ブラジルのクラシカル・ロック・グループ「QUATERNA RÉQUIEM」。 女性キーボード奏者のエリザ・ウィアマンとドラマー、クラウディオ・ダンタを中心に結成。 90 年アルバム・デビュー。 作品はライヴ盤含め三枚。 キーボードをメインにフィーチュアしたクラシカル・ロック。
| Elisa Wiermann | keyboards |
| Claudio Dantas | drums, percussion |
| Marco Lauria | bass |
| Jones Junior | electric & acoustic guitars |
| Kleber Vogel | violin |
92 年発表のアルバム「Velha Gravura(Old Grave)」。
90 年発表の LP に曲を追加して CD 化した作品である。
内容は、キーボード、ヴァイオリンをフィーチュアし、室内楽風から交響曲風まで幅広いスタイルを模したシンフォニック・ロック。
多彩なキーボードに加えて、エレガントなヴァイオリン、ゲストのオーボエやフルートも交えたたおやかで優美なクラシック・ロックである。
エレキギターが、独特の素朴な味わいのあるプレイをするところも特徴的だ。
また、ヴァイオリニストはかなりの名手らしく、音に説得力がある。
全体に、演奏は節度と落ち着きのある丹念なものであり、極端過ぎる表現はない。
音量や速度のダイナミクスも、曲想に照らして適切である。
ただし、音質がややチープなのと、きわめて紋切り型のベース・ライン、リズム・セクションのヨタりが難点。
この種のクラシカルなスタイルの作風では、リズム・セクションがなぜか冴えずに全体のノリを損なうケースが多々あるが、本作もその例にもれない。
クラシックの素養を保ちつつロックなノリも忘れないというのは、本当に数少ない天才型のミュージシャンにしか成しえない荒業なのだろう。
ANGLAGARD のような、攻撃性を前面に打ち出した前衛クラシカル・スタイル以外で、打楽器や低音部を含めてメロディアスかつ厳かで真にポリフォニックなアンサンブルを追及するグループは、なかなか見当たらない。(同国の POCOS AND NUVENS というグループは惜しいところまでいっている)
3 曲目で知れるように、作風の原点は CAMEL の「Snow Goose」と GENESIS のトニー・バンクスらしいが、CAMEL がちゃんと身に付けていたロックとしてのカッコよさも追いかけてほしい。
作品全体ににじみ出る上品さが特徴の佳作。
少し沈んだ表情を見せるピアノやヴァイオリンの表現に本格派の力量を見ます。
切なく美しい音が聴きたい向きにはお薦め。全曲インストゥルメンタル。
「Romoniana」(6:20)
「Aquartha」(5:04)
「Velha Gravura」(12:17) 5 分辺りからモロに CAMEL になります。終盤のがんばりは好感度大。
「Tempestade」(10:13)
「Madrugada」(10:32)
「Toccata」(6:00)
「Carceres」(3:46)
「Elegia」(4:43)
(FCD-01)
| Elisa Wiermann | keyboards |
| Claudio Dantas | drums, percussion |
| guest: | |
|---|---|
| Fabio Fernandez | bass, acoustic guitar |
| Jose Roberto Crivano | guitars |
94 年発表のアルバム「Quasimodo」。
ギタリスト、ベーシスト、ヴァイオリン奏者が脱退し、2 人編成となる。
ギターとベースはゲスト・ミュージシャンを迎えている。
内容は、キーボードを中心としたクラシカルかつメロディアスなシンフォニック・ロック。
中世からバロック周辺をイメージさせるアンサンブルによる優美なサウンドを主に、攻撃的なアンサンブルでアクセントする作風である。
演奏の主役は、チャーチ・オルガンやチェンバロまでを駆使して厚みある音を生むキーボード、メロディアスなギター、そしてそれらのコンビネーション。
攻め込む場面でのリズム・セクションの勢い、手数もかなりのものだ。
キーボードはシンセサイザーが中心であり、管弦をイメージさせつつ、独特の透明感や光沢を生み出すことに成功している。
一方、音色のヴァリエーションをキーボード一人が負うことになり、微妙な色合いやアコースティックな深みが薄らいだきらいがある。
そして、主役のキーボードがパターン反復にハマってしまうと、絡んでくる楽器がないために、アンサンブルに立体感が出てこない。
ドラムスとキーボードの呼吸でいい感じの演奏になっているところもあるだけに、惜しいところだ。
結果として、優美なサウンドにも関わらず、せわしなくドラムスとキーボードが重なり合うアグレッシヴな場面の方がカッコよかったりする。
3 曲目の後半はまさにそういった例だ。
全体に、やや平板なプロダクションと不調法な変拍子オスティナートさえ気にしなければ、AFTER CRYING や RUMBLING ORCHESTRA を細身にしたような世界が楽しめる内容である。
上品さと伝法な感じが微妙な均衡を見せています。
全曲インストゥルメンタル。
「Fanfarra」(5:33)
「Os Reis Malditos」(13:07)
「Aquintha」(6:06)
「Irmaos Grimm」(11:02)
「Quasimodo」(38:59)