ポーランドのミュージシャン「Niemen Czeslaw」。 39 年生まれ。 SSW にしてキーボーディスト、そして 60 年代から活躍するポーランドの国民的ポップ・スターだそうです。 CBS と契約し、74 年にはヤン・ハマーらとニューヨーク録音を果す。 70 年代中頃の作品はキーボード中心のジャズロック。
| Niemen | voice, Hammond organ |
| Zbigniew Namyslowski | alto sax |
| Janusz Zielinski | bass |
| Tomasz Jaskiewicz | guitar |
| Czeslaw "Maly" Bartkowski | drums |
| Zbigniew Sztyc | tenor sax |
| Michal Urbaniak | tenor sax, flute |
69 年発表のアルバム「Enigmatic」。
自身の奏でるハモンド・オルガンをフィーチュアしたヴォーカル・アルバム。
エモーショナルなヴォーカルが、荘厳なコラール風の作品からスワンプ風味のジャジーなナンバーまでを貫く、濃厚な情感のこもった音楽である。
フォーク色よりもジャズ、R&B 的なグルーヴが強く、イタリアの歌ものよりは英米の主流の音に近い。
圧巻は、旧 A 面を占めていたと思われるクラシカル大作。
オルガンと合唱が、厳かにして重厚な雰囲気を盛り上げる傑作である。
他の作品ではサックスを多用しており、英国ブルーズ・ロック/ジャズロック同様、アメリカの方を向いた音となっている。
ミカル・ウルバニアクもバックアップ。
この時代の音にひたるにはドンピシャ。
熱いです。
「Bema Pamieci Zalobny - Rapsod」(16:27)
「Jednego Serca」(7:37)
「Kwiaty Ojczyste」(7:24)
「Mow Do Mnie Jeszcze」(4:48)James Brown を思い浮かべてしまう作品。
(PNCD 356)
| Czeslaw Niemen | voice, organ |
| Jozef Skrzek | piano, e-bass, organ, harmonica |
| Helmut Nadolski | double bass, cymbals |
| Antymos Apostolis | guitar |
| Jurek Piotrowski | drums |
72 年発表のアルバム「Strange Is This World」。
後の SBB をバックにしたがえた爆発的なヘヴィ・ロック作品。
英国ロックと全く同じく、アメリカの R&B を真っ向から受け止めて、思い切り吸収している。
中心となるのは、ソウルフルという言葉ではもはや足りない、沸騰しそうな迫力をもつヴォーカル。
作品には、雄々しき風格がある。
やっつけ気味のアドリヴの応酬の果ての熱っぽい混沌を、鐘の音が一掃する、この濃密なるドラマとカタルシスは AREA ?
英国でいえば、LED ZEPPELIN、SPOOKY TOOTH、COLOSSEUM といった超一流となんら遜色なし。
2 曲目で壊れ、4 曲目で大爆発。
ヴォーカルは英語。
「Strange Is This World」
「Why Did You Stop Loving Me」
「I've Been Loving You Too Long」
「A Song For The Deceased」
(GTR 119)
| Czeslaw Niemen | mellotron, moog, moog bass, EKS synth |
| Piotr Dziemski | percussion, bass tomtom |
| Andrzej Nowak | clavinet, Fender piano, acoustic piano |
| Jacek Cazda | bass |
| Stawomir Piwowar | electric & acoustic guitar |
74 年発表のアルバム「Niemen Aerolit」。
内容は、キーボードを駆使したテクニカルな演奏がエキゾティックなテーマをドライヴする、民族ジャズロック作品。
ニーメンのソウルフルかつ濃厚な原語ヴォーカルを取り巻くのは、シンセサイザー、メロトロン、エレピ、クラヴィネットら多彩なキーボードときめ細かいリズムである。
東欧の文化にはまったく明るくないのだが、独特の節回しには、明らかに、イスラム圏やアジアをイメージさせるものがある。
シンセサイザーやギターによるテーマにも、この民族色が強く現れており、MAHAVISHNU ORCHESTRA を思わせるところもある。
ブルージーなヴォーカル、ギターとダークなメロトロンによるミステリアスなパート、ムーグやエレピがふんだんに用いられた跳ねるようにテクニカルなアンサンブルが、対比/協調しているところが、本作の特徴といえるだろう。
ムーグは、管楽器系の民族楽器のニュアンスを模すような、巧みなピッチ変化を見せる。
一方、エレピやクラヴィネットは、いかにもこの時代独特のクロスオーヴァー的なプレイ。
また、ヴォーカルの唱法には、民族色のみならず、ロッド・スチュアートのような欧米のロック・ヴォーカリストの影響も感じられる。
ポップという点では、想像以上に英米圏の影響をストレートに反映しており、テクニカルな演奏スキル自体は、英米のグループと遜色ない。
同列に扱うべきだろう。
しかしながら、イタリアン・ロックと比べると、欧米の音を取り込みひねくり回して独自の個性にしてしまうようなマニアックな熱っぽさは感じられず、むしろ洗練された輸入方法をちゃんと心得ているようなところがある。
逆にいうと、原語の響き以上にはローカルな面白さは少ない。
メロディ・ラインや和声にはいかにもな民族色が現れてはいるのだが、ワールド・ミュージック系の音に慣れてしまった今となっては、70 年代メインストリーム・フュージョン的な面の方が、「エキゾチック」なものに感じられる。
奇妙な状況ではあるが、ポップ・ミュージックの宿命だろう。
何にせよキーボード中心のプログレッシヴなジャズロックとしてはかなりのものです。
「Cztery Sciany Swiata」
「Piedorzym」民族色豊かな作品。
ムーグが主。
「Kamyk」メロトロンをフィーチュアした神秘的な「静」と緻密なユニゾンによるテクニカルな「動」が交錯する傑作。
フェード・アウトが惜しい。
「Dajmi Wstazke Bitekitna」ブルージーにしてトラディショナル、なおかつ AOR な響きもあるバラード。
デメオラ系速弾きアコースティック・ギターとストリングス系のメロトロン、ムーディなエレピが伴奏する。
「Snutny Ktosi Biedny Nikt」テクニカルな変拍子ユニゾンが伴奏するハードな歌もの。
前半は、GENTLE GIANT がジャズロック色を強めたような感じ。
独特の音階は、やはり民族的なモードなのだろうか。
ヴォーカルは、汗が飛びそうなほどソウルフル。
終盤のキーボード合戦も聴きもの。
(SX 1192)