イタリアのプログレッシヴ・ロック・プロジェクト「MANGALA VALLIS」。 98 年発足。 唯一作はプログレ・ファン随喜の涙の傑作。 2005 年新作発表。
| Gigi Cavalli Cocchi | drums, percussion, chorus |
| Enzo Cattini | keyboards |
| Mirco Consolini | guitars |
| Riccardo Sgavetti | bass |
| Bernardo Lanzetti | lead vocals |
2005 年発表の第二作「Lycanthrope」。
冒頭からいきなり GENESIS なメロトロンが吹きすさび、ハモンド・オルガンが眼前で炸裂する正調 70’シンフォニック・プログレ・リヴァイヴァル。
叙情的な場面も力強くこぶしを突き上げる場面も、超一流の堂々たる表現で真っ向勝負の痛快な内容である。
回顧主義極まれりとか SPOCK'S BEARD の二番煎じだとか、いろいろ文句はつけられるのかもしれないが、あっさり降参してハマってしまえば怖いものはない。
もっとも、本作には、この手の音楽にありがちな不健康なマニアックさは微塵もない。(思い切り GENESIS、どう聴いても YES、これ EL&P じゃん、というところはあるけど)
素直な憧憬の念と卓越した音楽センスが結びついた、ある意味奇跡的な音楽というべきだろう。
2 曲目のエンディングのピアノなんてそうやすやすと出てくるアレンジではない。
プログレである以前の基本的なポップ・センスの冴えは、SPOCK'S BEARD に匹敵する。
英国ネオ・プログレの路線上にあるのは確かなのだが、3 曲目のアコースティック・ギターとメロトロンの演奏から歌へと入るところのように、イタリアン・ロックらしい味わいを放つところも多い。
前作でゲストであったベルナルド-「ゲイブリエル」-ランゼッティがついにリード・ヴォーカリストとして君臨。
VdGG のデヴィッド・ジャクソンもゲストで参加。
タイトルは「狼憑き」の意。
全世界のプログレ・ファンにお薦め。
7 曲目のオルガンのリフで体が動かなかったら、少し耳を鍛え直しましょう。
「Echo Absolute」(1:45)
「Werewolf Suite」
「Cosmotraffic Jam」(9:49)
「Call Me Alias」(7:14)
「Lycanthroparty」(5:24)
「Ham/Animal Long」(2:54)
「The Boy That Owls At The Moon」(13:36)
「The Mask」(11:43)
「The Transparent And The Obscure」(9:57)
(TAVR 022005)
| Gigi Cavalli Cocchi | drums, percussion |
| Enzo Cattini | keyboards |
| Mirco Consolini | guitar, bass |
| guest: | |
|---|---|
| Matteo Setti | vocals on 2,3 |
| Vic Fraja | vocals on 4,5 |
| Bernardo Lanzetti | vocals on 8 |
| Stefano Menato | sax on 5 |
| Elisa Giordanella | viola on 2,6 |
| Kimberly Duke | narrator |
| Engenio Carena | lyrics |
| Amek | sound engineer |
2001 年発表のアルバム「The Book Of Dreams」。オプティミスティックな力強さと、夜明けの希望を感じさせる、ハート・ウォーミングなシンフォニック・ロック。
ジュール・ヴェルヌとその著作を主題とした、ストーリー仕立てである。
サウンド的には、典型的なネオ・プログレッシヴ・ロックに、ノスタルジックかつヴィンテージな音を丹念に散りばめたもの。
HM として様式化する前のハードロックを、多様なキーボードと表情豊かなギターで色付けし、70 年代のプログレ・イディオムを盛り込んだ作風、などとまだるっこしいことをいうよりも、ずばり SPOCK'S BEARD、THE FLOWER KINGS (マイナーどころでは ILUVATAR やマーティン・オーフォードのソロなども)の方法論を拝借した音楽である、というべきだろう。
ポイントは、70 年代サウンドへの徹底した志向・追求しながらも、プログレにとどまらず素直なポップ・センスを行き届かせた丁寧な作り込みにある。
「Wind And Wurthering」期以降の GENESIS を思わせる、デリケートな大人向けのサウンドといってもいいだろう。
そして、あえてエキセントリックな個性よりも親しみやすさを打ち出して成功している。
したがってあまりに予定調和な世界なのだが、プログレ王道であることも間違いはない。
また GENESIS、YES をベースにしながらも現代的なヘヴィネスもちゃんと強調しており、決してノスタルジー一本槍ではない。
唯一残念なのはメロディ・ラインが完全に「汎用ポップス」のものであり、にわかにはイタリアの作品と分かるようなローカルな味わいがないところだろう。
全体に、ソロやインタープレイよりも、豊かな音色と音量をもつアンサンブルが、表情豊かなヴォーカルとともに鳴り響く展開が多い。
そこへ GENESIS そのもののような演奏や、ナレーションなどをアクセントとして持ち込み、ナチュラルな筆致を損なわずに大作を綴ってゆく。
緩急や明暗などの変化が分かりやすく、極端すぎないというのも特徴だろう。
キーボードはもちろんヴィンテージ・セット。
メロトロン、アナログ・シンセ、ハモンド・オルガンが常に鳴り響き、小面憎いばかりにいいタイミングのソロで切り込んでくる。
スタイルはやはりトニー・バンクスだろう。
ギターは JADIS のゲイリー・チャンドラー、昔のスティーヴ・ロザリーに近い。
過度にブルージーでありながらメタルっぽくはない、メロディアスなオールラウンド・スタイルである。
アコースティック 12 弦ギターの竪琴のような響きも、随所で用いられている。
ヴォーカルは歌詞が英語なので、スタイルが英国有名シンガーのパッチワーク・コピーになるところはいたし方ないのだろう。
おそらく、複数のゲスト・ヴォーカリストを迎えているのは、曲に最も合った唱法・声質を選ぶ以上に、あまりにイメージがワンパターン化するのを回避するためではないだろうか。
またコーラス・ハーモニーも、YES のカヴァーのようなくすぐりから美麗なバラードまで多彩である。
ゲストで目を惹くのは、なんといってもベルナルド・「ゲイブリエル」・ランゼッティ。
独特のヴィブラートと含み声は ACQUA FRAGILE のときとなんら変わらない。
また 2、3 曲目のリード・ヴォーカルをつとめるマテオ・セッティは、アイドル的人気シンガーのようだ。
キムタクが、インディ系のプログレ・バンドのヴォーカルをやってるような感じでしょうか。
70 年代プログレ・オマージュの筆頭たる大傑作。
近年の南米、北欧、イタリアのプログレ隆盛の最後の煌きとなるのか、新たな時代への導き手か。
ヨーロッパから現れた、TRANSATLANTIC のライバルかもしれません。
「Overture」(1:47)
「Is The End The Beginning ?」(9:28)
「The Book Of Dreams」(7:05)
「The Journey」(12:13)
「Days Of Light」(9:05)
「Under The Sea」(3:34)
「Asha(Coming Back Home)」(8:20)
「A New Century」(10:22)
(TAVR 012001)