フィンランドのプログレッシヴ・ロック・グループ「NOVA」。 74 年結成。作品は Love Records からの 76 年の一作のみ。 WIGWAM フォロワー。
| Antti Ortamo | keyboards, vocals |
| Jukka Marjala | drums |
| Micca Vasenius | guitars |
| Petri Peltola | bass |
| Jouko Helatie | guitars |
| guest: | |
|---|---|
| Veikko Kumpula | bass on 2 |
| Eeva Lehto | vocals on 4 |
76 年発表のアルバム「Atlantis」。
それぞれに特徴をもつシンフォニック大作三つとブルージーな小品から構成される。
ユッカ・グスタフソンによく似たリード・ヴォーカルを中心に、ブルージーなギター、リリカルなキーボード、ていねいなリズムが誠実なアンサンブルをドライヴしてゆくスタイルである。
全体にアーシーでもったりとしたイメージだが、ローカル色と PINK FLOYD、初期 CAMEL などのアートロック色がいい感じでブレンドされている。
おそらく米スワンプの影響とともに WIGWAM の影響を直接強く受けた作風なのだろう。
言葉でいうならば、エレクトリックなブルーズ/スワンプ・ロックをベースに、ピアノやギターなどフォーク・タッチのアコースティックな音を活かし、ほんのりソフト・サイケ調をまぶした叙情サウンドである。
そして、ヴォーカル中心のミックスやきつすぎないリズム・セクション、ゆったりしたリヴァーブのおかげで全体に夢見るような柔らかさがある。
この、一歩あやまるとぼんやりしそうな音像を引き締めているのが、ピアノの音である。
1 曲目では、ジム・ペンブロークというかゲイリー・ブルッカーというか、はたまたリチャード・マニュエルというか、このピアノが全体の雰囲気を決めている。
また、ソロ・パートではオルガンやギターがきっちりシャープな見せ場を作っている。
特にオルガンは、意外性と爆発力のあるプレイで曲を引き締めている。
どちらかといえば甘口だが、メロディに流されるばかりでなく、整ったアンサンブルの面白さをちゃんと味わえる。
クラシカルでフォーキー、そして哀愁あふれる曲運びには、全体として KAIPA と同じ味わいがあるといってしまってもいいだろう。
こういう音を耳にすると、どうしてもノスタルジーにひたってしまうのだが、このメロディやハーモニーの暖かみと優しさには、個人の思い出を越えた普遍的な魅力があると信じている。また、スワンプ風ながらも厭世感がなくシリアスになり切らないのは、フィンランド語の響きによるのではないだろうか。
「Se Vuosi(Its Year)」(15:00) 初期 WIGWAM、PROCOL HARUM をイメージサせる歌もの大作。
70 年代の音。
ピアノの音が印象的。
終盤のインストパートでは、オルガンが目の醒めるような技巧的なソロを放つ。
「Kaupungin Naiset(Women's City)」(3:14) ギター、オルガンをフィーチュアした暖かみあるブルーズ・ロック。
個人的には SPOOKY TOOTH を思い出しました。
「Atlantis」(9:17)テクニカルなオルガンがカッコいい、ジャジーな作品。前半のアコースティック・ギターのソロがあまりにすばらしい。
終盤には渦を巻く CAMEL 風のストリングス・シンセサイザーもフィーチュア。
プログレッシヴ・ロックらしい逸品です。
「Vanha Surullinen Lautu(Old Sad Song)」(10:19)
クラプトンの「Let It Grow」を思い出させるセンチメンタルなメロディ、厳かにゆったりと歌を支えるオルガン、ストリングス、オルガンによる絶妙の「外し」オブリガートなど、KAIPA に匹敵するセンスを盛り込んだシンフォニック・バラード。
後半、オルガン奏者がエマーソンばりの爆発的なプレイを披露し、終盤は感動的。
(LRLP 169 / Si-Wan SRMC-4050)