Marco Antonio Araujo

  ブラジルのミュージシャン 「Marco Antonio Araujo」。アコースティックなインストゥルメンタル・ミュージックによる独自の世界を拓く。ブラジルの Gordon Giltrap

 Influências

 
Marco Antonio Araujo acoustic guitars, percussion
Alexandre Araujo electric guitar, percussion
Eduardo Delgado flute, percussion
Antonio Viola cello
Ivan Correa bass
Mario Castelo drums
Philip Doyle trumpet
Amilton Pareira cornet
Mauricio Silva cornet
Edson Maciel trombone
Edmundo Maciel trombone
Mauricio Maestro and others hand clapping, voice

  82 年発表のアルバム「Influências」。 内容は、叙情的ながら躍動感もあるインストゥルメンタル・ミュージック。 マイク・オールドフィールド、ペッカ・ポーヨラ、ボ・ハンソン、ゴードン・ギルトラップといったミュージシャンと同列に並ぶであろう作風である。 これらのミュージシャンは、その個性で際立っているのは間違いないのだが、同時代性という魔術のなせる技か音の感触に似たところがある。 その共通性はおそらく「ロック」であり、若くしてそれに目覚めた才能が発揮した輝きが後継者の道を過たず照らしているのだろう。
   ギターやドラムスの入ったダイナミックなバンド演奏をフルートやホーン・セクションで華やかに彩ったスタイルには、はつらつとしたオプティミズムと若々しさがある。 基本的には爽やかメロディアスな演奏であり、なめらかなアンサンブルはクラシック、勢いあるところはロックのもののようだ。 そして、フルートやアコースティック・ギターが、威勢のいいプレイにフォーク風の素朴さも醸し出している。 特に、フルートはほぼすべての曲の前面で演奏をリードしている。 全体に漂う素朴でやや哀しげな美しさの源は、まずは、このフルートである。 大編成には珍しくエレクトリック・キーボードレスであることも、この純朴な味わいと関係あるだろう。
   アラウヨ本人は、作曲を手がけ、アコースティック・ギターをプレイしている。 そのプレイは、コード・ストロークとアルペジオが主であり、いわゆるソロはほとんどない。 にもかかわらず、目立つ。 アコースティック・ギターの豊かな音色が常にフロントに立つ楽器(フルートやエレキギター)に寄り添い、支えることでこの音楽は成り立っている。 アコースティック・ギターをフィーチュアした爽やかな作風から、本作もまたミナス音楽の 1 つの流れにある作品といえるだろう。
   CD のクレジットによれば、CD の曲順は、オリジナル LP から変更されている。 また、ボーナス・トラックが 2 曲含まれている。 その 1 つ「Entr'act I & II」は、スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」をフルートとアコースティック・ギターで演奏したもの。もう 1 曲「Floydiana II」は、"II" となってはいるが、おそらく次のアルバムの作品と同じもの。

  「Panorâmica」(10:00)LP B 面 1 曲目。
  「Influências」(6:20)LP A 面 1 曲目。
  「Bailado」(5:02)LP A 面 3 曲目。
  「Abertura No 2」(8:28)LP B 面 3 曲目。
  「Cantares」(5:17)LP B 面 2 曲目。
  「Folk Song」(10:30)LP A 面 2 曲目。
  「Entr'act I & II」(4:35)
  「Floydiana II」(7:10)

(PRW013)

 Cisne

 
Marco Antonio Araujo acoustic guitars, classical guitars
Alexandre Pena Araujo electric guitar, percussion
Max Magalhâes piano
Eduardo Delgado flute, percussion
Sergio Gomes trumpet
Antonio Maria Viola cello
Ivan Correa bass
Mario Castelo drums

  83 年発表のアルバム「Cisne」。 ピアノ、フルート、チェロ、アコースティック・ギターなどアコースティックなアンサンブルによるクラシカルで上品なインストゥルメンタル、エレキギターをフィーチュアしたバンドによるプログレ然としたインストゥルメンタル、さらには現代音楽風のアヴァンギャルドな楽曲が盛り込まれた作品であり、内ジャケットの写真から想像するに、ダンス・パフォーマンスなども巻き込んだ、総合芸術的な作品のようだ。 すべての作品に共通するのは、ほのかな哀感をまとった繊細な美と自然な健やかさである。 ジャケットには、「Quando A Sorte Te Solta Um Cisne Na Noite」(或る夜白鳥を放つ幸運を得て)という言葉がある。

  「Floydiana」(7:10)LP A 面 1 曲目。サティ風のアンニュイなピアノに導かれる、秋風の香りたっぷりのフォーク・タッチのバンド演奏。 フルート、ピアノ、エレキギターが舞い、アコースティック・ギター、ホーンらが堅実に支える。

  「Allegria」(4:03)LP A 面 2 曲目。 フルート、ギターがリードする爽やかなバンド演奏。 MINAS 音楽らしい爽やかな美しさとほのかな哀愁のブレンド。 アコースティック・ギターの響きがいいです。

  「Quando A Sorte Te Solta Um Cisne Na Noite」(7:27)LP B 面 1 曲目。チェロ、アコースティック・ギター、ピアノによる物悲しくも美しいアンサンブル。 テーマはフォーク・タッチだが、全体を構築する術はクラシックのものだ。傑作。

  「Pop Music」(10:30)LP B 面 2 曲目。

  「Adágio」(3:30)LP A 面 3 曲目。

  「Ilustracoçs」(4:23)

  「Cavareilo + Trilha Balé Cantares」(10:27)前半は、アコースティック・ギター、フルート、チェロによる哀愁あるクラシカルなトリオ。 後半は、ヴォイス、管弦楽器、エレキギター、パーカッションらによるミステリアスでアグレッシヴな前衛音楽。終章は、タイトなバンド演奏。
  「Sonata Para Cello E Violão」(5:30)タイトル通り、アコースティック・ギターとチェロによるクラシカルで軽やかなデュオ。 シューベルトの「アルペジオネのソナタ」を思い出します。

(PRW014)

 Entre Um Silencio E Outro

 
Marco Antonio Araujo acoustic guitars
Paulo Guimaraes flute
Marcio Mallard cello
Jacques Morelenbaum cello

  83 年発表のアルバム「Entre Um Silencio E Outro」。 内容は、ギターとフルート、チェロのみによる室内楽。 クラシックを基調に、ブラジリアン・トラッドの香りをたっぷり含ませた哀愁ある、叙情的な音楽であり、楽器の響きや旋律、シンプルなハーモニーの魅力が素直に迫ってくる。 ニュー・エイジ・ミュージックといってしまうと、本作のメロディに込められた素朴にして高尚なスピリット、ヴァイブレーションが伝わらないよう気がする。 適度にまろやかな演奏が耳に優しい。 ボーナス・トラックでは、アラウヨ作品のもう 1 つの魅力である躍動感あるスリリングな演奏も楽しむことができる。

  「Abertura I」(06:35)CD のみの収録曲。
  「Abertura II」(07:16)CD のみの収録曲。第一作と同じ曲?
  「Cantares II」(04:52)CD のみの収録曲。第一作と同じ曲?
  「Fantasia No.2」(19:56)LP A 面。
  「Fantasia No.3」(20:39)LP B 面。 バロック風のアンサンブルで綴られる心温まる作品。 デュオとトリオそしてリードとバックを巧みに変えながら短いシーンを幾つも積み重ねる幻想曲である。 メランコリックなフルートとチェロの響きに万感胸に迫る。

(PRW015)


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