RAGNARÖK

  スウェーデンのジャズロック・グループ「RAGNAROK」。 70 年代から 90 年代初頭まで活動し、五枚の作品を残す。 サウンドは民謡風のユニークなジャズロック。 初期はペーター・ビリゲルソンのギターが中心となっている。 SILENCE RECORD。

 Ragnarök

 
Lars Peter Sorensson drums
Stefan Ohlsson drums, guitar
Peder Nabo flute, guitar
Steffan Strindberg bass
Peter Bryngelsson guitars
Henrik Strindberg electric guitar, flute, soprano flute, soprano sax

  76 年発表の第一作「Ragnarök」。 内容は、歌謡曲、フォークソング風の渋い味わいをもつ、個性的なギター・インストゥルメンタル。 ベースも含めて二本のエレキ/アコースティック・ギターが、フルートらの彩りを得て、トラッド風味たっぷりに絡み合う演奏である。 本格的なクラシック・ギターのプレイがあるかと思えば、北欧のグループ特有の「場末のスナック歌謡」風なところもあるし、クレジットにはないが、ローズ・ピアノを使った「あの」クロスオーヴァー・サウンドも見事にこなしている。 そして、どの曲にも、精妙な表情を持つギター・プレイがある。 特に、7 曲目、アコースティック・ギター・アンサンブルによる美しい和音の響きを活かした、ラテン/トラッドの微妙な味わいはみごと。 この 1 曲で、ビリンゲルソンのギターの魅力に取りつかれるだろう。
  ナチュラル・ディストーション・サウンドが「70 年代ルパン三世(山下毅雄)と探偵物語(ショーグン)」的郷愁を誘う演歌ロック、ヨーロッパ片田舎の風景のようなひなびたフォーク・アンサンブル、マイルス・デイヴィス- RETURN TO FOREVER -KING CRIMSONMoonchild」-「Islands」路線のクロスオーヴァー/ジャズロックなど、70 年代ポピュラー音楽総覧的な音であふれる大傑作。 いわゆるシンフォニックなプログレを期待するとズッコけるが、あまりにユニークな音に目を見張るのは、確実である。 70 年代を生きた人々には、おそらく心象風景の BGM として、極自然に馴染んでゆくでしょう。 バラードです。

  「Farvel Kopenhamn(Goodbye Copenhagen)」(2:30)アコースティック・ギター・トリオ。

  「Promenader(Walks)」(4:40)ナチュラル・トーンのアルペジオとファズ・ギターがリードするフォーク・ロック。 ローズ・ピアノが寂しげに響く。 どうしても、昔の喫茶店やダンスホールの BGM に聴こえます。

  「Hybakat Brod(Freshbaked Bread)」(3:01)アコースティック・ギター・トリオに二本のフルートが加わったリズミカルかつ哀感あるアンサンブル。 奇妙なつぶやきと調子ッパズレなギターが突如挿入される。

  「Dagarnas Skum(Foam of the Days)」(8:07)アルペジオとスライド・ギターが静かに呼応しフルートがささやくドリーミーなナンバー。 雰囲気は 2 曲目に似る。 ハーモニクスが美しい。 次第に演奏は高まり、ソロの応酬とハーモニーへと進むも、温度はあまり上がらずもの悲しい。 リズム・セクションは地味ながらも的確なプレイだ。 終盤のソロ合戦はみごと。

  「Polska fran Kalmar(Reel from Kalmar)」(0:46)トラッド風のフルート・ソロ。

  「Fabriksfunky(Factoryfunk)」(4:49)一転してブルージーなジャズロック・ナンバー。 ローズ・ピアノ。 田舎から少し街へでてきた感じである。 シンコペーションのせいかグルーヴがある。 フルートはトーキング・スタイル。 生々しい音のギターがいい。

  「Tatanga Mani」(4:34)ラテン色豊かなアコースティック・ギター・トリオ。 スパニッシュ・ギターを思わせるモダンな和声も使われている。 後半フルートも加わり、ブルージーな展開を見せる。

