アメリカのギタリスト「John Abercrombie」。テキサスの呑んだくれのような風貌だが、ECM 系。 ビリー・コブハムのグループで頭角を現す。 オルガン・トリオを得意とする。
| John Abercrombie | guitar |
| Jan Hammer | organ, synthesizer, piano |
| Jack Dejohnette | drums |
75 年発表のアルバム「Timeless」。
初リーダー作。
正統的でオーソドックスなジャズ・ギタリストでありながら、エレクトリックなサウンドを駆使した現代的な表現が好きなようだ。
ヤン・ハマーという「勇気ある」人選など、自らにない要素との係わりを確認したいという思いでもあるのだろうか。
当然、MAHAVISHNU ORCHESTRA、ジョン・マクラフリンへの意識はあるだろう。
そのハマーとのバトルが炸裂する 1 曲目がよくも悪くも超強烈。
ここでのアバークロンビーは、ジョン・エサリッジも真っ青の豪腕を披露、加熱したときの無茶なプレイは、ジョン・グッドソールに近い感じだ。
終盤の、シンセサイザーと見まがうばかりのメカニカルなソロがカッコいい。
それでも、全体からの印象は、ナチュラル・トーンを用いてオーソドックスなプレイをする、ジャズ・ギタリストである。
もっとも、若干苛立ったような表現を見せるところが、ユニークではある。
どうやら、フィンガー・ピッキングも得意なようだ。
ジャズ・ギタリストには珍しく、アコースティック・ギターのプレイがていねいであり、音も美しい。
ハマーは、キーボード兼ベース・ラインを担当。
得意のシンセサイザーのベンディングも見せるが、ここではオルガンとピアノがメインである。
なお、この時期のこのメンバーは、そのままポーランドの Neimen の渡米作に参加している。
「Lungs」(12:08)オルガンとギターが舌をかみそうなフレーズで猛烈なバトルを繰り広げる。
後半は、即興空間が広がる幻想世界。
デジョネットが何気なくテクニシャン振りを発揮。
ハマー作。
「Love Song」(4:34)ピアノとアコースティック・ギターのデュオ。
美しく叙景的な音から、抑制されたロマンティシズムが立ち昇る。
メイズ/メセニーのような世界であり、ニューエイジ・ミュージックの到来を予言するような作風である。
アバークロンビー作。
「Ralph's Piano Waltz」(4:52)
ジム・ホールやパット・マルティノのようなメローで技巧的なジャズ。
オルガンもオーソドックスである。
ただし、妙にブツぎれの音やヴァイオリン奏法など、わざとジャズの正確性を放棄しているような感じもある。
中盤から、やおら力が入った演奏となる。
アバークロンビー作。
「Red And Orange」(5:21)オルガン主導のジャズロック。ヘヴィかつスピーディ。ハマー作。
「Remembering」(4:32)ピアノとアコースティック・ギターの情熱的なデュオ。
アバークロンビー作。
「Timeless」(11:57)エレキギター、オルガン、ドラムスによる幻想的なトリオ。
ギターは、ジャズというよりはロック・ギターに近いメロディック・マイナー風のソロ。
オルガンは、ベースと密やかなバッキングに徹す。
7 分辺りから、シンセサイザーによるフィードバックのような音のソロとオルガンのオブリガートが加わり、緊張感あふれる展開となる。
名曲。
アバークロンビー作。
(ECM 1047 829 114-2)