守護天使

わたしにとっては特別なことじゃなかった。
人間を守ること。
だって、私は天使として生まれたんだもん。



お師匠様に連れられて来たのは、小さな小さな山間の村。
空の上にいる私の手の中に、すっぽり収まってしまいそうなくらい。

「見えるか?あれがお前が守護することになる村だ。」

少し先を飛んでいたお師匠様が、振り返って教えてくれる。

ドキドキした。



村の人達は、守護天使を信じてくれているのかな?
わたしは、村の人たちの暮らしを、ちゃんと守っていけるかな?



わたしは、
ウォルロ村の人たちを、家を、畑を、動物を、水を、
そこに在るみんなみんなを、
大好きになって、大切にできるかな?



「フリーラ……いや。」

柔らかにそよぐ若い緑の上に降り立つと、お師匠様がわたしの目をまっすぐ見た。
わたしの名前を呼んで、続く言葉を切る。

「何ですか、お師匠様?」

背の高いお師匠様を見上げると、強い視線が返って来た。

「これからは、ウォルロ村の守護天使・フリーラ……だな。」



守護天使。

守ること、それがわたしの役目。



胸の中に噴水のように湧き出た気持ち、
その名前が誇りだと知るのは、
もう少し後になってからだった。


うわあ。何かマジメ(笑)。
まあ、出だしはこんなものでしょうか。地味だけど。
そんな訳で(?)、今回の主人公はフリーラという名前の女の子です。
もともと女主人公というものが大好きな私。
おまけに師弟関係ときた。素晴らしいです。


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