MASTERMIND

  アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「MASTERMIND」。 86 年結成 作品はライヴニ枚を含めて 2000 年現在八枚。 サウンドは HR/HM 色の強いテクニカル・プログレッシヴ・ロック。 演奏は、EL&PMAHAVISHNU ORCHESTRA からの影響を強く受けており、徹底してけたたましい。 MIDI ギターによるシンセサイザーを用いた EL&P スタイルから、近作では専任キーボードを迎えてジャズロック色も強める。


 Volume One

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, synthesizer, vocals, bass
Rich Berends drums, timpani, gong, percussion
Phill Antolino live bass, MIDI bass pedals

  90 年発表の第一作「Volume One」。 86 年録音、90 年発表のアルバムをリマスターし、96 年に CD として再発されたものである。 サウンドは EL&P 直系のけたたましいシンセサイザー・サウンドと手数を誇るハードロックの融合路線。 MIDI ギターによって操作されるキーボードは、驚くことに音色のみならずフレージングまでキーボード的。 音がややチープでありヴォーカルもあまりに素人臭いのだが、せわしなく攻め立てるキーボード・ロックとしてはなかなかの逸品。 ボーナス・トラック 2 曲。 サウンド的には、EL&P よりも、Emerson Lake & Powell に似ているというべきかもしれない。

  「Child Of Technology」(5:50) ファンファーレのような MIDI シンセサイザーが、けたたましく響きわたるオープニング。 高揚感抜群の導入だ。 ヴォーカルがやや弱いものの MIDI コントロールのシンセサイザーの音色・フレージングと高音で金属的な音で唸るベースなどまさしく EL&P そのもの。 「悪の経典」を思わせるシンセサイザー・ソロへ切り換るところは、あざといのだが思わず破顔。 高鳴るシンセサイザー・ファンファーレの嵐に、ヘヴィなギターが挑んでゆく展開に胸がすく。 まさに EL&P にギタリストが加わった感じといっていい。 ギターは HM 調のザクザクではなく、光沢のあるシンセサイザーに合わせるような流麗なプレイである。 ギターとシンセサイザーのユニゾンが典型的アメプロ・ハード調になってしまうところもおもしろい。 エンディングもギターとシンセサイザーが度派手なユニゾンを決める。
  ファンファーレ調シンセサイザーとなめらかなギターがドライヴするライトなロック・シンフォニー。 ややシンセサイザーの音色が軽いものの、曲想自体が軽やかなもののため違和感なし。 けたたましさ、スピード感も十分である。 EL&P プラスヘヴィ・ギターという試みが成功している。

  「On The Wings Of Mercury」(3:40) しなやかにギターがうねるオープニング。 メロディアスだがヘヴィな様式的 HM である。 しかし、変拍子リフが炸裂し、オルガンが挑発するところがユニークだ。 ギター・ソロは、フロント PU によるロングトーンのテーマから、細かなパッセージによるほとばしるような速弾きへとなだれ込む。 音数の変化による緊張と弛緩の切り返しが効果的だ。 リフをはさみつつギターのテーマが繰り返され、合間合間に超絶速弾きを交えて進んでゆく。 シンセサイザーとのユニゾンも見せる。 そしてメロディアスなソロ。 再びリフ。 けたたましいエンディング。
  しなやかなギターを大きくフィーチュアした変拍子爆走ハード・チューン。 リフでドライヴするトゥッティと速弾きソロが交互に現れて、ややジャズロック的な調子で緊迫感を高め盛り上げてゆく。 キーボードは、オルガン系の音を使ってバッキングに回る。 リフは 8 分の 5 拍子 + 8 分の 6 拍子のパターン。 インストゥルメンタル。

  「The Enemy Within」(4:14) いきなり派手な決め、そしてシンセサイザーが高鳴りギターがむせび泣く、重厚かつ悩ましいオープニングである。 満を持して始まるヴォーカルは、どこかで聴いたようなメロディだが唱法は第一曲よりもプロっぽい。 ストリングス・シンセサイザーがやや東洋的なサウンドで重々しく演奏を彩る間もなく、ツーバス連打のドラムが走り出し一気に盛り上がる。 メイン・ヴァースではやや沈み込む表情も見せるが、表情を変えて一気呵成に盛り上がるところはやはり「アメリカン」である。 ドラムとともにベースもすさまじく小刻みに動いている。 音を詰め込むスタイルだ。 間奏はシンフォニックなシンセサイザーの和音に導かれて、超速弾きギターが飛翔する。 再びメイン・パート、ヴォーカルが戻り、シンプルかつパワフルなドラム・ビートで全てが走り出す。
  第一曲同様シンセサイザー・ファンファーレと速弾きギターをフィーチュアしたシンフォニック・ロックンロール。 重厚かつエキゾチックなシンセサイザーによるテーマとスピード感のあるサビが交錯して、興奮の火に油を注ぐ。 ギター・ソロは速過ぎて、何をしているのかよくわからない。 盛り上がるとどんどん加速して体力勝負になるところは、やっぱりアメリカン。 バルトークを思わせるシンセサイザーがなければ、ただの力んだロックンロールになっているところである。 微妙な表情の変化よりも一気の勢いが勝っている。 ボーナス・トラック。

