イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「ROOM」。 DERAM からの唯一作で知られる。
| Steve Edge | lead & rhythm guitars |
| Chris Williams | lead guitars |
| Bob Jenkins | drums, conga, percussion |
| Jane Keverns | vocals, tambourine |
| Roy Putt | bass |
70 年発表のアルバム「Pre-Flight」。
内容は、ブルーズ・ロックにオーケストラなど多彩なアレンジを持ち込んだプログレッシヴなハードロック。
地味だがパンチのある低音女性ヴォーカルとギターをフィーチュアしたブルージーな音を中心軸にして、ジャズやフォークなどさまざまな方向に変化する、英国ロックらしい多様なスタイルである。
フォーク風のメランコリックなアコースティック表現も多いため、全編にわたってストラヴィンスキーばりのブラスやストリングスを多用した大仰な音つくりにもかかわらず、なお色褪せた写真のような郷愁がある。
そして、管絃の音質とヘヴィなブルーズ・ロックの対比、音の厚みの変化は、劇的としかいいようがない。
ドラマチックなアレンジを主眼とした結果、個々の楽曲の中ですら、統一された流れよりも、瞬間の勢いと予想外の展開の生むスリルが聴きものとなっている。
したがって、アルバムを通したイメージは、ノスタルジックな色調以外は、散漫といってもいいくらいだ。
とはいえ、ギター、ドラムスなど、各プレイヤーのセンスはかなりいい。
ダブル・ギターがせめぎあい、パワフルかつ俊敏なドラムがからむインスト・パートは迫力満点だ。
ギターは、ブルーズ・スケールによるいわゆるリード的な表現に加えて、T2 の唯一作のような荒々しくコードをかき鳴らすスタイルがカッコいい。
そして、ギターもドラムスにも、ハードロックといい切れない、ジャジーななめらかさと細やかさがある。
そこがユニークだ。
楽曲は、やたらと思わせぶりなオープニングからシンバル・ワークがさえる 1 曲目のドラマチックな大作、そして、LED ZEPPELIN を思わせるブルージーな 2 曲目がいい。
また、5 曲目のテーマもいかにも懐かしい。
全編を貫くスタイリッシュな感じ、つまり「偏屈だが見栄っ張り」な感じもまた、英国ロックのエッセンスである。
プロデュースはミッキー・クラーク。
「Pre-Flight - Part I,II」(9:00)管弦楽を活かしつつもフォーク・タッチもある、あまりにドラマティックな佳曲。
この音の少なさはただごとではない。
「Where Did I Go Wrong」(5:30)LED ZEPPELIN や JEFF BECK GROUP ばりのカッコいいブルーズ・ロック。
リズム・セクションが健闘。
「No Warmth In My Life」(4:37)
リリカルなブラス、ヴォーカルとハードロック調のリフの対比は、やがてアコースティック・ギターとトランペットによるジャズ・コンボに変容し、その後もドラム・フィルを狂言回しに次々に変わってゆく。
「Big John Blues」(2:36)やや埋め草感あるブギー。ツイン・リード・ギターがカッコいい。
「Andromeda」(5:10)ニューロックらしい悠然とした広がりのある作品。
ヘタなヴォーカル、奇妙にポップなメロディ、10 拍子パターン、ツイン・ギターの絡みなど、まとまりのなさが個性に感じられる面白い作品だ。
「War」(4:37)
「Cemetry Junction - Part I,II」(8:29)
(BRC-29201 / DERAM SML 1073)