BL戦隊ストーカー5!! ここ、中央線の武蔵小金井駅にある秘密基地では、今日もBLの味方『ストーカー5』が作戦会議を行っていた。 「じゃあ、昨日の結果報告からだ。ブルー、お前から」 レッドはいつも偉そうだ。 ブルーと呼ばれた、肩まである黒髪のスリムな男は、手にした書類をめくりながら無表情に報告する。 「昨日のヒロくんは、学校帰りにいつもの駄菓子屋によってJリーガーカード目当てで120円のスナック菓子を三つ買いました。お菓子は、二袋はきれいに食べましたが、三つ目は飽きてしまったのか、公園に食べかけのまま置き捨てにしました」 紙袋からゴソゴソと取り出し、皆に見せる。 「これです」 おおおっ 聞いていたイエロー、グリーンから感嘆の声があがる。 レッドは腕を組んだまま、エラソーに、続きを促す。 「で? そのカードの中味は何だったんだ?」 「一枚は、中田浩で、一枚は稲本」 「あ、いいなぁ。稲本、可愛いよね」 イエローが口を挟むと、グリーンは、可愛く唇を尖らせて。 「ボクは中田浩の方が好きだよう」 「うるさいぞ、お前ら」 レッドはとことん偉そうだ。 「で、もう一枚は」 「はい。トルシエとダバリーのツーショットで、これはヒロくん気に入らなかったらしく、お菓子と一緒に捨てていました」 「何っ?! み、見せてみろ」 レッドが右手を差し出す。 ブルーがJリーガー(この二人Jリーガーか?笑)カードを渡すと、レッドはそれをじっと見て、徐に胸ポケットにしまった。 「これは鑑識に回すから、俺が預かろう」 すると、これまで黙っていた白衣の男がクスリと笑った。 「欲しいなら、欲しいと素直に言えばいいのに……」 「何っ」 レッドがキッと振り向いて、白衣の男を睨みつけて言う。 「どういう意味だ。メガネ!!」 「……メガネ?」 白衣の銀縁眼鏡男はこめかみを引きつらせた。 「前々から言おうと思っていたんだが、何で他の奴らは色で呼ばれているのに私だけコードネームがメガネなんだ?」 「だって、お前のムラサキって、言いづらいもん。パープルでもいいけどぉ、メガネの方が感じ出てるしい」 突然、人差し指を顎に当てて、急に女子高生しゃべり。 「この私を!このクールビューティー、声優がやるなら子安武人、という私を捕まえて…」 メガネが屈辱に唇を噛む。 レッドは笑って言った。 「安心しろ、メガネ。色以外のコードネームも、それぞれ皆、持っている」 「へ?」 他のカラーズがきょとんとする。レッドは頓着せずに続けた。 「すなわち、ブルーは『腹黒』イエローは『カレー』グリーンは『短パン』だっ!」 ふうっ、と額の汗を拭うレッド。 「昨日、寝ないで考えた」 白い歯がキラリ。 イエローが、唇を震わせて訊く。 「レッドは?」 「俺?俺か?」 心臓の前で右手の拳をグイッと握りレッドは言った。 「俺は『ヒーロー』さっ」 ――――――――その日、ストーカー5は解散した。 |
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