  「Tiding Of Battle」(5:20) 珍しくスペイシーなシンセサイザーが静々とフェード・インするイントロ。 一気にヘヴィなリフが飛び込むと理解する。 これはタルカスなのだ。 ギターの轟音そして走るリフ。 アナログ風のシンセサイザーとのスピーディなデュオや高鳴るオルガンをバックのリフを経て、勇壮なギターのテーマへと進む。 徹底してギターがリードするアンサンブルである。 めまぐるしい展開からロングトーンによるミステリアスな演奏。 すぐにせわしないリフへと戻る。 ドラムはほとんどブラスト・ビート。 ヘヴィなリフとドラムの力強い呼応の連続。 たたみかけるリフ。 打ち鳴らされるドラム。 再びヘヴィなギターのリードで走る。 邪悪にして重厚。 オルガン系のシンセサイザーが響きバスドラが打ち鳴らされる。 そして始まるはけたたましきシンセサイザーとギターによる強烈なるファンファーレ。 高らかなファンファーレに続くは轟々たる HM なギター・リフ。 再び勇壮なファンファーレ。 オルガンが高鳴りドラムが轟きギターが突き刺さる。 最後はオルガン風のシンセサイザーが締めくくる。
  ヘヴィ・メタル・ギターを中心に重厚かつヘヴィな演奏を次々とつないでゆくインストゥルメンタル・ナンバー。 ソロよりもヘヴィなアンサンブルをオムニバス風につないでおりテンポの変化も激しい。 EL&P を思わせるミステリアスな雰囲気はたっぷり。 そしてドラム、ベース、キーボードとの超絶ユニゾンとインタープレイがこれでもかと繰り返される。 ドラムはマーチ風からブラストまで多彩だが基本は音がつながってしまうくらい叩きっぱなし。 要所で入るオルガン系のシンフォニックなキーボードも効果的。 しかしながらやや一本調子なのも事実。 押し引きの「引き」が全くないのは、やはりアメリカンだから?

  「A Call To Arms」(5:10)シンセサイザーが勇壮に響き渡るオープニング。 シンセサイザーのテーマを受けてそのままヴォーカルが入ってくる。 ややうわずり気味のメロディ・ライン。 サビもオブリガートのシンセサイザーが「庶民のファンファーレ」そのままである。 リズムも前曲から一転してシンプルな 8 ビート。 ヴァースを繰り返して間奏へ。 鮮烈なシンセサイザーの第二テーマ。 ややミステリアス。 ドラムもパーカッション風の乱れ撃ち。 悪の経典風のたたみかけるリフレインを経て、ベースとギターが緊迫感を高めあう。 高音へ伸びるベース、そして勇ましいシンセサイザー・ソロへ。 再び第一テーマが回帰。 賞賛の嵐が巻き起こる。 そしてヴォーカル・パートへ。 拍手喝采やんやの大騒ぎ。 ひたすらシンセサイザーが盛り上がり高らかに響き続ける。
  「庶民のファンファーレ」風のシンセサイザーがオーケストラのように鳴り響き続けるシンフォニック・ロック。 一本調子なのだが問答無用で突き進む。

  「Long Distance Love Affair」(2:55) やや安っぽいシンセサイザーの伴奏とシンプルなドラミングが支えるヴォーカル・ナンバー。 めずらしくコーラスが入る。 メロディ・ラインはチャート・ポップス風。 ギター・プレイはむしろ冴えているような気がする。 安易なヴォーカル・パートと力の入った器楽の落差が巧まずして生んだ効果だろう。
  いくら体力があり余っていても休憩は必要である。 80 年代ハード・ポップの典型のようなナンバー。 EL&P がこういう曲をやっておればまだ生きていたに違いない。

  「Eye Of The Storm」(4:13)シンセサイザーによるキャッチーなテーマ。 ドラムも圧倒的にシンプルである。 再びうわずり気味のメイン・ヴァース。 ハードポップ路線ながら、シンフォニックなシンセサイザーのオブリガートが新鮮だ。 サビも、シンセサイザーのテーマ伴奏はあるものの、いたってシンプル。 大仰だがイージー・ゴーイングなところは、80S' アメリカン・ハードロック以外の何ものでもない。 間奏ではやや落ちつきを見せ、ホイッスル系シンセサイザーとしなやかなギターが歌う。 この辺もポップスの王道である。 ギター・ソロはいかにもキャッチーな HM 風。 ヴァン・ヘイレンか、LA メタルか。 やはりシンセサイザーの分厚いバッキングが売りでしょう。
  メロディアスなハードロック・チューン。 ありきたりの曲調ながら、シンフォニックなシンセサイザーがきっちりとバックを固めているところがユニークだ。 これもキーボード・ロックの可能性と考えればとても興味深い。 音色がリッチな分、ASIA よりはいいのでは。

