21 世紀のスーパー・プログレッシヴ・ロック・ユニット「TRANSATLANTIC」。 THE FLOWER KINGS のロイネ・ストルト、SPOCK'S BEARD のニール・モース、DREAM THEATER のマイク・ポートノイ、MARILLION のピート・トレワヴァスら、コンテンポラリー・ロックの雄 4 人が結集したスーパー・ユニット。 2002 年現在二枚のスタジオ・アルバムと一枚のライヴ・アルバム、DVD がある。 2009 年、再結成、年末には新譜も?
| Pete Trewavas | Warwick bass, Taurus bass pedals, vocals |
| Mike Portnoy | drums, vocals |
| Roine Stolt | electric & acoustic guitars, vocals, Mellotron, additional keyboards, percussion |
| Neil Morse | grand piano, Hammond organ, Mini moog. Rhodes piano, synthesizer, vocals, additional guitars, mandolin |
| guest; | |
|---|---|
| Chris Carmichael | violin, viola, cello |
| Keith Mears | saxophone |
| The "Elite" Choir | background vocals |
2001 年発表のアルバム「Bridge Across Forever」。
前作の好評を受け、ライヴ盤を経て、あっという間に発表されたスタジオ第二作。
プログレへのオマージュから一歩踏み出した、多才なポップ・センスにあふれる好作品だ。
ノスタルジックで暖かみのある音を用いつつも、ポジティヴかつ研ぎ澄まされたサウンドは、モダンなリスナーの旺盛な音楽的食欲を満たす、まさしく現代のロックである。
テクニカルな見せ場を意図的にもうける辺りは、前作で食い足りなかった若年層へのサービスに違いない。
もちろん、ハモンド・オルガンからシンセサイザー、ポップでメロディアスななかにプログレらしいトリックを埋め込んだアンサンブルなど、オールド・ファンにもサービスは惜しげない。
あまりのけれんのなさとこなれ具合に、長年キャリアを積んだバンドなのではと錯覚するほどだ。
特に今回みごとなのはヴォーカル、コーラス・ワーク。
そして、ベテランらしく熱いメッセージを込めながらもパフォーマンスにはあくまでリラックスした余裕があり、ジャム風のインストゥルメンタル・パートですら、心地よく想像力を刺激してくれるのだ。
まさに THE BEATLES からプログレ、ハードロック、AOR、フュージョンまで、極上の素材を手練の業師たちがまとめあげた傑作といえるだろう。
一作目が無類の興奮とともにむさぼる作品とすると、本作は多彩な語り口をじっくり楽しむ作品だと思います。
インストゥルメンタルやアレンジがすばらしいのに比べると、歌詞がやや決まり文句風であり、さらにニール・モーズの 70 年代後半調ポップ・テイストがややワンパターンに感じられるかもしれない。
通常盤、限定盤と 2 種類の CD あり。
ここに掲げたのは限定盤のジャケット。
限定盤のみ CD 二枚仕様で、二枚目には息を呑む PINK FLOYD の「Shine On You Crazy Diamond Part 1」(オールド・ファンはこれで完全に K.O.)などカヴァーやセッション・デモ及びインタラクティヴ・トラック収録。
「Duel With Devil」(26:43)
「Suite Charlotte Pike」(14:30)変幻自在のポップ・チューン。
傑作です。
「Bridge Across Forever」(5:32)
「Stranger In Your Soul」(26:06)1 曲目と同じく芳しき弦楽の調べが導く超大作。
オプティミスティックななかに切なさを込めたメイン・パートの歌メロが絶品。
メロトロンとギターが轟くヘヴィ・メタリックな演奏で鮮烈なコントラストをつける。
(IOMLTDCD 086)
| Neil Morse | lead voice, keyboards, acoustic guitar, additiona;l electric guitar |
| Mike Portnoy | drumkit, voices |
| Roine Stolt | electric guitar, 12 str. acoustic guitar, Mellotron, percussion, voices |
| Pete Trewavas | Warwick bass, Moog taurus pedal, voices |
2000 年発表の第一作「StoltMorsePortnoyTrewavas(SMPT E)」。
