赤いアフロ
「”スライムの服”の魅力をわかってくださったフリーラ様たちですもの、
こちらの品もお気に召すと思いましたわ!」
今日もロクサーヌの笑顔がまぶしい。
そしてその華奢な手には、真っ赤な毛玉がある。
「……アフロって……、これ、かつら、」
「兜ですわ。」
詩人もかくやと思わせるほどの美声には、有無を言わさぬ迫力があった。
「フリーラ、本当にオレがもらっていいのか?」
背後にいる魔法使いが目をきらきらさせているのが手に取るようにわかる。
「う、うん。もちろん!だって、ケイヴ、欲しがってたもんねっ!」
「……つーか、こんなのかぶりたいのおめーだけだよ……。」
理解しがたい、という表情を隠すことなく呟くザウロを無視して、ケイヴは赤いアフロをかぶった。
もともとかなり髪が短いこともあり、まるで地毛のように違和感なく馴染む。
「……いい。気のせいか、頭も冴える。」
「そ、そうなんですか???」
スライムの服をまとい、赤いアフロをかぶった長身の男。
絶対に悪いことはできないな、と、その場にいた誰もが確信した。
そして、これらの装備が防具として優れている理由も、何となくわかるような気がした。
了
「スライムの服」に続くお話。
防御力のみを重視した結果、不思議な装備になってしまうことは今回よくあることだと思うのですが、
いかがでしょうか。
ちなみにケイヴ君はラスボスまで赤いアフロでした。