  「Fanfare」(4:50)ハイハットの刻みにシンフォニックなシンセサイザーが重なるオープニング。 ギターのポルタメントが一閃するとドラムも勇ましくマーチ風に変化する。 もうタイトルそのものである。 シンセサイザーのテーマを軸に勇ましい行進が続く。 一気にリズムが倍速になるとシンセサイザーも変化を見せ始める。 ややロックンロール風になったかなと思う間もなく、すさまじい速弾きギターが走り出す。 ドラムもロカビリー調。 シンセサイザーとギターの熱い呼応はコブハムのソロ作「Spectrum」の 1 曲目に近い。 再びシンフォニックなシンセサイザーが重なり合いながら高鳴り、次第に力をため込むように盛り上がり、頂点で和音を叩きつける。 リタルダンドからシンセサイザーが膨れ上がって消えてゆく。
  タイトル通りシンセサイザーによる勇壮なファンファーレ。 シンフォニックな演奏が、やがてロカビリー調の横揺れリズムで疾走し始めるアイデアはよし。

  「Reach For The Sky」(3:58)ギター・リフ中心に突き進むハードロック。 サビのコーラスやメロディ・ラインなどは、誰の何といえないくらいステレオ・タイプ。 間奏はビートが倍密になり、オルガン風のシンセサイザーとうねるギターが激しくぶつかる。 ここのテンションの高さはさすが。 しかしメイン・パートはあまりに普通。
  ごく普通のハードロック。 珍しくややエモーショナルである。 ボーナス・トラック。

  「One By One」(3:52)どうしても EL&P の「Tank」を思わせるドラム・パターンによるイントロダクション。 シャープなギター・リフ、オブリガートがなかなかいいハードロックである。 シンセサイザーとギターの絡む間奏もシンフォニックというよりは HM。 込み入った間奏をはさみつつも、スピードを失わずストレートに突っ走る。
  ビジーでけたたましい HM チューン。 何も無理してシンフォニックにしなくてもいい、ということがよく分かる。 ヴォーカルの表情も本曲が一番だ。 芯のあるしっかりとした演奏であり、短いながらも、コピーに近い音楽性よりははるかに生き生きとしている。

  「War Machine」(10:30) ティンパニの壮大なロールを経てギターが轟き、シンセサイザーが美しく響きわたるオープニング。 ドラマチックなドラミングとともに勇壮なシンセサイザーが流れる。 金管楽器のような鮮烈なファンファーレ。 シンセサイザーがややミステリアスなメロディを響かせて消える。
  一転してスピーディなシンセサイザーの演奏が始まる。 パーカッション風のドラムもすさまじい。 激しくたたみかけドラが鳴る。 そして粘りつくような気味の悪いヴォーカルとコーラス。 間奏のギターはロバート・フリップ風のロングトーン。 ドラムスは「悪の経典第二印象」ばりの凄まじいまでの手数のタム回し。 シンセサイザーがぎゅんぎゅんと轟く。 再びドラが鳴る。
  THE NICE の「ロンド」を思わせるシャフルの 8 ビートがスタート。 管楽器を模したようなスピーディなシンセサイザー・ソロ。 続いて、独特のレゾナンスがいかにもアナログらしいシンセサイザー・ソロ。 ここらのシンセサイザーのプレイは、EL&P としかいいようがない。 残念なのは明らかに片手でのプレイのみであること(構造上仕方ないのか)。 リズムが崩れてフリー・フォームへ。
  そして激しいドラム・ソロへ。 これも手数とタイミングはカール・パーマー風である。 ツーバスであることと、ビート感が正確であるところが異なる。 エレクトリック・ドラムの使い方もマスターしているようだ。 再びドラが鳴る。
  再びシンフォニックなシンセサイザー、金属的なベースらによるヘヴィなアンサンブルへ。 ヴォーカルはシンセサイザーとともに高らかに伸びやかに歌い上げる。 最後もシンセサイザーのリードで華麗に突き進む。
  EL&P フォロワーの面目躍如たる大作。 局地戦的な高密度、高緊張インストゥルメンタルやシンセサイザー・ソロ、ドラム・ソロは EL&P そのもの。 グレグ・レイクがヴォーカルを取れば完璧である。 それにしても、このキーボードの音をギターから出しているのだから、MIDI というのはすごい技術だ。 ギターではなく管楽器なんかでやる人が出てくるとおもしろいかもしれない。 MIDI クラリネットによる「悪の教典」なんていいかも。 とにもかくにも、好きな人には全く長く感じられない 10 分間です。


  けたたましくファンファーレのように高鳴るシンセサイザーは正に EL&P そのもの。 正直呆気にとられる音である。 ハードロックやギター中心の作品もあるのだが、やはりこの EL&P 風キーボードが縦横無尽に駆け巡るアドレナリン出まくりの作品の印象が強烈。 アレンジは全体にシンプル。 とにかく派手な音とスピード感、そしてマンマのプレイで勝負の痛快な演奏なのだ。 トリオながら音数は大編成並み。 リイシュー・トラックに比べると新曲は格段に色が出ており、EL&P ファンには今後も楽しみだ。 個人的には EL&P を出発点に新奇な HM/HR を目指していただきたい。

(PRO396-2)


 Vol.2 Brainstorm

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, synthesizer, vocals, bass
Rich Berends drums, timpani, assorted percussion