カラフルなシンフォニック・ロック巨編である本作は、新世紀を目前に捧げられたプログレッシヴ・ロックへのオマージュ、そして新世紀へはばたくプログレッシヴ・ロックの勇姿である。
リード・ヴォーカルの個性のおかげで、SPOCK'S BEARD と THE FLOWER KINGS を調合したようなサウンドに感じられるが、演奏自体はバランスの取れたオリジナルなパフォーマンスである。
オプティミスティックなメロディ・ラインと神秘的でドラマチックな展開、そしてあちこちで見せる 70 年代の有名グループへ捧げられたかの如き懐かしくも卓越したアレンジ。
オリジナル曲のでき映えは正に出色。
そして、暖かみのあるハモンド・オルガンとピアノ、存在感溢れるエモーショナルなギター、さらにはダイナミックなリズム・セクションが織り成す、華麗にしてヒューマンな感動を呼ぶ演奏に息を呑む。
全く何もかもが夢の様にすばらしい。
世紀の曲がり角に贈られたプログレッシヴ・ロック・ファンへのプレゼントだ。
1 曲目の大作のオープニングとエンディングにきっとあなたも涙する。
そして最終曲にもすばらしい感動が待っている。
アメリカ盤、ヨーロッパ盤、スペシャル・エディションと 3 種類の CD が用意されている。
ここに掲げたのはスペシャル・エディションのジャケット。
また、スペシャル・エディションのみ CD 二枚仕様で、二枚目にはオルタネート・テイクとセッション・デモ及びインタラクティヴ・トラック収録。
わたしは、あまり人に物を薦めないのですが、この作品だけは、すべてのプログレやロックを愛した人の手元に届けたい、という気持ちになりました。
「All Of The Above」(30:59) 六部構成の超大作。
めくるめくストーリーは、胸を焦がすメロディ・ラインと若々しく情熱的なプレイに満ち、あっという間に夢の彼方へ連れ去ってくれる。
リード・ヴォーカルはモース。
「Full Moon Rising(Reprise)」ジャム風のイントロからいきなり全開、7 拍子のリフへとまとまり躍動感に満ちたアンサンブルが続いてゆく。
巧みな緩急と強弱。
最初のヴォーカル・パートは、半音でゆきつ戻りつする実に素敵な(!)リフと力強いメロディでリズミカルに進んでゆく。
モースのヴォーカルは絶品。
オープニングは SB の「Beware Of Darkness」に似過ぎかも。
「October Winds」半音リフから一転、密やかなヴォーカルへ。
そして、しなやかなギター・ソロ。
続いて、ガラリと雰囲気変って、ジャジーなピアノ、オルガン・ソロである。
迎えるは、ストルト渾身のシャープなギター・ソロ。
躍動するリズム。
ややラテン系。
リズムが引いた後の、メロトロンを使った幻想的な組み立ては、THE FLOWER KINGS のものだろうか。
そして、高音で戻るモースのヴォーカルは、「Supper's Ready」のピーター・ゲイブリエルを思わせる。
ギターは、再びテーマを歌う。
ポートノイが高らかに歌い上げる。
「Camouflaged In Blue」ベースの静かなリフそしてドリーミーな効果音とともにモースがゆっくりと歌い始める。
ギターとメロトロンのオブリガートはファンタジック。
情感たっぷりに歌い上げるヴォーカル、そしてダークなムードでギターとオルガンのインタープレイである。
ワウ・ギターとオルガンの応酬。
いつ頃のとは定かにはいえないが、なんとも懐かしい曲調だ。
そしてオープニングのリフの再現。
「Half Alive」アップ・テンポで走り出すパンチのある演奏、リード・ヴォーカルはポートノイか。
弾けるようなギターのオブリガート、そしてメロトロンの哀愁のメロディがテーマを変奏しつつ、尾を引いてゆく。
「Undying Love」郷愁を誘うアコースティック・ギターとピアノのデュオに静かにヴォーカルが重なる。
再びモースである。
アメリカン・ロック風の静かな力強さをもつメロディだ。
特にサビのメロディがキュート。
「..Innocence and undying love will reign」も泣かせる歌詞だ。
そして、リズミカルに変化した演奏は、ギターのリードで走り出す。
一転、ピアノとヴォーカルのみの美しいデュオ。
「Full Moon Rising(Reprise)」ピアノがリズムを刻みアンサンブルが動き出すと、ELO 調のストリングスが入って、「Full Moon Rising」第一楽章の再現。
ゾクゾクさせる展開だ。
分厚いコーラス。
力強くダイナミックな演奏。
再び ELO ストリングス。
ブレイク。
眩惑的なコーラス。
そして、ストルトのギターがゆったりとテーマを歌う。
やがてエモーショナルなソロへ。
雄大な演奏だ。
どんどん高まってゆくアンサンブル。
そしてクライマックスを経て、夢の彼方へ消え入るように、ギターが去ってゆく。
どこまでも続く余韻。
虹色の雲の彼方へ遠ざかるスペース・シップ。
このエンディングは間違いなくストルトのセンスだろう。
「We All Need Some Light」(5:45)モースがリード・ヴォーカルを取る、メランコリックでアコースティックなバラード。
