突然、番長が身体を起こした。むっとした顔で俺を見る。
「つまらん」
「は?」
俺は、ぽかんと見返す。
「あーあ」
舎弟の一人が、素っ頓狂な声を出した。
俺に向かって、
「うちの番長は、鬼畜だから、相手が嫌がっていると、むちゃくちゃもえるんですけど、相手がよがっちゃったりするとあっという間に萎えちゃうんですよう」
「はあ……」
見ると、番長はズボンの中にシャツをしまって、すっかり身支度調えている。
「もっと他の骨のあるヤツをさらうぞ」
「はい、番長」
ドヤドヤと出て行き、俺は、たったひとり残された。
「ここ、どこだよ……」




さんざん苦労した挙句、修学旅行のホテルについてみると、俺が先に逃がしてやった連中は、楽しそうにトランプをしていた。

「やったー!!あがりぃ」
「ええっ、また僕が大貧民なのっ!」
「言っとくが、ちゃんとズル無く、一番いいカードをよこせよ」

お前ら、俺の心配はしなかったのか!!
「おい……」
のんきな様子に、ちょっとばかりムッとして声をかけると
「あっ、お帰り。混ざるんなら、大貧民からスタートだよ」
下座を指差された。
「お前ら、人として間違ってるぞ!」


それでも、皆が無事でよかった。
俺たちは、修学旅行の夜を満喫した。



続く