  92 年発表の第二作「Vol.2 Brainstorm」。 前作よりも速度、密度を上げてデフォルメを強めた作風である。 EL&P 度も高い。 MIDI ギター操作によるアグレッシヴなシンセサイザー・プレイは今回も全開であり、もはやフレージングはキーボードを直接弾いているのと何ら変わりがない。 同時に HM ギターもけたたましくスケール・アップし、雨霰と音を降り注いでいる。 ところでなぜに安物パンク・バンドのようなジャケットなのでしょう。 組曲の一部でヴォーカルが入る以外はインストゥルメンタル。

  タイトル・チューンは全て注ぎ込んだ七部構成の大作「Brainstorm」(21:30)。
  「1st Futility」 爆音のような思わせぶりな電子音が駆け巡るイントロダクション。 一気にメタリックなリフ、バスドラ連打による爆発的な演奏がスタートする。 8 分の 5 拍子によるたたみかけるような演奏だ。 MIDI ギターのリフが狂おしく叫ぶと、唸りをあげる演奏とともにギターがいかにも HM らしい派手なソロをぶちかます。 ギターはワイルドなソロから一転してメロディアスなプレイへ。 切りかえが鮮やかだ。 MIDI シンセサイザーで EL&P を意識したようなオブリガートをはさむのも忘れない。 メロディアスなギターをはさみ、速弾きソロから再び激しいリフの応酬となり、快速のキメを連発。
  一瞬で沸騰してそのまま一気に駆け抜ける序章。 眩暈がして鼻血が出そうなほどにハイテンションなのだが、重みよりもしなやかさが印象的であり独特のスピード感がいい。 EL&P を思い切り HM/HR 方向へデフォルメした出色の作品である。 インストゥルメンタル。

  「Light Of Day」 ミドル・テンポに落ち、いかにも歌を迎えるようなオープニング。 メイン・ヴォーカルはハードロックと 80' ハードポップの中間くらいの感じである。 ヘヴィなギター、シンセサイザーが一体となって轟く伴奏。 シンセサイザーがドラムスとともにスタカート気味に高鳴る間奏がいい、というか、まんま EL&P。 不思議なことに単純なギター・リフにシンセサイザーがユニゾンするだけで、プログレ魂に火が点いてしまう。 ギター・ソロはややお約束通りのネオ・クラシカル系速弾きであり、DEEP PURPLE 以来あまり進展のないプレイである。
  メロディアスなヴォーカルが前曲の勢いを受け止めて、威風堂々とした姿を印象つける。 HM 化した ASIA ともいえる。

  「2nd Futility」 ブレイク、そしてギターによる目まぐるしい 3 連下降音形を経て、無神経な 1 曲目の変拍子トゥッティが再現される。 独特の無機的な調子が「Tarkus」に近いニュアンスがあると気がついた。 迸るようなリフの上でギターが絶叫し、バスドラが細かくロールし続ける。 再びメロディアスに歌い上げるギターを「トッカータ」を思わせるシンセサイザーの和音連打が吹き飛ばすと、ギターも牙を剥いて HM スタイルで応酬する。
  主題を確認するようなブリッジ・パート。 シンセサイザーはけたたましく鳴り響く警鐘のようだ。 インストゥルメンタル。

  「Breakdown」 ハードロック調のノイジーな 3 連リフに応じる手数の多いパーカッションはカール・パーマーそっくり。 リズムは 8 分の 6 へと変化。 ギターによるレガートな 3 連フレーズが高らかに歌い、狂い乱れるようなトゥッティが続く。 よくもこれだけバスドラをロールし続けられるものだ。 複数のギターがもつれてからむ即興風の演奏だ。 再び輝くようなギターの 3 連テーマ、そして激しい 8 ビートを叩きつけながら減速、ミステリアスなシンセサイザーが高鳴る。
  凶暴にして転がるような 3 連 3 拍子系のリフが EL&P を髣髴させるヘヴィ・チューン。 エンディングのシンセサイザーももろ「Toccata」。 インストゥルメンタル。

  「From The Ashes」 沈黙。 潮騒か晩鐘を思わせるシンセサイザーの遠い調べ。 前曲からの落差か、静けさが一層しみるオープニングである。 一転無常感漂うスロー・バラードである。 ここまではあまり人間的なものが感じられなかったギター・プレイだが、ここでは遠慮ない速弾きにもほのかに感傷をまとう。 頼りなげな声質が似合う曲調だ。

  「Dance Of Demons」 マーチング・スネアの軽快な 8 分の 6 拍子連打、そしてシンセサイザーが一人かけあいのような挑戦的なテーマを示す。 吼えるピッキング・ポルタメント、そしてシンセサイザーのテーマ。 ギターとシンセサイザーによる勇壮なユニゾン。 リズムは重さを強調し、強くアクセントする。 そのままギターのアドリヴへと進むも、角張った厳しい進行をボトムのパターンが支えてゆく。 負けじとギターに挑んでゆくシンセサイザー。(一人なんだけど) シンセサイザーによる跳ねるようなテーマ演奏から、一気にノイズが爆発し、演奏はより邪悪に、勇壮に高まってゆく。 フェード・アウトが珍しい。
  切り刻むようなビートとともにシンセサイザーが突き進む。 邪悪な雰囲気がカッコいい。 インストゥルメンタル。

