下駄箱の中に、一通の手紙が入っていた。

「卒業式のあと、裏庭の樹の下で待っています」

これは!!
俺は、式の間中、うわの空だった。一体誰だろう。差出人の名前は無かった。








式が終わって、俺は走った。
伝説の樹の下には、背の高い男がいた。
「おっ、お前は……」

忘れもしない、修学旅行で俺の身体に忘れられない傷を作った男……
「番長」

番長は、フッと自嘲の笑みを見せ、背中に隠し持っていた薔薇の花を俺の前に差し出した。
「な、なんの、真似だ」
「お前のことが、忘れられなくて、追って来た」
「な……」
「愛している。俺と、付き合って欲しい」
「そ、そんな、馬鹿なこと……」
そういいながら、俺の心臓は早鐘のように鳴っている。
番長は、うつむく俺のあごに手を当て上向かせると、激しく口づけてきた。
「んっ…ん…ふっ……」
口内を蹂躙される激しいキスのあと、俺は自分が欲情していることに気が付いた。

ああ、そうだ、本当は、本当は……

「俺だって……忘れられなかった……」
番長は、俺の身体を抱きしめて、のどを鳴らすように笑った。
俺は、つかまってしまった自分を知る。
「番長……名前…聞いてなかった……」
俺が尋ねると、番長は、耳元で囁くように言った。
「三好…常隆…」
ああ、いい名前だ。

俺たちは伝説の樹の下で最高の恋人同士になった。




お疲れ様(笑)