そして、一人で逃げてしまった俺は、自己嫌悪と罪悪感にさいなまれながら、ホテルに閉じこもっていた。
(あいつら、どうなっただろう……)
番長にボコボコにやられたあいつらの顔が浮かんだ。
「うわあああっ」
俺は、叫んで部屋を飛び出した。
助けに行こう。
もう間に合わないかもしれないけど、いや、絶対、間に合わないけど。
でも、このままじゃ、あいつらに会わせる顔がねえっ!
と、飛び出したところで、駿とぶつかった。ジルもいた。
「あれ?」
お前ら、無事だったのか!と言おうとして、先を越された。
「ああっ、僕たちを置いて逃げた卑怯者がいるぅ」
「ジル、その言い方は、悪いよ」
「だってそうだもん」
「でも、僕たち、楽しかったんだから」
「まあね。番長さんたち、親切にいろいろ案内してくれたし」
「お土産もいっぱい貰ったしね」

番長は、修学旅行生好きの、いい奴だった。らしい。

『ちょっと遊んでやる』
は、本当に遊んでくれることだったらしい。
観光名所を案内され、抱えきれないほどの土産を貰った駿や、ジルは、嬉しそうだった。

しかし、俺がたった一人で逃げてしまったという事実は、そのあとも、チクリチクリと苛められる原因となった。


続く