TRETTIOARIGA KRIGET

  スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・グループ「TRETTIOARIGA KRIGET」。70 年結成。74 年アルバム・デビュー。81 年解散。作品は五枚。
  強力なベースとカラフルなギターによる技巧的ハードロック。後進に多大な影響を及ぼした北欧ロックの草分けの一つ。グループ名は「三十年戦争」の意。

 Trettioariga Kriget

 
Stefan Fredin bass
Christer Akerberg electric & acoustic guitars
Robert Zima vocal, electric guitar
Dag Lundqvist drums, mellotron

  74 年発表の第一作「Trettioariga Kriget」。 内容は、ベースとギターを中心にしたテクニカルな超変拍子ハードロック。 ギターは、ナチュラル・トーンを基本にワウを少々効かせたけたたましいプレイを得意とし、ベースはリッケンバッカー特有の硬質な音色でトレモロを含めバリバリ弾きまくる。 このギターとベースによる強固でスピーディなリフ、ユニゾン、そして変拍子を交えためまぐるしいリズムの変化が、演奏の特徴である。 鋭いピッキングが生み出す緊迫したフレーズが、幾重にも絡みあい反応しあいながら突き進み、augument と diminish の響きが、不安、苦悩、闘争、狂気といったダークなイメージを広げてゆく。 そして、あたかも音の隙間を縫うように、メロトロンの調べが流れてゆく。 ヴォーカルはスウェーデン語特有なのか、熱っぽく角ばった響きに独特の切羽つまったような調子が加わっている。 メロディアスというよりは語りに近い表現方法であり、それも独特の効果を生んでいる。 全体に、ぎりぎりとした緊張を緩めず、疲れ知らずで攻め立てまくる演奏スタイルであり、不器用な性急さが強調されている。 一口でいうと、ハードロックに YESCRIMSON の技巧を突っ込んで思い切り歪ませたような演奏であり、JONESY 辺りよりは技も力も上である。 どこまでも無機的で、下手をすると現代音楽じみたプレイが続くところは、DEEP PURPLE すら凌ぐかもしれない。 最も近いのは、イタリアの無神論者 IL BALLETTO DI BRONZO だろう。 そしてその伝統は ANGLAGARD に引き継がれている。 もっとも、メロトロンやジャジーなギター・プレイとともに「引く」場面では、意外なまでにフォーキーで素朴な響きや、70 年代らしい R&B テイストが露になってくるのも事実。 攻め立てる調子が噛み付くような激しさをもつだけに、そういうところではホッとする。

  「Kaledoniska Orogenesen
  「Roster fran minus till plus
  「Fjarilsattityder
  「Mina Logen
  「Ur djupen
  「Handlingens skugga

(9587)

 Krigssang (War Song)

 
Stefan Fredin bass, vocals
Dag Lundqvist drums, mellotoron
Robert Zima vocal, electric guitar
Christer Akerberg electric & acoustic guitars
Olle Thornvall lyrics(Swedish & English)

  76 年発表の第二作「Krigssang (War Song)」。 第一作と同じ路線ながらも、性急さを抑えることも取り入れて、表現の幅を広げた。 得意の挑みかかるような演奏に加えて、アコースティックなミドル・テンポの場面でも、タメを効かせて堂々とした演奏を繰り広げる。 音で埋め尽くすだけではなく、空隙を活かしているともいえるだろう。 あからさまな YESCRIMSON 風のプレイは控えている感じだ。 最も象徴的なのは、ギター・プレイのバリエーションである。 ワイルドな弾き捲くりだけではなく、アコースティックでロマンティックなプレイも見せている。 メランコリックで空ろな響きのアルペジオは新境地だろう。
   緩やかな表現を巧みに織り交ぜることで、変拍子で強引にたたみかける演奏は、いっそう荒々しいイメージで迫ってくるようになった。 特に、18 分にわたるタイトル・ナンバーの第二部は圧巻。 ヴォーカルはスウェーデン語。 ボーナス・トラックではヴォーカルが英語だが、癖のある唱法は母国語と同じ。

  「Krigssang(War Song)」(4:33)
  「Metamorfoser(Metamorphoses)」(4:34)

  「Jag Och Jag Och "Jag"(I And I And "I")」(3:20)アコースティック・ギターによるクラシカルなプレイが美しい。トラッド調のハーモニーもいい。

  「Mitt Mirakel(My Miracle)」(3:30)泣きのギターとメロトロンで迫る北欧らしいシンフォニック・ハードロック。奔放な変拍子とジャジーな和声を突っ込んで強烈なアクセントにしている。 なかなかテクニカルだ。

  「Murar(Walls)」(4:19)ギター、ベースが挑発しあうブルージーなインスト・チューン。 エフェクトがカッコいい。 アコースティック・ギターの入れ方も巧みである。 ジミ・ヘンドリクスのトリオに透明感をもたせたようなイメージだ。

  「Krigssang II(War Song II)」(17:32) 「サードアルバム」あたりの YES を思わせる技巧的なシンフォニック・チューン。 モノクロームなイメージのサウンドなので、シンセサイザーが新鮮だ。

  「On Going To England」(7:15)ボーナス・トラック。第一作の「Mina Logen」の英語詞版。
  「Ur djupen(Out Of The Depth)」(6:33)ボーナス・トラック。第一作より。 ヴォーカルのファルセットのせいか、DEEP PURPLE に似る。
  「So Long」(6:52)ボーナス・トラック。 珍しくブリティッシュ・ブルーズの影響をはっきり見せるナンバーである。

(Mellotronen CD 002)


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