  「Fiottot」(1:23)エレピ、ギター、リズム・セクションによるユーモラスなトラッド小品。

  「Stiltje-Uppbrott(Calm-Breaking up)」(4:21)アコースティック・ギターと二つのフルートによるアンサンブルが美しく哀しいバラード。 イントロにピアノが使われている。 タイトル通り終盤は、フルートが音高くさえずり、7th の和音が優しい。

  「Vattenpussar(Pools of Water)」(4:08)古いオルゴールを思わせるエレキギターとローズ・ピアノによる歌謡曲風のバラード。 中盤からサックスが加わり、一気に音の表情にツヤが出る。

(SRSCD 3613)

 Fjärilar I Magen

 
Peter Bryngelsson guitars
Peder Nabo piano, flute, pecussion
Dan Söderqvist guitar
Thomas Wiegert drums, percussion
Kjell Karlgren sax

  79 年発表の第二作「Fjärilar I Magen」。 前作に続き、トラッド風のテーマを用いたジャズロック。 新機軸は、ヘヴィな展開やアップ・テンポのインタープレイである。 ヘヴィなアクセントのあるナンバーからエレピ入りのムーディなナンバー、アコースティックなナンバーまで、さまざまな曲調に共通するのは、ノスタルジックな哀愁と幻想性である。 ヒステリックなロングトーン・ギターや叙情的な場面のフルート、サックスのプレイなど、KING CRIMSON との接点もあるようだ。 全曲インストゥルメンタル。 ギターのセデルヴィストは、ÄLGARNAS TRÄDGÅRD の元メンバー。

(SRS 4655)

 Fata Morgana

 
Peter Bryngelsson guitars, keyboards, xylophone, bouzoki, glocken spiel
Tomas Wiegert drums, xylophone
Kjell Karlgren sax, flute, keyboards
Per F. Andersson bass, xylophone, glocken spiel, trumpiano
Magnus Jarlbo trumpet, flugel hron, keyboards

  81 年発表の第三作「Fata Morgana」。 第二作でやや変化を見せたサウンドが、一気に進展、管楽器を大幅に取りいれたジャズロックへと変貌する。 フュージョンではなく、ビッグ・バンド風味のあるジャズロックであり、凶暴なギターや野太いサックスの存在など、むしろ中期以降、「Lizard」、「Islands」辺りのKING CRIMSON と比較しうる音だ。 全体に、管楽器とキーボードがジャズ面を固め、ギターとリズムがヘヴィ・ロックとしての側面を固めている。 テーマやアンサンブルなどに、クラシカルなところもある。 さらには、81 年以降の新生 KING CRIMSON に通じるエスニック・テイストも見られる。 シロホン、グロッケンシュピールが多用されている。

  「Midvinterblot I」(2:50)東アジア・エキゾチズムあふれる作品。 シロホンがフィーチュアされている。

  「Fata Morgana」(5:32)怒涛のリズムと凶暴なギターによる緊迫感あふれる KING CRIMSON 調ジャズロック。 中間部、サックスのリードする演奏には、初期 KING CRIMSON と同じモダン・ジャズ・タッチあり。

  「Jatora Em Bak」(4:43)シンプルなドラミング、シンセ・ベースによるニューウェーヴなリズムにもかかわらず、フォーク風のテーマが活きるビッグ・バンド・ジャズ。 突如ヘヴィなギター・フィードバックが轟き、ブズーギがささやくところが普通でない。

  「Vild Av Friden」(4:02)サックスがブロウしまくるバラード調のナンバー。 ギターのアルペジオが伴奏。 ワイルドな音色のわりには流れはスムースであり、モダン・ジャズとは決していえない。

  「Leningrad I & II」(9:15) パート I は、アコースティック・ギターがさざめき、オルガンとフルートが応えるパストラルな作品。ギターの和声が不安をかきたてる響きを帯びることもあるが、概ねメロディアスだ。 パート II はエスニックにしてヘヴィな作風。 木琴アンサンブルが巧みに使われている。 後半は、ヘヴィなギターと豪快なサックスがリードし、リズムも次第に荒々しく力強くなってゆく。 ブレイクの後の、自信にあふれた強烈なユニゾンがカッコいい。

  「Midvinterblot II」(3:15)
  「Elefanten På Tåget」(2:28)
  「Eskapage」(4:04)

(SRS 4666)


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