オランダのプログレッシヴ・ロック・グループ「SOLUTION」。 66 年結成。 R&B からスタートしメンバー・チェンジを経つつ 70 年代を通して活動する。 83 年解散。 70 年代前半のサウンドは、管楽器・オルガンをフィーチュアしたポップなジャズロック。 キュートなメロディとソフトな曲調を活かしつつも、思いのほかテクニカルな音楽である。
| Tom Barlage | sax, flute |
| Willem Ennes | keyboards |
| Hans Waterman | drums |
| Guus Willemse | bass, vocals |
96 年発表の「Solution」。
71 年発表の第一作「Solution」(Catfish)と 72 年発表の第二作「Divergence」(Harvest)の 2in1CD である。
76 年に編集された二枚組 2in1LP と同じく第一作のジャケットが用いられているが、同作では収録されていた第二作収録の「Fever」が、本 CD では割愛されている。
2in1CD にはよくある現象だが、もう少しきめの細かい配慮が望まれる。
さて、内容は、オルガン、サックス/フルートをフィーチュアしたインストゥルメンタル主体のジャズロック。
ファンキーかつカンタベリー風の知的なユーモアをも匂わす演奏である。
また、メローなテーマを中心にゆったりと綴ってゆくスタイルには、ブリティッシュ・ロックをお洒落にしたオランダ特有のポップ感覚が、よく現れている。
ギターレスの編成が共通する SOFT MACHINE をポップに口当たりよくしたような音、といってもいいかもしれない。
英国ジャズロックに見いだされる尖鋭性よりは、都会的で繊細な情感とオーソドックスなエンタテインメントを楽しむスタンスで聴くべきだろう。
さて、メロディアスな面を強調したが、実は、演奏は、キャリアに裏付けられたきわめて安定した技巧を誇っている。
70 年代の良心ともいうべきポップ感覚あふれるナンバーがばっちり決まっているのも、お国柄のメロディ・センスに加えて、この演奏力のおかげである。
オルガンとサックスのテクニカルなソロ/インタープレイも楽しむことができるし、さらには、サイケデリックで空間的な演奏すら現れる。
このややサイケデリックな音の質感も、初期の SOFT MACHINE と通低しており、本グループの意識がうかがえるような気がする。
AOR とイージー・リスニング・フュージョンと変拍子テクニカル・ロックをメロディアスにまとめたユニークな作品。
ジャズやラウンジ風の軽音楽を楽しむむきには、お薦めでしょう。
1 曲目は、オープニングのイタリアン・ロック風の「攻め込む」トゥッティが鮮烈な作品。
アンサンブルは、あくまでメロディアスであり、多彩なドラムスのプレイがおもしろい。
後半は、サイケでユルいソロが続く。
3 曲目は、SOFT MACHINE 風のスペイシーな演奏から FOCUS を思わせるメローなフルートを経て、アメリカ風のファンキーなヴォーカルへと展開するドラマチックな傑作。
過激とも思える場面転換が、ごく自然に進むおもしろい作品だ。
4 曲目も、サックス、オルガンによるメロディアスなテーマを軸に、シンフォニックに加熱するナンバー。
SOFT MACHINE の「3」を思わせるシリアスな知性とジャジーな開放感が同居する。
サックスは、ディーンというよりもショーターか。
5 曲目は、無声映画のおっかけシーンようなユーモラスな演奏から、一気にコルトレーンばりのモダン・ジャズへと突っ込む唖然の展開。
ファズを効かせたオルガンがカッコいい。
6 曲目は、完全にメローなポップス。
7 曲目のサックスのテーマは、FOCUS が「Eruption」で取り上げた名品。
「哀愁のヨーロッパ」とともに日本人のラテン気質を思い切り刺激する。
ピアノがいいアクセントだ。
8 曲目は、変拍子のリフで疾走する痛快なナンバー。
10 曲目は、スワンプなヴォーカル・ナンバー。
ソプラノ・サックスがいい音だ。
プロデュースはヨープ・フィッセルとジョン・スヒュールスマ。
「Koan」(7:50)
「Preview」(0.51)
「Phases」(12:19)
「Trane Steps」(10:19)
「Circus Circumstances」(7:03)
「Second Line」(8:43)
「Divergence」(5:55)
「Concentration」(11:29)
「Theme」(0:42)
「New Dimension」(6:25)
(EMI 0777 7 90751 2 6)
| Guus Willemse | bass, guitar, vocals |
| Willem Ennes | electric & acoustic piano, organ, Elka Rhapsody |
