おひめさまのたびはつづきます。
くろいもくばのガジェとおともだちになったおひめさまは、
そのあたたかなせなかにもたれかかって、おひるねをして
いました。
そのときです。おそらをゆっくりゆっくりとんでいるお月さまの
はなのあたまに、あおいとりがおりてきました。
あおいとりは、しあわせをはこんでくれるといういいつたえをもった、
すてきなとりです。
「おやおや、おひめさま。あおいとりがきましたよ」
お月さまはたのしそうなこえで、おひめさまをおこします。
「おひめさま、おひめさま、あおいとりですって!」
ガジェも、からだをやさしくゆすって、おひめさまをおこします。
「う、うーん」
おひめさまはちいさくあくびをして、ぱっちりとめをあけました。
「まあ、あおいとりだわ!なんてきれいなはねなんでしょう」
そういうとおひめさまはそっとてをさしだしました。
「あおいとりさん、ここへきて!いっしょにおはなししましょう」
ガジェもにこにこわらいながら、うたうようにいいます。
「あおいとりさん、いらっしゃい。ぼくのせなかにのってください」
ところが、どうしたことでしょう。あおいとりはかなしそうにくびをふって、
うごこうとしません。
「わたしのことなんて、ほうっておいてください」
おひめさまはびっくりして、いいました。
「まあ、あおいとりさん!いったいどうしたっていうの?」
すると、あおいとりはぽろぽろなみだをこぼしはじめました。
「だって、わたしはもうしあわせをはこびおわったあおいとり。
もういらないって、いわれてしまったんです。
しあわせをはこぶちからをつかってしまったわたしは、もう
いらないって」
なんてひどいはなしでしょう。おひめさまはおこりました。
「そんなのひどいわ!」
やさしいガジェも、おこりました。
「まったくです。しあわせをはこびおわったからもういらないなんて、
ひどい!」
そのとき、お月さまがにっこりとわらって、いいました。
「まあ、まあ、ふたりとも、すこしおちついて。このひとがしあわせを
はこびおわったなんて、どうしてそんなふうにいえますか?
おひめさまもガジェも、このひとにあって、どんなふうにおもいましたか?」
おひめさまは、お月さまのことばをきいて、いっしょうけんめい
あおいとりにいいました。
「あおいとりさん、きいてちょうだい!わたし、あなたとあえて、
とてもしあわせよ。だって、あたらしいおともだちがふえたんですもの!」
ガジェもいいました。
「そうですよ!あなたはぼくたちに、しあわせをもってきてくれました」
あおいとりはなみだをこぼしながら、みんなのかおをみつめます。
「それじゃあわたし、まだしあわせをはこべるんですか?
わたしはまだ、みなさんをしあわせにできるんですか?」
おひめさまとがジェは、しっかりとうなずきました。
「あおいとりさん、わたしたちといっしょにいきましょう!わたし、
あなたともっとたくさんおはなししたいわ」
あおいとりはそのうつくしいはねをはばたかせ、おひめさまのかたにとまって
いいました。
「ああ、ありがとうおひめさま!くろいこうまさん!わたしもあなたたちに
あえて、とてもしあわせです。どうか、わたしもつれていってください!」
そういうとあおいとりはまた、なみだをこぼしました。
でも、それはかなしいなみだではありません。うれしいなみだです。
こうしておひめさまは、くろうまガジェとあおいとり、
そしてお月さまといっしょに、またあたらしいおともだちさがしの
たびをすることになったのでした。めでたしめでたし。