フランス・イギリス混成のサイケデリック・ロック・グループ「GONG」。
60 年代末にイギリスを追われた SOFT MACHINE のオリジナル・メンバーであるデヴィッド・アレンがフランスでソロ活動を続け、71 年に GONG としてアルバム・デビュー。
72 年スティーブ・ヒレッジが加入し、「Radio Gnome Invisible」三部作を発表。
三部作の最終作「You」の完成とともに、アレンとヒレッジがともにグループを離れ、ピエール・モエルランがグループを再編しジャズロック・グループへと転身。
この PIERRE MOERLEN'S GONG の活動が 80 年代後半以降沈静化する一方、デヴィッド・アレンあるところ GONG は存在し続け、90 年代に入っても、来日含め旺盛な活動が続く。
2009 年 10 年ぶりの新作「2032」発表。ものすごくカッコいいから安心すること。
| Daevid Allen | guitar, piano, vocal |
| Mike Howlett | bass |
| Gilli Smyth | voicewhisper, horsewhisper, birdsong |
| Didier Malherbe | banboo flute, alto sax, doudouk |
| Theo Travis | tenor & soprano sax, flute, keyboards, samples |
| Chris Taylor | percussion, drums |
2000 年発表の作品「Zero To Infinity」。
遂に出た新作。
GONG は生きていた。そして Zero も生きていた。
なめらかなサックスと憎たらしいアレンの鼻歌がジャズもロックも一跨ぎ、場末のキャバレーからチベットの神殿、果ては遥かな星雲まで一気通貫の、痛快かつゴキゲンかつ神秘的かつユルユルなアルバムである。
乱痴気騒ぎではなく、神妙な顔でそろりそろりと鋭いステップを決めつつバカするところが、古典芸能の狂言に近い気がする。
すうっと消え入りそうなくせにカミソリのような切れ味をもつリズムは、やはり GONG ならでは。
とてつもなくカッコいいです。
A君「おい GONG の新作だってよ」
B君「うはははバッカじゃねーの」
A君「そんなこといわねーで聴いてみよーぜ」
....
A君B君「うはははバッカじゃねーの」
必携。
(SMACD824)
| Daevid Allen | guitar, vocal |
| Christian Tritsch | bass |
| Gilli Smyth | space whisper |
| Shakti Yoni | space whisper |
| Didier Malherbe | flute, sax |
| Eddy Louiss | organ, piano |
| Pip Pyle | percussion, drums |
71 年発表の第二作「Camembert Electrique」。
"Radio Gnomes" のささやきから始まる本作は、ユニークなスペース・サイケデリック・ワールドを生み出した大傑作。
ユーモアあふれる歌詞をフィーチュアしたソリッドなロックから、コント風の SE、そしてエレクトリックなギミックを駆使した幻惑的なナンバーまでが、ゴチャゴチャとおもちゃ箱のように詰まっている。
アレンのレイドバックしたヴォーカルとシャープなギター・プレイが冴えまくり、タイトなドラムと強力なサックスも大活躍だ。
一見やる気のなさをアピールするような妙なスタイルだが、そこから飛び出すのはスタイリッシュでべらぼうにカッコいいロックである。
プロデュースはジャン・ゲオルガカラコスとジャン・リュック・ヤング。
「Radio Gnome」(00:28)
不思議な宇宙人「Radio Gnomes」の声でアルバムは始まる。
テープの回転数を変化させた声が、電気を帯びた意味不明の言葉を繰り返しては、最後に「Gong!...」とつぶやく。
さまざまな音がコラージュされる。
ユーモラスでちょっとクレイジーなオープニングだ。
「You Can't Kill Me」(06:20)
ワウ・ギターによるユーモラスで歯切れいいリフとともに、力の抜けたアレンのヴォーカルが入ってくる。
オブリガートはスマイズの脳天直撃スペース・ヴォイス。
ヴォイスというよりは、耳に触れてはきらきらと散ってゆく魔法の粉である。
けだるいヴォーカルとは対照的にカミソリのようにシャープなリズム。
サックスもなめらかに入ってくる。
反響しまくるギターとヴォーカル。
ヴォーカル・リフレインにサックスが華麗に絡み、宇宙のささやきが満ちる。
「You Can Do What You Want!...」の決めは、あまりに鮮やか。
ドラム、サックスと華麗にユニゾンする、しなやかな呟きヴォーカル。
飛びまくるギターとは裏腹に、一体感あるテクニカルな演奏だ。
どこかネジが外れていて変てこりんだが、きらめくような鋭さとやる気のなさがゴチャゴチャになって、やがて何にも止められぬ疾走感が湧き上がってくる。
キレのいいヴォーカル・リフレインをサックスが追いかけ、スペース・ウィスパーがオーヴァーラップすると、テーマ・リフからメイン・パートへと帰ってくる。
なんという疾走!