  「Resolution」 爆音をきっかけに、第一曲で提示されたシンセサイザーがリードする 5 拍子リフによる全体演奏。 ピッチをゆらすプレイもおもしろい。 一転リズム・チェンジ、ギターがメロディアスに迫るも、バスドラ連打に引きずられるように加速/加熱してゆく。 再び火を吐く 5 拍子パターン。 ヘヴィなトゥッティは加速、そしてリタルダンド。 電子音が渦巻く中、ファンファーレとともに大見得を切って終わる。
  スーパー・ヘヴィにしてクラシカルな雰囲気たっぷりの HM チューンによる終章。
  スピーディな変拍子リフを中心に展開するクラシカルな超大作。 もっともクラシカルなところはそのまま EL&P であり、オリジナルなところはごく普通のネオクラシカル HM である。 ヘヴィにしてスピード感にあふれながらも、歌ものでは繊細な表情を見せている。 全体にギター、リズムともに技巧はすさまじく、けたたましさ、大仰さ、分かりやすさという点では満点。

  「Firefly」(3:15) クラシックの翻案だろうか、モーツァルト風のテーマをギターが弾き飛ばし、壮絶なドラムスが火を注ぐ HM インストゥルメンタル。 破天荒なテーマ部分に比べるとギターのアドリヴはイングウェイ辺りの亜流の域を出ていない。 30 年余り前に BEGGAR'S OPERA が開発した作風であり、EL&P でいえば「Hoedown」。

  「Nowhere In Sight」(4:05) 明快なリフによる極悪ハードロック。 ベースの見せ場がある。 ZZ TOP とかかな。 あまりに普通なので、かえって呆気にとられる。

  「Ride Of The Valkyrie」(4:50) ディストーションの効いたギターが奏でるテーマがカッコいい。 リズムが単調なのがやや興を殺ぐのだが、ここのギターはなかなかのもの。 クラシカルなプレイがじつに決まっている。(もっとも 3 分あたりのアドリヴはあまり冴えないが) 後半、ティンパニ風のタムのロールも交えてテーマが復活するとともに、シンセサイザーも高鳴り始める。 終盤ややダレて、エンディングが拍子抜けなのが残念。 原曲はもちろん、ロバート「皆殺し」デュバルのテーマ曲、ワーグナーによる「ワルキューレの騎行」。 甦る EL&P に相応しい内容だ。 インストゥルメンタル。

  「Prelude」(3:40) シンセサイザーによる厳かなテーマが粛々と流れる作品。 ドラムのフリーなプレイをフィーチュアしている。 前半は音で埋め尽くさんとばかりに叩きまくるため、テーマの悲愴感や重みとつりあわない。 中盤からは TRACEFOCUS を思わせる品のいい演奏が続く。(バスドラはロールしてしまうのだが) インストゥルメンタル。

  「Triumph Of The Will」(17:54) 4 部から成る組曲。
  「Aspiration」 バロック・トランペットを思わせるシンセサイザーによる高らかなファンファーレ。 やや東洋的な響きもあるのだが胸躍る音だ。 ドラムスによる銃撃のように力強いアクセントとの呼応、そして勇壮なアンサンブルへの助走に期待が膨らむ。 ファンファーレを伴奏に勇ましいテーマが朗々と歌われ、湧き出るようなギターのトリルが受けとめ、やがてゆったりとメロディアスな演奏へと移ってゆく。 手癖の速弾きよりも、遥かに優れた表現のように思う。 やや東洋風の旋律による全体演奏をピークに幻想的なキーボードの調べが歌う静かなシーンへと移る。
  明快なテーマ、アンサンブルなどクラシック・ロック王道たる序章である。 短いのだが、自然な流れのあるいい作品だ。

  「Hammer Of Fate」 前曲最終部の静けさを突き破る激しいシンセサイザー、ドラムス、ベース音が炸裂。 得意のバスドラ連打とギターらによるメランコリックな序奏が奏でられる。 メイン・パートは、泣きのヴォーカルにシンセサイザーのファンファーレをからめたキャッチーなハードロックである。 クラシカルなアンサンブル、EL&P 調の鋭いキメをアクセントにしている。 ここでもギター・ソロはイングウェイ風。
  メロディ・ラインに、このグループらしさが感じられるモダンなハードロック。 レスポールの音とアナログ・シンセサイザーの音のハーモニーがなぜか新鮮。切れ味よし。 ここでも叩きつけるようなシンセサイザーが特徴。

  「Tormented Heart」 甘めのトーンを用いたギターが切なく歌うオープニング。 クラシカルなバラードであり、ヴォーカルもそれらしい表情を見せる。 バッキングのギターは轟音を上げるのだが、メインはヴォーカルと泣きのギターである。 スウィープはモロに誰かみたいです。 TAI PHONG や昔のグループ・サウンズを思わせるところもある。
  クラシカルな旋律を用いたバラード。 本作中では異彩を放つ。