| Hans Waterman | drums |
| Tom Barlage | alto & soprano saxes, flute, percussion |
75 年発表の第三作「Cordon Bleu」。
メロディアスなサックスをフィーチュアしたジャズロックに、さらにポップな磨きのかかった好作品である。
全体にインスト重視の作りは変わらず、加えて、ソフトロック/AOR 風のヴォーカルの存在感も大きくなった。
サイケデリックから少しポジションを変え、エレキギターやエレピを用いるクロスオーヴァー系の音作りも現れている。
スリリングながらも明快であり、夢見るようなふんわり感や、テーマのまろやかさとインタープレイの鋭さなどが、絶妙の割合で調合されている。
そのサウンドは、本家英国ロックに迫るクオリティである。
いわゆるフュージョンというには、あまりにファンキーな黒っぽさと、ストリングス・シンセサイザーらによるファンタジック・テイストが強いため、思い切って「軟派な SOFT MACHINE」といってしまうべきだろう。
よく見れば英国録音であり、アートワークは HIPGNOSIS、プロデュースはガス・ダッジョンなのだ。
この出来は、当然というべきだろう。
CARAVAN、ELO、10CC、PILOT などブリティッシュ・ロック・ファンとカンタベリー、ジャズ・ファンなど、みんなにお薦め。
オマケな 4 曲目が実は絶品。
CD のジャケットは、文字の位置などが LP とは微妙に異なる。
「Chappaqua」(10:33)ポップでジャジーなシンフォニック・フュージョンの絶品。
「Third Line Part.1」(1:39)
「Third Line Part.2」(5:45)
「A Song For You」(3:53)
「Whirligig」(9:01)
「Last Detail Part.1」(2:48)
「Last Detail Part.2」(2:42)
「Black Pearl Part.1」(1:14)
「Black Pearl Part.2」(5:01)
(CD CBS 32227)
| Guus Willemse | bass, vocals |
| Willem Ennes | electric & acoustic piano, synthesizer, organ, strings emsemble |
| Hans Waterman | drums |
| Tom Barlage | alto & soprano saxes, flute, strings emsemble, percussion |
77 年発表の第四作「Fully Interlocking」。
内容は、エレクトリック・ピアノ、フルート、サックスらをフィーチュアしたエレガントなアーバン・ポップス風ジャズロック。
もちろんフュージョンといってもいいのだが、上品なファンキー・テイストとメローにして芯のあるテーマからすると、きわめて高品位のポップスという方が適切になるだろう。
たとえインスト主体であっても、演奏よりも音楽そのものが大事にされているところが、いわゆるフュージョンとの違いだろう。
歌以上に歌らしいシンセサイザーやサックスが、控えめに優しげに音を綴っている。
「あれ、FOCUS ってこんなにメローだったっけ」と思ってしまう瞬間もある。
一方では、4 曲目では、ドイツの PASSPORT のような、プログレなシンセサイザーをフィーチュアした R&B タッチのフュージョンも鮮やかに決めている。
全体に、軽やかさや爽やかさを損なわずに丹念に作りこまれた極上のポップアルバムといえます。
そして、ずばり 70 年代終盤の音であり、個人的には懐かし過ぎて冷静ではいられない。
ハンス・ウォテルマン氏の鼓笛隊風のスネア・ロールも特徴的。
プロデュースはガス・ダッジョン。
「Give Some More」ポップでジャジーな歌もの。
「Carousel」キーボードをフィーチュアしたインストゥルメンタル。
傑作。
「Sonic Sea」甘美で幻想的なインストゥルメンタル。アナログ・シンセサイザーによるピート・バーデンスばりの自信あふれるシングル・ノートのフレーズがいい。ソプラノ・サックスとシンセサイザーのユニゾンも美しい。CAMEL の「Moonmadness」を思い出します。
「Free Inside」テーマは YAMAHA のポリシンセか。ソウルフルなフュージョン。インストゥルメンタル。大傑作。
「French Melodie」哀愁バラード調のロマンティックなインストゥルメンタル。情熱的。ピアノとハープシコードなどアコースティックな鍵盤楽器がうまく使われている。
「Empty Faces」KAYAK ばりのメロディアスでスウィートな歌もの。
どうしてオランダのグループはこんなにメロディのセンスがいいのでしょう。
(CD CBS 4610512)