くうきがキンキンとひえた、さむいさむいふゆのあさ。
ソウさんは、まっしろないきをしわしわの手にふきかけながら、
ふるいまどをあけました。
そとは、まっしろ!おひさまが、やさしく手をのばし、じめんを
キラキラかがやかせています。
「おお、ゆきがふったのか。どうりで、さむいわけだ」
ソウさんはにっこりわらうと、くるりとまどにせをむけました。
「こいつは、ゆきかきをしないといけないな」
ひとりごとをいいながら、あさごはんのしたくをしに、だいどころへ
むかうソウさん。すると、あしもとからちいさなこえがきこえました。
「おじいちゃん、おじいちゃん、おそとにでたいよう」
「ん?ああ、プリュルか。おはよう」
ソウさんはしゃがみこむと、じぶんをみあげているちいさなウサギを
やさしくだきあげていいました。
「きょうはさむいよ。だから、おうちの中にいたほうがいい」
プリュルは、すこしまえにソウさんのおうちにやってきたウサギです。
ほわほわとやわらかなちゃいろの毛に、ぺたんとねているおみみ。
はじめてあったときから、ふたりはとってもなかよしになったのでした。
「さ、あさごはんにしよう」
ソウさんはプリュルのあたまをなでると、そのままだいどころへと
つれていきました。
「ねえねえ、おじいちゃん、やっぱりおそとにでたいよう」
あさごはんをおなかいっぱいたべたあと、プリュルはソウさんにいいました。
「ふむ。よしわかった、それじゃあいっしょにいこう」
「わあい!おじいちゃん、ありがとう」
プリュルはおおよろこび。いきおいよくおそとにとびだしてゆきます。
「おいおい、あんまりあわてるとけがをしてしまうよ」
ソウさんはやれやれ、とこまったようにわらって、プリュルのあとを
おいかけました。
「うわっ、つめたい!ゆきっておもしろいなぁ」
プリュルはふかふかのゆきのうえを元気にはしりまわっています。
そのそばで、ソウさんは何かをつくっていました。
「おじいちゃん、さっきから何をつくっているの?」
「うん?ふふふ、プリュルのおともだちをつくっているんだよ」
プリュルはおどろいていいました。
「ぼくのおともだち?おじいちゃん、みせてみせて!」
ソウさんはそっとてぶくろのりょうてをひらきました。
そこにいたのは、ちいさなゆきうさぎ。
はっぱのおみみと、あかいおめめ。プリュルによくにています。
「うわあ!すごーい!ぼくのおともだちだ!」
プリュルはソウさんにとびつきました。ソウさんも、にこにこです。
めいっぱいあそんだふたりは、ほっぺたをまっかにしておうちにかえりました。
でも、プリュルはすこしさびしそうです。
「どうしたんだい、プリュル?」
ソウさんはしんぱいになって、プリュルにききました。
「うん。ゆきがなくなったら、おともだちがいなくなっちゃうから、さびしいの」
そういうと、プリュルはなきだしてしまいました。
「なくんじゃないよ、プリュル。おじいちゃんに、いいかんがえがあるからね」
ソウさんはプリュルをだっこすると、ゆっくりゆっくりゆらしてあげました。
「さ、きょうはくたびれただろう。ゆっくりとおやすみ」
プリュルはこっくりうなずいて、めをとじました。
そして、あくるひのあさ。
「おはよう、おじいちゃん」
プリュルはまだすこしだけげんきのないこえで、ソウさんにあいさつを
しました。
「おはよう、プリュル。こっちへおいで」
ソウさんは、なにかをだっこしています。プリュルはソウさんのてのなかを
のぞきこみました。
「あ!ぼくのおともだち!」
なんとそこには、タオルとボタンでできた、プリュルそっくりのうさぎがいたでは
ありませんか!
「おまえのおともだちの、ロップくんだよ」
プリュルはもう、うれしくてうれしくて、ロップくんをぎゅうっとだきしめました。
「おじいちゃん、ありがとう!ぼく、もうさびしくないからね」
そういうとプリュルは、あたらしいおともだちにごあいさつをしました。
「おはよう、ロップくん!ぼくはプリュルだよ!ぼくたち、なかよしになろうね!」