  「Resurrection」 シンセサイザーの和音の連打、ギターによるハードポップ風のオープニング。 シンセサイザー、ギターのリフもクラシカルかつキャッチー。 明快なハーモニーとビート感はいかにも 80 年代以降のものである。 しかし、上もののシンセサイザー・オーケストレーションはやはり EL&P か。 ギターがちょっと頭ワルイが、その後のクラシカルなアンサンブルは、カッコいいぞ。 これでもかと引っ張って盛り上げてゆき、エンディングは、またも強烈なキメの連発、そしてシンセサイザー、ギターの大団円。
  クラシカルで分かりやすいテーマと明快なアンサンブルによるクラシック調ハードプログレ。 ハードロックとシンフォニックな響きの共存という意味で出色。 近年のプログレ・メタルに不案内なのだが、こういう路線もありだとしたらうれしい。名曲。
  各章の性格のはっきりしたハード・シンフォニック・チューン。 クラシカルな味つけとキャッチーなメロディがバランスした好作品である。 冒頭の大作よりもまとまりがあり聴きやすいのでは。

  「William Tell Overture」(3:10) 同名の有名クラシック作品のアレンジ快速版。 どうしても笑ってしまうのだが、じつはなかなかカッコいい。 BGM 風ではあるが競馬場のジングルや運動会用にしてはちと過激か。 きわめて 70 年代的なアプローチであり、前述の BEGGAR'S OPERA の系統である。 DEEP PURPLE にも近い。 目立つという点ではこれ以上ないだろう。 全体のニュアンスは山下和仁のギター演奏に酷似。

  「Wake Up America」(4:04)リイシュー・ボーナス・トラック。 ミステリアスなシンセサイザーが印象的なハードロック。 クラシカルなアクセント、速弾きギター、歌メロなどこのグループの典型的な作品です。 結局「Toccata」が好きなのですな。

  「Code Of Honor」(3:55) チャーチ・オルガンからメロトロン風、そしてアナログ調までさまざまなシンセサイザーをフィーチュアした、クラシカルなキーボード・ロック・インストゥルメンタル。 ボレロ風のリズム、ファンファーレなど本家を伝承する巧みの技の数々。 シンセサイザーのトーン、ピッチ・コントロールも本家風。 終盤の YAMAHA GX-1 風のファンファーレがみごと。 シンセサイザーを使ったストレートな EL&P 風プログレ・ナンバー。


   クラシカルなモチーフを用いた HM 調のプレイで押し切るハードなプログレッシヴ・ロック。 基調は間違いなく HM/HR なのだが、こうまで節操なくクラシックを翻案する辺り、やはりプログレッシヴ・ロックな魂の持ち主なのだろう。 オープニング・ナンバーの聴き方が全てで、これが HM に聴こえてしまうと、後半の古典的なシンセサイザー・ロックとのギャップにビックリするかもしれない。 あまりこだわらずにコンテンポラリーなハードロックととらえれば、アルバム全体が大作、小品を揃えたバランスよいものに思えるはずだ。 組曲「Triumph Of The Will」は、オリジナリティと古典的なキーボード・ロックのお作法を兼ね備えた秀曲としてひときわ輝く。 唯一欠点はヴォーカルの弱さか。 無論 MIDI ギターでここまで演れること自体凄まじいことであり前人未踏といっていいだろう。 全体的には EL&P サウンドのよさを 90 年代風に解釈したアルバムといえる。

(CYCL 052)


 Tragic Symphony

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, synthesizer, vocals, bass
Rich Berends drums, percussion
Phill Antolino live bass

  94 年発表の第三作「Tragic Symphony」。 プレイ至上のゴリゴリの押しの一手型から方向転換し、イメージ/ストーリー展開に重きをおいたスタイルへと変貌を遂げ、新たなステージへと進んだ佳作。 明快な曲想を余裕ある技巧で表現することにより、スリリングにして聴きやすさのあるエンタテインメントとなっている。 ややおとなしくなったという印象は、緻密さと曲展開に必要な抑制を意識しているためだろう。 EL&P 的なシンセサイザーと、メロディアスにしてクラシカルなギターや精緻なリズム・セクションがともに存在することにより、さらにプログレらしさを増しているといえるだろう。 そして、アコースティック・ギターとフルート風のシンセサイザーによる「引き」の情感も効果的。 GLASS HAMMER にも迫る語り口である。 もっとも、ギターが独走状態に入ると HR/HM になるところは相変わらずなのだが、これは持ち味というべきだろう。 意地悪くいうと、HR/HM としては威圧感、インパクトに欠け、シンフォニック・プログレにしては重厚さというか気品に欠ける、ということになるかもしれない。 そして、EL&P に通じるサウンド的でありながら、本家のように、勢いや破天荒さの源が多彩でディープな音楽性ではなく、既存の HR/HM 的な表現である辺りに、限界が見える気もする。 それでも、ヴォーカルがあまりに素人臭いことさえ除けば、古典的なキーボード・シンフォニック・ロックとアメプロ・ハードの間くらいに存するサウンドとして楽しめる。 叙情的な面が拡大しただけにオルガンも使ってほしかった。 それにしても、ジャケット画だけは専門家に任せたほうがいいと思います。 日本デビュー盤。

