イタリアのネオ・プログレッシヴ・ロック・グループ「LEVIATHAN」。 82 年に結成された、ポンプ世代のベテラン・グループ。 作品は、2001 年現在三枚。 プログレ・リヴァイヴァルにとどまらない、ロックとしての優れたセンスを持つ。 新作は 2004 年のフィンランドの雑誌の企画による編集盤。フルアルバム期待。
| Alex Brunori | vocals |
| Giorgio Carana | guitar, MIDI guitar |
| Andrea Moneta | drums, percussion |
| Franco Pezzella | piano, keyboards |
| Sandro Wlderk | bass, bass pedal |
88 年発表の第一作「Heartquake」。
内容は、MARILLION らポンプ勢含め、英国シーンの影響を強く受けたネオ・プログレッシヴ・ロック。
「ポンプ」とはいうものの、演奏の水準が高いために、聴き応えは十分ある。
はつらつとしたアンサンブルやバラードの表現力(AOR 寸止め)など、ただならぬものがある。
そして、産業ロック調のヌケのよさと耽美なロマンティシズムとがバランスしており、TEARS FOR FEARS 辺りに迫りつつも、英国ロックほどは暗い屈折がない。
演奏面でも、スティーヴ・ロザリー・スタイルのギターと、いかにも現代風のキーボードが織り成すダークな幻想絵巻に、ロックらしいしなやかさと機敏さがある。
これは、小技からダイナミックな表現までを丹念に繰り出して演奏を支えるドラマーのおかげだ。
たまにヨタるのは確かなのだが、このリズムの弾力性によって、なめらかで優しげな上モノが、さらに輝きを放つようになっている。
同じようなサウンドによるプレイが続くため、ややメリハリを欠くこともあるのだが、メロディアスなロックとしては十分水準クリアだろう。
アコースティックな音などのアクセントがあれば、また低音域を力強くすれば、もっとよかったかもしれない。
何にせよ、テクニシャンによるポンプ・ロックという意味では、時代を考えれば、大健闘のアルバムでしょう。
やや訛りのある英語のヴォーカルさえ我慢できれば、問題なし。
フェード・アウトがカッコいいというのは、なかなかありません。
「The Waterproof Grave」(3:53)
「Hellishade Of Heavenue」(8:03)
「Only Visiting This Planet」(6:35)
「Up We Go!」(7:00)
「The Dream Of The Cocoon」(5:21)
「Heartquake」(8:26)
「There's Only Watershade / In The Dream Of Up We Wake !」(3:19)
(FGBG 4090.AR)
| Andrea Amici | piano, keyboards |
| Alex Brunori | vocals |
| Giorgio Carana | electric & acoustic guitar |
| Andrea Moneta | drums, percussion |
| Sandro Wlderk | bass, bass pedal |
90 年発表の第二作「Bee Yourself」
GENESIS 調を堅持しつつも、メロディ・ライン、サウンドともにナチュラルさを増した傑作。
テクニカルなキレのあるリズム・セクションと透明感のあるギター、キーボードのフレージングを組み合わせ、さらには、ややジャジーでソフトな音も交えることによって、中期 GENESIS の強い影響の下から一歩踏み出して、オリジナルな音を作り上げている。
ヴォーカルも思い切り前に出るが、今回は、英語の歌唱にさほど違和感を感じない。
涼やかなキーボード・サウンドを中心に、陰と陽を巧みに交差させ、歌うところではゆったりと歌い、リズミカルにたたみかけるインストゥルメンタルでは思い切りよく走る。
仕掛けのあるシリアスな変拍子アンサンブルも堂々たるものだ。
そして、70 年代風の厚過ぎず薄過ぎずのセンスのいいシンフォニック・タッチで訴えてくるところが驚きである。
MARILLION や PENDRAGON も、ここまではできていない。
90 年代のプログレ・リバイバルを代表できる作品の一つであり、GENESIS 系ネオ・プログレッシヴ・ロックという括りでは、出色の作品といえるだろう。
堂々たるメロディアス・シンフォニック・ロックの 1 曲目、ヒネリを効かせた 2 曲目、詩的で清廉な幻想美をたたえる 3 曲目、本家もびっくりのシアトリカルな小話調の小品。そして、最終曲の大作は、近年のアメリカなどのプログレ・グループが憧れる「Trick Of The Tail」GENESIS が、あたかも「Supper's Ready」をやっているような大傑作。
クラシカルなピアノを筆頭に、ハモンド・オルガンとドラムがすばらしく小気味いいパフォーマンスを繰り広げる。
中盤の二つのアンサンブルが対話のように交差する辺りから、なめらかな筆致ながらも、ドラマは二転三転、どんどん盛り上がり、やがてリスナーは釘付けとなる。
音の感じからしてかなり一発録りに近そうだが、だとすると相当なテクニシャン集団です。
再発が望まれます。
(CONTEDISC 154)
| Andrea Amici | keyboards |
| Paolo Antinori | vocals, acoustic & electric guitar |
| Fabio Varano | bass, bass pedal |
| Andrea Moneta | drums, percussion |
| Claudio Varamo | electric guitars |
96 年発表の第三作「Volume」
ドラムスとキーボード以外のメンバーを刷新した六年ぶりの作品。
その内容は、キーボード、ギターによるほんのりクラシカルで軽快なアンサンブルをダイナミックなリズム・セクションが支える、ライトで現代的なシンフォニック・ロックとなる。
いわゆる GENESIS 調は相対的に減退。
90 年代初頭にたくさん現れた、イタリアのネオ・プログレを思い出していただければいい。
けたたましいデジタル・シンセサイザーとともに全体に突き抜けたようにポップなノリがあるのだが、時おりシリアスな表情を見せたり、意外な方向へと切り返すなど、やはりプログレというべき内容だ。
イタリア語のヴォーカルも若々しく魅力的であり、ギターもオーソドックスながらいいプレイだ。
全体に、技巧はかなりのものなのだが、それをひけらかさずに、あえてポップでストレートな表現をしているような気がする。
もう少しリズムやテンポに変化をつければ、もっとドラマティックになったような気がするのだが。
また、残念なのは、エレクトリック・キーボードの音質に奥行きがないこと。
さまざまな音を使い分けていいフレーズを弾いている(アコースティック・ピアノの演奏を聴けば技量が並ではないことが分かる)ことを考えると、このサウンド・メイキングはあまりに物足りない。
7 曲目「Sotto le mie ali」は、本グループが FINISTERRE らと同様、現在的な音響感覚にあふれることを示す佳作。
(MMP 335)