LOTUS

  スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・グループ「LOTUS」。 73 年結成。作品は二枚。活動はアングラに留まる。 北欧ジャズロックの隠し弾。

 Lotus

 No Image
Anders Lindvall guitar
Robert Larsson guitar
Claes Ericsson organ, piano
Stefan Berggrensson bass
Henning Ovferbeck drums

  74 年発表のアルバム「Lotus」。 内容は、メロディアスなツイン・ギターと火を吹くようなオルガンをフィーチュアしたフォーク・タッチのジャズロック。 ファンキーかつフォーキーでありユーモラスで親しみやすく、そこはかないペーソスとともに溌剌としたノリもある。 全パートが音を思い切り出してパワーと勢いで乗り切ってゆく、豪快で素朴な作風である。 ただし、全体におっとりとした風情があり、「アグレッシヴなジャズロック」ながらも、RAGNAROKKAIPA に通じるスウェディッシュらしい独特の「田舎」風味がある。 3 曲目や 4 曲目を始め、テクニカルな KERRS PINK といってしまっていい演奏である。 じつはこの田舎っぽさ、北欧風味という前に、THE SHADOWSTHE VENTURES の流れから来たものだ。 つまり、74 年にしてすでに「懐かしい音」なのだ。 フュージョン風ながらもラテンっぽさは微塵もない。 いや、少しあるが「憧れ」だし、どちらかといえば「ハワイ」っぽい。 さて、技巧面では、のどかなアンサンブルでもギタリストの超越的な表現力ははっきり分かるし、次々と印象的なメロディが涌き出るところや、何気ない変拍子、バカテクのオルガンなど、只者ではない風格が漂っている。 ギターのいい音を聴きたくなったときには、お薦めしたいアルバムだ。 全編インストゥルメンタル。
   北欧好き、オルガン・ファンには絶対のお薦め。 CD には 5 曲のライヴ録音ボーナス・トラック付き。本編と重なる作品は 1 曲だけで、1 曲目などかなりカッコいいし、4 曲目は第二作に収録される作品。 プロデュースは、ラーズ・フィンシュトロムとグループ。
  
(DYM 001 / SMA 3001)

 Vera O'Flera

 No Image
Anders "Chico" Lindvall guitar, vocals
Claes Ericsson organ, piano
Jerker Allgulander bass
Hakan Nyberg drums, vocals
guest:
Hakan Brostrom sax & piano on 4
Stefan Berggressson bass on 11
Henning "Bomse" Olverbeck drums on 11

  76 年発表のアルバム「Vera O'Flera」 ギタリストが一人になり、リズム・セクションもメンバー交代。 内容は、メローにハードに、ジャジーだが雰囲気の変化に富み、ラフな音が魅力のジャズロック。 前作よりは、格段にメイン・ストリーム向けのクロスオーヴァー、フュージョンのイメージは強まりローカル色は減退したが、独特のプラスα(マイナスαかもしれないけど)の魅力がある。 特徴は、キャッチーなようでいて媚びていないメイン・テーマ、サイケな音作り、軽妙なようで技巧的なアンサンブル、多彩な音色で豪腕プレイを放つキーボード、自信満々のソロ・ギター、アコースティック・ギターの語り口、豪快なリズム・セクションなど。 ツイン・ギターではなくなったのだが、多重録音によるツイン・リード、キーボードとギターのユニゾン、オクターヴァやコーラスといったエフェクトなどによって、主旋律を朗々と歌って印象付ける手法が当っている。 また、どの場面でも常にパワフルで明快な主役(主旋律だったり、ソロだったりするのだが)がいるために、最初から音が耳に馴染みやすい。 個人的には管楽器系のアナログ・シンセサイザーとローズ・ピアノの音が気に入っている。 終盤、ややはしょり気味に終わってしまうのが残念だが、CD 化に際してのボーナス・トラックがそれを何とか救っている。
   楽器構成やスタイルなどは、 MAHAVISHNU ORCHESTRARETURN TO FOREVER らを元にしているのだろうが、ユーモラスな口調を含め何でも取りこむ間口の広さが、アメリカ系の大御所グループよりも英国やイタリアの同系グループに通じる。 ラテンっぽくなり過ぎないのはフュージョン化しないための重要なファクターのようであり(4 曲目のように「狙った」スムース・フュージョンは、「試み」としてはおもしろいがあまりここに入れる必然性を感じない)、テーマがファンキーだったりメロディアスだったりしても、過激な(チープな電子化であっても)サウンド・メイキングを施せば安易にジャズ化しないということもよく分かる。 また、テクニカルなアンサンブルの中心に魅力的なテーマを据えるアプローチや、ユーモラスな表現を突拍子なくかつ自然に放り込めるところなど、カンタベリー一派と同じく、フランク・ザッパの「Hot Rats」辺りのサウンドにも相当影響を受けていそうだ。
   パワフルなジャズロックという点では、ISOTOPEETNA のファンにはお薦め。 そこからの若干の洗練と音色のバリエーションという点では、FINNFOREST、マイナーなところでは、デンマークの SECRET OYSTER やオランダの SCOPE なども同じような持ち味でした。
  ボーナス・トラック 1 曲目は、4 曲目のアコースティック・ギター・ヴァージョン。こちらの方がいい。 2 曲目は、第一作のメンバーによるリハーサル・セッションの録音らしく音質は劣る。
  
(DYM 002 / SMA 3016)


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