  「Tiger! Tiger!」(3:45)重厚にしてメロディアスな迫り方が EL&P の「Work's Vol.II」を思わせる歌もの。

  「The Power & The Passion」(12:45)たたみかけるような調子が EL&P 直結の大作。 ヴォーカルあり。

  「All The King's Horses」(4:40)アコースティック・ギター、金管風のシンセサイザーを用いたフォーク風の歌もの。 「Lucky Man」でしょう。

  「Tragic Symphony
    「I. Sea Of Tears」(7:18)クラシカルな泣きのギターをフィーチュアした雄々しくも厳かなる第一楽章。 ヴォーカルあり。

    「II. Nothing Left To Say」(6:07)アコースティック・ギターを用いたややトラッド・タッチの歌ものをシンセサイザーとギターが輝かしく彩る。 GENESIS を思わせるフォーク・ソング風のアンサンブルがシンセサイザーで一気にシンフォニックに高まる。

    「III. Into The Void 」(13:30) 悲劇的な重厚さと桁外れのパワーをアピールする終章。 リズムレスのシンセサイザー・ソロから一気に細かなビートとともにギター、シンセサイザーの邪悪な演奏が盛り上がる。 8 分 40 秒辺りからの猛烈なドラミングとともに高まる攻撃的なアンサンブルがカッコいい。 巨大な管弦楽を思わせる演奏から一気にハードロック・ギターの疾走へと変転し、大見得を切って大団円を迎える。

(XRCN-1194)


 Until Eternity

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, synthesizer, vocals, bass
Rich Berends drums, timpani, assorted percussion
Phill Antolino live bass, MIDI-pedals

  96 年発表の第四作「Until Eternity」。 おそらくここまでの最高傑作。 余裕と円熟味を増したプレイが、ギター中心のアンサンブルによる MAHAVISHNU ORCHESTRA 的なスリル、ハードロックの突進するパワー、そして EL&P 的なキーボード・ロックの持つ構築性を見事に一体化し、真にオリジナリティあふれるサウンドを生み出した。 より明解なストーリーテリングによって、楽曲のエンタテインメントとしてのクオリティも飛躍的に上がっている。 また、前作で獲得したアコースティック、メロディアスなパートも交えつつも、シンフォニックなクライマックスでは、到底トリオとは思えない音圧がさらにスケール・アップしている。 MIDI ギター・キーボードを中心としたパワー・トリオという作風の一つの到達点を極めたといって間違いない。 アルバム全体を通した悠然たるうねりがあり、HM 的単調さが減退した。 これは、何よりうれしい。 シンプルなロックのカッコよさを体現できているアルバムだと思います。
  タイトル・ナンバーの大作は、本アルバムを象徴するドラマチックなインストゥルメンタル。 シンセサイザーにによるシンフォニックな盛り上がりとビジーに駆け巡るギターがエスニックなムードを漂わせつつ繰り広げる、痛快な EL&P 風ナンバーだ。 各曲も鑑賞予定。

  「Under The Wheels」(6:45)

  「Inferno」(4:00)インストゥルメンタル。主役の泣きのギターをクラシカルなキーボードが取り囲む。

  「Dreaming」(3:40)エレアコギター、ストリングス系シンセサイザーをフィーチュアしたスリリングな歌もの。初期の RUSH に近い気もする。

  「The Tempest」(9:30)勇壮極まるファンファーレで幕を開けるパノラマ風の作品。 ギター入り EL&P 路線の真骨頂だが、けたたましさだけには終始しない、明快な抑揚がある。 アルバム前半の山場である。

  「As It Is In Heaven」(4:30)アコースティック・ギター弾き語りによるバラード。

  「Jubilee」(4:00)インストゥルメンタル。ハードロック・ギターと「庶民のファンファーレ」シンセサイザーが快調に並走する。ドラムス・ソロあり。

  「Too Much To Ask For」(6:30)日本盤ボーナス・トラック。異教的なフレーズも交えたダークな雰囲気のハードロック。

  「Before The End」(6:00)クラシカルな歌もの。ポジティヴな響きがあり、ギターもさえずるような調子を見せる。後半 HM なビートにもなるのだが、「聖地エルサレム」なシンセサイザーが救う。

  「Until Eternity」(13:30)インストゥルメンタル。重厚かつ悲劇的な幕開け、金属的重量感で迫り、加速とともにけたたましさを増す序盤、クラシカルなアンサンブルにヘヴィにして謎めいた調子を孕んだ前半、 爆発的なパワーで疾走する EL&P な後半、重厚なヘヴィ・ロックから悲壮感あふれるチェロの調べへと回帰する終章。傑作です。

(BELLE 96224)


 Excelsior!

