おひめさまのたびはつづきます。

きょうはみんなでおにごっこ。

おには、おひめさま。

「ほらほら、おひめさま!こちらですよ!」

と、くろうまガジェ。

「おにさんこちら!てのなるほうへ!」

と、あおいとりがうたいます。

「まって、まって、ふたりとも!」

おひめさまはほっぺたをまっかにして、ふたりをおいかけます。

「おひめさま、がんばって!」

いっしょうけんめいがんばるおひめさまを、お月さまが

おうえんしてくれます。

 

「ほら、つかまえた!」

おひめさまがぴょん!とはねて、くろうまガジェのくびに

だきつきました。

「うわー、つかまってしまった!それじゃあ、

つぎはぼくが、おにですね」

「ええそうよ!さあ、いそいでにげなくちゃ!」

おひめさまはてをたたきながら、かろやかにはしります。

まるで、ダンスをおどっているみたいです。

「さあさあ、おにさん!こっちですよ!」

おひめさまのかたにとまって、あおいとりがまた、

うたいます。

みんな、ほんとうにたのしそう!

そんな3にんを、お月さまは、もっとたのしそうにみつめて

いました。

 

やがて、おひめさまがいいました。

「ああ、おもしろかった!でも、くたびれちゃった」

くろうまガジェも、あおいとりも、みんなお月さまのうえに

すわりこんでしまいました。

「さあさあ、みなさん。よくあそびましたね。

 よくあそんだあとは、ゆっくりやすんで、またたくさん

 あそびましょう」

と、お月さまがいったので、みんなはこっくりうなづくと、

くちぐちに

「おやすみなさーい!」

「おやすみなさい」

「おやすみなさい!」

とごあいさつをしました。

お月さまは、いつものように、やさしくこもりうたを

うたってくれます。

 

こもりうたがおわるころ、くろうまガジェとあおいとりは

すやすやと、とてもきもちよさそうにねむっていました。

でも、おひめさまはねむっていません。

「どうしましたか、おひめさま?ねむれないのですか?」

お月さまはすこし、しんぱいそうです。

おひめさまはくびをふって、いいました。

「ちがうの、お月さま。わたし、いまとってもとっても

だいじなことにきがついたわ」

おひめさまは、空のいろの目で、おつきさまをみています。

「それはいったいなんですか?」

おつきさまはにっこりします。おひめさまもにっこりして、

いいました。

「あのね、わたし、おともだちをさがしているわよね。

 でもね、さいしょからおともだちといっしょにいたの。

 お月さま、わたしたち、おともだちよね」

おつきさまはびっくりしたかおをしました。

でも、すぐに、いちばんすてきなえがおでいいました。

「はい、もちろんです、おひめさま。

 わたしたちは、ずーっと、ずーっと、おともだちでしたよ。

 もちろん、これからもずーっと、ずーっとそうですとも!」

 

そうだったんです。

お月さまとおひめさま。

ふたりは、ずっと、いっしょでした。

 

「さあ、もうやすみましょう、おひめさま。

 そして、またあたらしいおともだちをさがしましょう!」

お月さまは、2かいめのこもりうたをうたいはじめました。

おひめさまは、だんだんだんだんねむたくなって、

いつのまにかゆめのなかへ。

 

おやすみなさい、おひめさま!

そして、またあした!

 

おしまい


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