アコースティック・ギターとピアノをフィーチュア。
ストルトのギターが遠くで聴こえる。
サビで一気に膨れ上がる思いと暖かさ。
エンディング近くで語りかけてくるストルトのヴォーカルに痺れる。
「Mystery Train」(6:52)ハードにたたみかけるハモンド・オルガンとギターが、いかにもプログレッシヴ・ロックらしい、ワイルドでミステリアスなナンバー。
コミカルさとシリアスさの中間をゆくようなヴォーカル・パートが面白い。
モースのリード・ヴォーカルは、ダークになりきれないが、押し捲る演奏は実に痛快だ。
透明感あるコーラス、中間部の枯れ果てたメロトロンの響きに思わず胸が熱くなる。
またリズム・セクションの見せ場もある。
「My New World」(16:16)ストルトのリード・ヴォーカル。
映画音楽のように美しい弦楽奏にストルトのギターが奏でる雄大なテーマが重なってゆく感動のオープニング。
一気に雰囲気は THE FLOWER KINGS だ。
一転して、懐かしいピアノの伴奏で歌うストルトに、ポール・マッカートニーがオーヴァーラップする。
ほのかなユーモアを漂わせる語り口に、昔話を聴いているように、心が温まる。
サビでモースのコーラスが入ると、思わず鳥肌だ。
イノセントでノスタルジックなコーラス。
THE BEATLES 調、と簡単にいってしまうには、もったいなさ過ぎる。
ていねいにハモるツイン・ヴォーカルは、正統英国ロック調。
オルガン、シンセサイザーの響きも美しい。
そして、ハモンド・オルガンのリードで、リズミカルに曲調は変化、アドリヴ風に重なるギターはスティーヴ・ハウか。
そのまま軽やかなテーマ変奏、そしてシンセサイザーのソロも盛り込み進んでゆく。
このソロは、ストルトのギター・シンセサイザー? リズム・セクションもきっちり見せる。
そして、なめらかなユニゾンからシンフォニックな第二テーマへ。
鐘の音とともにメロトロンがざわめき、ギターが歌い上げるさまは、THE FLOWER KINGS そのものだ。
さまざまな色の音が散りばめられて神秘のマーブルと化し、渦を巻くように静かに消えてゆく。
暗転。
爪弾かれるピアノ。
テーマが静かに再現している。
深く反響し、重なり合うヴォーカルとハーモニー。
イコライズしたヴォイスを散りばめる。
ここはモースとトレワヴァス。
ゆっくりとリズムが刻まれ、アンサンブルが動き出す。
再び打ち鳴らされる鐘。
ピアノ。
オルガンにリードされてエネルギッシュな演奏が帰ってくる。
そしてハモンド・オルガンのソロ。
甦るウェイクマン。
バスドラを連打するドラムがすばらしい。
続いてギター・ソロ。
少しジャジーなストルト得意のフレージング。
オルガンのテーマからぐっと高まるも、巧みにブレイクをはさみ、軽やかなテンポを取り戻す。
リズミカルな伴奏とともにストルトが歌い出す。
間奏は第二テーマ。
ギターのオブリガート/間奏はリラックスしたステキなプレイ。
二つのテーマを巧みに絡めながら、たたみかけるようなユニゾンとユーモラスなソロをまじえつつ、めまぐるしくもリズミカルに演奏が進む。
そして、再びキーボードがゆったりと高まり雄大な場面が描かれる。
ハーモニーによるヴォーカルが胸を打つ。
モースのリードでメイン・ヴォーカル・パートが再現。
高まるハーモニーそしてリタルダンド。
むせび泣くギターに導かれ、全ては余韻のなかへと消えてゆく。
愛と感動のシンフォニック・ロックの大傑作。
テンポや音量の変化を巧みに使った流れにのせられて、ただただともに歩み続けるのみ。
モースの音楽が生の躍動感だとすると、ストルトの音楽は極彩色の彼岸の夢である。
ギターとハモンド・オルガンの応酬は痛快の極み。
特に終盤のまとめ方がみごと。
ロイネ・ストルトの力量を再認識できる力作だ。
「In Held(Twas)In I」(17:21) PROCOL HARUM のセカンド・アルバム収録の作品のカヴァー。
原曲は、「Sgt.Peppers...」に沸き立つ 68 年の早すぎたロック・オペラの名品である。
「A Day In The Life」をスケールアップしたような幻想に満ちたストーリーを、原曲の雰囲気に忠実なアレンジで描いてゆく。(実際は、ボードヴィル仕立ての小さなブリッジである第三部が省略されている)
ドラマティックな展開と、4 人それぞれの声を活かしたヴォーカル・アンサンブルがすばらしい。
演奏は、苦悩から歓喜まで深い情感を湛えるメロディを、鮮烈なギターと憂愁のオルガン、ロマンティックなピアノが支え、効果音も巧みに用いて進んでゆく。
ストルトはトロワー風のプレイは得意そうだ。
過激ささえもノスタルジックに響いてしまうのだが、普遍的なメッセージのバイブレーションは、今でも確かに伝わってくる。
コンセプトとしてもアルバムを締めくくるにも、これ以上ない絶妙の選曲。
伝道師はトレワヴァス?
オルガンは誰が弾いてもあの音がするのかな。
最後の一声はまさかあの人?
原曲もすばらしいのでぜひご一聴ください。
個人的には大好きな作品です。
(IOMCD 057)