SCOPE

  オランダのプログレッシヴ・ロック・グループ「SCOPE」。 71 年 STRANGE POWER を母体に結成。76 年解散。ATLANTIC から二枚のアルバムを発表。テクニカルなジャズロック。

 Scope I

 
Rik Elings Fender rhodes piano, Hammond organ, grand piano, flute, mini moog
Rens Nieuwland guitar
Henk Zomer drums, percussion
Erik Raayman bass, grand piano, pecussion
guest:
Jochen Petersen soprano sax

  74 年発表のアルバム「Scope I」。 内容は、ややサイケでハードなジャズロック。 音数の多いリズム・セクション(キレは今ひとつ)の上で、ギターとキーボードが火花を散らし自己主張する、せわしない調子が主である。 たたみかけるリフに扇動されて突っ走り、ソロで爆発する。 スピード感はあるのだが独特のタメがあり、キメの緊張感よりは、ルーズなカッコよさの方が似合っている。 おそらく、ハードロック出身のプレイヤーが、流行のジャズロックにチャレンジしたのではないだろうか。 プロデュースも務めるゲストによるソプラノ・サックスなどでジャジーな味わいを見せるのだが、インプロの雰囲気などは、完全にロックである。 忙しなく荒々しい演奏、音は、ISOTOPE の初期作品に通じる。
   ギターは、ヘヴィなナチュラルトーンで弾きまくって前面に出るタイプであり、やはり、ジャズではなくずっとハードロック寄りのプレイである。 ワウやフェイザーのようなエフェクトもバンバン使っている。 ソロも、ペンタトニック主体のアドリヴが主だ。 一方、キーボードのプレイは、サポートに回りながらも、全体をしっかり支えている感じ。 お決まりのローズ・ピアノとともに、オルガンやムーグを使って全体のバランスを調整しており、フルートのプレイでもロマンティックで可憐なアクセントをつけている。 おそらく、音楽的な主導権は、ほとんどの作品を書いているこのキーボーディストが握っているのだろう。 リリカルな作品では、思い切りセンチメンタルな表情も見せている。
  B 面 1 曲目は、ややラテン・テイストのある佳作。 やはり意識は RETURN TO FOREVER なのだろう。 全体にさほど突出したところのない内容だが、フュージョンではないジャズロックとはこういう音を指す、ということを再確認はできる。 全曲インストゥルメンタル。 プロデュースはヨーヘン・ペテルセンとグループ。

  「Watch Your Step」(6:20)オルガンとワウ・ギターで突進するハード・ドライヴィンなジャズロック。 オルガンによるシンフォニックな演出とフルート、ピアノによる叙情的な表現、キャッチーな R&B テイストが特徴。TV 番組のテーマに使えそうだ。

  「Can You Follow Me」(6:40)勢い一発の作品。 けたたましいドラムスもなんのその、マイペースでネジを巻くようなムーグがおもしろいが、とりあえず主役はギターか。 このギターがエレピとともに突っ走る。やはりイメージは、ISOTOPE

  「Kayakokolishi」(7:19)ソプラノ・サックスをフィーチュアした、フュージョン寄りのリリカルな作品。 ミドルテンポで淡々と。 しかし、タメの効いたワウ・ギターのソロにソウルフルなオルガンが絡み始めると、血が騒ぎ出す。

  「Yesternight's Dream」(1:40)思わせぶりなアルペジオによる埋め草。

  「Description」(6:30)RTF 風の幻想的な作品。 ワイルドでチープなギターが意外にカッコいい。

  「Walpurgis Night」(9:49)ソロをフィーチュアして疾走する大作。

  「Chewing Gum Telegram」(4:50)フルートがリードするロマンティックな作品。

  「The Queen Can Do No Wrong」(3:10)リング・モジュレータ炸裂のオルガン、ムーグがカッコいい。
  
(ATLN 40553)

 Scope II

 
Rik Elings Fender precision bass, Hammond organ, Arp synth, grand piano, flute, Solina string ensemble
Rob Franken Fender rhodes piano, Arp odyssey synth
Rens Nieuwland guitar
Henk Zomer drums, percussion

  75 年発表のアルバム「Scope II」。 内容は、まろやかにしてスリリングな極上のジャズロック。 ベーシストは脱退し、二人目のキーボーディストが加入した。 テクニックも作曲も、前作からは格段のグレードアップである。 ギターとシンセサイザーのせめぎあいを軸に、テクニカルなソロ、キメ、さらにはフルートによるリリカルなアクセントまで盛り込んで、シャープな筆致で進んでゆく。 バシっと決まったユニゾンで走る場面は痛快そのもの。 ギターのプレイそのものも前作より切れがある。 また、シンセサイザーの大幅な投入も成功だろう。 前作ではギターに譲りがちだったソロを、Arp シンセサイザーでしっかりと披露している。 そして、ジャジーな切れのよさとともにシンフォニックな広がりも生まれている。 フロントで突っ走るエレピとギターのバックで吹き上げるストリング・アンサンブルの生むファンタジーの妙は、何ものにも変えがたい。 ローズ・ピアノの緩やかな響きやエキゾチックな風味も、もちろんちりばめられている。 全体に硬軟の切り換えが冴えわたる、メリハリある作風といえるだろう。 いつもいっていることだが、ファンキーさはあっても黒っぽさはなく、常に憂いをたたえ謎めいた表情を持っている。 熱っぽい演奏にも冷徹なイメージがある。 そこがヨーロッパのジャズロックの主たる特徴のひとつなのだ。 結論、ISOTOPEBRAND X、中期 RETURN TO FOREVER のファンにはお薦めの大傑作。 プロデュースはヨーヘン・ペテルセン、リック・エリンフス、レンス・ニーウラント。

  「Tamotua」(4:12)
  「Frisky Frog Funk」(5:38)
  「Shuttle Service」(7:41)
  「Ant-Artica」(6:39)
  「Big Ferro」(4:35)
  「High Checker」(2:54)
  「Shuffle Funk Dog」(5:18)
  「The ZebraPart I / Part II」(1:58 + 4:00)
  
(ATLN 50078)


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