そして、壁に掛かった鳩時計から、ユーモラスな顔の鳩が12回顔を出すと、
サンタ・クロースはもう1度僕達を抱き締め、
「ありがとう」
と、言ってくれた。
「どういたしまして!」
「俺達も楽しかったです!」
「はい!感激しました!」
口々に言う皆の目の前で、2頭のトナカイと共に、彼は店の外へゆっくりと歩き出した。
「素敵なクリスマスを!」
僕が声をかけると、1人と2頭は軽やかな鈴の音を残し、澄んだ夜空に走り去っていった。
「2時間前のクリスマス、か・・・」
宴の後の静けさの中で、兄さんが満足そうに笑っていた。
「でも、兄さん、何でウチに来てくれたんだろう?」
僕が最後まで疑問だった事を口にすると、兄さんは豪快に笑い飛ばした。
「はっはっは、それはもちろん、俺達の店だからさ!」
その答えが、僕達にとって、間違い無く最高のクリスマス・プレゼントだった。
了