りは大きいそれに感嘆の溜め息をついて、大きく口を開けてむしゃぶりついた。
「あっ、ばっ…だっ…」
「んっ」
歯を立てないように気をつけて裏の筋から先端までを丁寧に愛撫すると、高遠は苦しげな声を上げた。
「かい、ど、っ…っ」
高遠が感じてビクンビクンと震えるのが、海堂にもたまらない快感。
「ダメ、出る」
高遠がうめいた。
「いいよ、出して」
そう言うために唇を離したその隙に、高遠は、海堂の脇に腕を差し入れて、身体を起こさせた。
「あっ、何だよ」
「俺ばっかり、やんなよ」
高遠の目は赤く充血している。むきになって海堂のズボンを脱がそうとする。
海堂はクックッと笑って
「自分で脱ぐよ」
さっさとズボンもトランクスも一緒に脱いでしまった。
上半身だけ着衣の海堂が、再び高遠の腿をまたぐと、
「あ、待てよ」
高遠が自分の着ていた学生服の上着を脱いだ。
「ひざ、痛いだろ」
尻と足の下に敷いて、海堂の丸いひざ小僧をコンクリートから守る。
「やな奴。お前、すげぇ冷静。俺ばっか馬鹿みてぇじゃん」
海堂が、笑うと
「ばぁか、こんなことこんな場所でやってて、冷静なわけないだろ、十分変になってるよ」
高遠は海堂を抱き寄せ、噛み付くように口づけた。
再び唇を重ねて口腔を愛撫しあう。
高遠は、海堂の剥き出しの尻に指を這わせて奥の窄まりを探った。
「んっ、ふぅ」
襞を弄られて海堂は思わず甘い息を漏らした。海堂のそこは待ち切れないようにヒクヒクうごめいて、高遠の指を嬉しそうに飲み込んだ。
「あぁっ」
海堂がビクンと身体を弓なりにそらせた。
「高遠ぉ」
甘えた声を出して抱きつくと、二人の間の猛ったモノ同士が触れ合う。
「んっ」
海堂は、片手で強く高遠の首にしがみついて、もう片方の手を二人のモノに伸ばした。
二つ一緒に掴んでしごく。
「あっ、ばっ、やめ」
高遠が負けじと海堂の後ろを攻めた。
「あ、ああっ、あ、ぁん、あっ……」
自ら腰を激しく揺らしながら、海堂は、前の刺激と後ろの刺激にいやらしい声を上げ続けた。
高遠の人差指と中指が敏感なところをしつこく攻める。
「あっ、だ、ダメ、もうっ、高遠、あ」
「うん、俺もっ、あ、待って、ちょっ」
「ああぁぁっ」
短い悲鳴をあげて海堂が放ったのと、高遠がハンカチをかぶせたのが一緒。
そしてすぐあとに高遠も続いて吐精した。
高遠のハンカチが、二人分の精液でベトベトになっている。
「汚れなかった?」
海堂の上着を気にする高遠に、
「やっぱ、お前、冷静」
すねたように海堂は言った。
「そんな…」
言い訳しようとした高遠は、まだ自分の左手の指が海堂の中に入ったままだったのに気がついて、慌てて引き抜いた。
「は、あんっ」
引き抜かれるときに、海堂はわざとらしい嬌声をあげた。
海堂が握ったままだった高遠のモノがビクッと震えた。
クスッと笑って、
「一回出したのに、こんなに硬い」
海堂が遊ぶようにクルクルと先端を刺激する。そこはまたパックリと口を開けた。
「あ、こら…」
「まだイケそうじゃん」
「そりゃ、十八男子だからな」
高遠が照れ半分で憮然と言うと、
「じゃ、セカンドステージ」
海堂は身体をずらして再び高遠のそれを咥える。
「うっ」
再び強度を取り戻したそれから、今度は、すぐに唇を離した。唾液を絡めるのが目的。
自ら指で支えて、後ろに当てる。
「んっ、うっ」
最初の太いところが入るまで息を詰めて、
「ふぅーっ」
全部埋まると、二人同時に息が漏れた。
高遠をまたいだ海堂は、自分の身体の重みでかなり奥まで貫かれて、苦しそうに身をよじった。
高遠が下から突き上げる。
「あっ、だっ」
高遠の頭を抱きしめる。
「急に動くなっ」
「だって、俺、じっとしてても、限界」
海堂の中は、熱くてきつくて、最高に気持ち良い。
「んじゃ、俺が、ゆっくり、動くから、任せろ」
海堂が、自分でそっと腰を揺らし始めた。
「く、っ」
高遠が苦しそうに眉根を寄せる。
次第に激しくなる腰の動きに、
「あっ、あっ、か、海堂っ」
「高遠っ、あっ、イイッ、あぅ」
「んっ、イクッ」
主導権を取られたほうが負け。
今度は、高遠が先に果てた。
自分の中に放たれた迸りの感触に、海堂は嬉しげに喉をそらして、続いて果てた。







「結局、服、汚れちまったな」
「着ちまったら、わからねえよ」
「そっか」
高遠は、上着の埃をパンパンと払った。
「でも、何で誰も来ないって、海堂、知ってたんだ」
高遠の質問に海堂は種明かし、三好との賭けの話を教えた。
「な、って、ことは……」
高遠の顔が真っ赤。
「扉の向こうに、三好がいるのか」
「ああ」
「うわっ、見られてないだろうなっ」
「どうやって見るんだよ。奴はイルージョニストか」
海堂、呆れ顔。
「で、でも、どんな顔して出て行けばいいんだ」
「フツーの顔でいいだろ?」
「ああもう、俺は、お前じゃないんだから」
動揺している高遠に、海堂は
「しかたねぇなぁ」
並んで腰をおろした。パフンと頭を高遠の肩に乗せる。
「そしたら、掃除始まるまで、ここにいようぜ。三好のことだから、約束は昼休みの間だけだって言って、勝手にいなくなるよ」
「そ、そうか、そうだな」
高遠は、ようやく落ち着きを取り戻す。
二人並んで、甘くけだるい時間を共有。高遠が、空を見上げてポツリと言った。


「でも、やっぱ雲には見られちまったなあ」
「ポエマーだな、高遠」







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