PETE BROWN & PIBLOKTO

  イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「PETE BROWN & PIBLOKTO」。 THE BATTERED ORNAMENTS をクリス・スペディングに譲ったボヘミアン詩人ピート・ブラウンが結成したグループ。 作品は編集盤を含め三枚。 R&B、ブルーズ・ロック、ハードロックからサイケデリック・ロック、ジャズロックまで、幅広い音楽性を詩人のセンスで束ねた 70 年代初頭らしい英国ロック。

 Thousands On A Raft

 
Pete Brown vocals, talking drums, conga
Jim Mullen guitars, bass on 2, percussion
Dave Thompson keyboards, soprano sax, Mellotron on 2, percussion
Steve Glover bass, percussion
Rob Tait drums, percussion

  70 年発表のアルバム「Thousands On A Raft」。 第一作から半年後に発表された。ベーシストは、ソロを目指したロジャー・バンからスティーヴ・グローヴァーに交代。 内容は、ブルーズ・ロックを軸にしたジャズ、R&B テイストある演奏に、弾き語りを強引にシャウトにしたようなブラウンのヴォーカルを乗っけたもの。 つまり、70 年代初頭らしい英国ジャズロックである。 わりとハードなサウンドなのだが、シンプルなノリやスピード感で勝負というタイプではなく、音をかっちりと積め込んだ緻密なアンサンブルと細かなリズム割り、技巧的なアドリヴを駆使するスタイルであり、特に後者のニュアンスは CREAM と同じ意味でジャズに近いといっていいだろう。 演奏面では、ギター、オルガン、ピアノのキレのよさ、そして音使いに見せるさりげないセンスが印象的だ。 ブルージーなワウ・ギターのアドリヴとファンタジックなアルペジオが同居し、オルガンがシンフォニックに高鳴ると思えば、エレクトリック・ピアノがジャジーなアドリヴで迫る。 リズム・セクションも、ヘヴィなビートを堅実かつ「軽やか」に決めている。 ピート・ブラウンのアングラなイメージほどには演奏は地味ではなく、猥雑で脂ぎっていながらも華はある。 歌詞を味わえない(もっとも、曲名だけでもその奇矯なセンスは想像できると思うが)非英語圏のリスナーにはヴォーカルの魅力が半減するのもしかたないが、武骨な悪声と器用といっていいほど冴えたバンド演奏のマッチの妙は、みごとの一言である。 ブラウンの戦略は、バンドの卓越した演奏力を彼自身のフォーキーなセンスによる歌もので枠にはめ、その反動を生かしてインストゥルメンタルでは一気に解き放つということだったに違いない。 超名盤の放つバロックな魅力こそないが、統一感ある完成された作風であり、英国ロックの多彩な魅力を満載した佳作といえる。 3 曲目の長大なインストゥルメンタルでは、CREAM をやや洗練したような、COLOSSEUM を細身にしたような、シャープな演奏が繰り広げられる。 6 曲目タイトル作は、PINK FLOYD ばりの幻想性を誇示する名作。 ボーナス・トラックの第二弾シングルでは、さらにジャジーに迫っており、クロスオーヴァー的なニュアンスさえ現れる。
  ベイクドビーンズが薄焼きトーストに乗って墜落したコンコルドや難破したタイタニックから避難しているというシュールなジャケットも秀逸。

  「Aeroplane Head Woman」(6:42)「飛行機頭の女」
  「Station Song Platform Two」(3:41)「二番線の歌」
  「Highland Song」(17:03)「高地の歌」
  「If They Could Only See Me Now - Parts One And Two」(12:06)「分かり合えれば」
  「Got A Letter From Computer」(5:49)「コンピュータからの手紙」
  「Thousands On A Raft」(7:10)「救命ボートの幾千人」

  以下、ボーナス・トラック。
  「Can't Get Off The Planet」(6:02)「途中下車不能の惑星」シングル第二弾、A 面。COLOSSEUM ばりに R&B テイストがたっぷりのヘヴィ・チューン。オルガンもカッコいいです。
  「Broken Magic」(6:57)「効かない魔法」シングル第二弾、B 面。 日曜日の朝のようにデリケートな表情を見せるジャジーな作品。ギターが魅力。こちらも名曲。
  
(Harvest SHVL 782 / REP4408-WY)


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