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, synthesizer, bass
Rich Berends drums, timpani, percussion
Jens Johansson keyboard, synthesizer
guest
Bob Eckman 5 string bass
Mike Mironov tabla, percussion

  98 年発表の第五作「Excelsior!」。 新境地への打開策は、新メンバーに名キーボーディスト、イェンス・ヨハンソンを迎えることであった。 ベレンズのギターとヨハンソンのキーボードによる白熱したインタープレイを中心とした演奏は、飛躍的にスリリングになった。 全体に、HR 色はやや減退し、相対的にジャズロック色が強まる。 つまり、EL&P 的なキーボード・ハードロックから、MAHAVISHNU ORCHESTRA あるいはジェフ・ベック 的なジャズロック+テクニカル・メタルへの転身である。 スピーディでヘヴィなシーンとメロディアスなシーンが見事にコントラストし、楽曲のドラマはさらに深まる。 まさに現代のプログレッシヴ・サウンドであり、前作を凌駕して最高傑作といえる。 全曲インストゥルメンタル。 白眉は 8 曲目 13 分にわたる「When The Walls Fell」か。

  「On The Road By Noon」(6:15)勢いある変拍子リフとつややかにして凶暴なソロ、コール・レスポンスで攻め立てるヘヴィ・ジャズロック。 イメージは MAHAVISHNU ORCHESTRA による「Tarkus」または「倍密 Blue Wind」。

  「The Approaching Storm」(7:15)8 分の 5 拍子のリフをボトムにメロディアスなギター、キーボードが歌い上げる泣きのヘヴィ・クラシカル・チューン。 しかし、ドラムスがブラストしないおかげで HR/HM 的な単調さはない。 ギターは適宜 MIDI でムーグ風の音も出しているようだ。

  「Tokyo Rain」(6:36)タイトル通りのメランコリックなバラード。 ヤン・ハマーばりの、コンプレッサを効かせたギター風シンセサイザー・ソロ ギターとシンセサイザーのユニゾンによるメロディアスな表現など、今までにはなかった作風です。

  「The Red Hour」(1:36)MIDI シンセサイザーが高鳴る EL&P 風の邪悪小品。

  「Decide For Yourself」(5:23)得意のクラシカル・チューンだが、ギター・プレイは HM 的な表現から一線画してモダナイズされている。 抽象的なイメージは、やはりジェフベックだろうか。 ギターとシンセサイザーのスリリングなインタープレイが聴きもの。

  「Sudden Impulse」(4:59)シンセイサイザーをフィーチュアしたスピーディなテクニカル・チューン。上品なヤン・ハマー。

  「Sky Dancer」(5:53)やや「Tarkus」なアフロ・シンセサイザー・シーケンスにローマ史劇の劇伴のように勇壮なシンセサイザーが高鳴る。ドラムス・ソロあり。

  「When The Walls Fell」(13:26)リリカルなイントロは GENESIS か? 本編では、ほぼ初めて従来の HR/HM 的な作風を押し出している。エスニックなアクセントが面白い。ジェフ・ベックへの意識は間違いないだろう。シンセサイザーの速弾きは息苦しくなるほど。

  「Excelsior!」(4:53)

(MICY 1073)

 Angels Of The Apocalypse

 
Bill Berends guitar, MIDI guitar, bass, vocals
Rich Berends drums, timpani, percussion
Lisa Bouchelle mezzo-soprano vocal
Jens Johansson keyboards
guest
Bob Eckman 5 string bass on 1,7
Hollis Brown electric violin on 2,5
John Paoline voice of the beast on 1,8

  2000 年発表の第六作「Angels Of The Apocalypse」。 女性ヴォーカルが新加入、全体にサウンドはヘヴィ・メタル色が強まっている。 パワフルなユニゾンと 3 連バスドラで押し捲りながらも、安定した演奏と楽曲の水準はさすがベテラン。 ヘヴィメタルに不案内なためにはっきりとは申し上げられないのだが、スタイルは HR/HM としてごくオーソドックスであり、その正道をハイテクでがっちり貫いているのではないだろうか。 水を得た魚のようにジャズロック、ヘヴィ・メタルと多彩なスタイルを巧みにゆき交うビル・ベレンズのギター・プレイを中心に、ヨハンソンのきらめくようなピアノやトラッド・タッチのヴォーカルなどで変化をつけて、ストレートにファンを喜ばせようとするエンタテイナーとしてのスタンスは、天晴れだ。 EL&P のもっていたヘヴィ・メタル的側面をクローズアップし、ネオ・クラシカル、テクニカル・メタルなどのメタル・サウンドそのもの進化形とシンクロさせるというアイデアには、やはり唸らされる。 そして、年寄りには、ボーナス・トラックの EL&P のカヴァー「The Endless Enigma」が衝撃的。 オルガンをシンセサイザーに置き換えてはいるものの、ファンファーレは高鳴るわ、経典は紐解くわ、エディは用意できてるわ、大変なことになっている。 女性ヴォーカルがこれだけハマるという点に、レイクのヴォーカルの超人的表現力を再発見。 各曲も鑑賞予定。

  「The End Of The World」(10:35)
  「Perchance To Dream」(6:19)
  「2000 Years」(6:16)
  「This Lover's Heart」(6:00)
  「The Queen Of Shiba」(6:26)
  「With Dignity And Grace」(3:35)
  「A Million Miles Away」(6:30)
  「The Beast Of Babylon」(5:30)
  「The Endless Enigma」(12:18)ボーナス・トラック。
  「Only In My Dreams」(6:03)ボーナス・トラック。

(IOMACD 2010)


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