反響する呪文のようなヴォイスを尻目にサックスが走り、けだるい呪文から「You Can Do What You Want!...」のキメを連発。
飛びまくる音響のなか、力強さと粘っこい執拗さで突進するロックンロール。
力が抜けているようでしなやかなヴォーカルと、軽やかなリズムがリードする代表曲である。
うっとおしいほどの繰り返し、過剰なまでにシャープなリズム、宙を舞うギター、ヴォイスが基本。
そして、もちろんサックスもこの粘っこさとグルーヴの源の一つである。
GONG 流サイケデリック・ロックの大傑作。
OZRIC TENTACLES なんかはこの辺が原点なんだろう。
ピップ・パイルのドラミングは満点。
この人たちは、どういうのがカッコいいロックなのか、ということをちゃんと分かっているような気がする。
「I've Bin Stone Before」(2:36)
チャーチ・オルガンをバックに、国家斉唱のごとく朗々と歌い上げるアレン。
ユーモラスなディレイ、そしてジャジーなサックスが、奇妙にエモーショナルなブローでヴォーカルに絡む。
最後は再び、サイケな混沌が訪れる。
ロバート・ワイアットとよく似たセンスだ。
というか、こちらが元祖か?
いつずっこけるかが楽しみな、ユーモラスな詠唱。
「おいらは昔は石だった、わっかるかなあ、わっかんねえだろうなあ」
ベースには、フリー・ジャズを感じる。
「Mister Long Shanks: O Mother I Am Your Fantasy」(5:57)
「Looney Tune」のテーマのようなサックスのリフレインが次第に加速、鋭いビートとともに始まるのは、またもふざけたアレンのヴォーカルである。
次第にエキサイトして荒々しく吼えるが、一転して、THE BEATLES 風のリフレインに変化する。
みごとな豹変である。
得意の執拗な繰り返し。
サックスがリードする演奏は、気まぐれなヴォーカル・ハーモニーとみごとにシンクロする。
まるでフランク・ザッパの作品のように、口調に合わせて自由にリズムを変化させつつ、一糸乱れぬ演奏が続く。
7 拍子を巧みにおり込んた、蹴っつまづくようなリフレインが面白い。
突然、酔いが醒めたようなブレイク。
ベースがゆったりとシングルトーンを奏で、反響音がさまざまに飛び散る中を、宇宙遊泳の如く、イロっぽいヴォイスが切なくしどけなくささやく。
宇宙の孤児か、娼婦の夢か。
音が飛び交い、女性のささやきも背景にとけ込んでゆく。
前半は得意の疾走型ロックンロール。
すぐに 60 年代風のビートポップスに変貌するが、じつは変拍子アンサンブルであり、その切れ味は並大抵ではない。
後半は、バックグラウンドのスペイシーなエフェクトを気にしなければ、子守唄のようなファンタジックなフォーク・ソングである。
「Dynamite:I Am Your Animal」(4:32)
薄っぺらいガレージ風の伴奏とともに、アレンが「Dynamite!...」と吐き捨てる。
ノイジーなギターのオブリガート、ドラム、ベースがきついアクセントをつける。
リズムは 5 拍子で始まり、けだるいギター・リフとクレイジーなヴォーカルがねじれるようにうねうねと続いてゆく。
攻め立てるようなリズム。
ふと気付くと、リズムは重めの 3 拍子に変化している。
メロディらしいメロディはなく、身悶えるようなスマイズの絶叫のみ。
かったるいギター・リフ、そしてあえぎ声のような変態ヴォイス。
ぐにゃぐにゃと頼りなくも、細かく音を刻むギター・リフ。
再び、オープニングと同じ叩きつけるようなヴォーカル・リフレイン。
サックスのオブリガート、ギターが轟く。
早口リフレインに、野太い絶叫がからみつく。
いよいよクレイジーな雰囲気が高まり、弾け飛ぶ。
いらいらするような反復しとキチガイじみたヴォーカルが迫りくる変態ロック。
スマイズのヴォイスも、もはやピロートークというよりは、ヤってる最中そのものである(下品ですみません)。
終盤は、ヴォーカルと一体となった演奏がみごとな動きを見せる。
「Wet Cheese Delirium」(00:34)
フランス語の問いかけ(なんとか Camembert? といっているようだけど)とノイズのみ。
「Squeezing Sponges Over Policeman's Heads」(00:12)
「Gong!...」という声に続いて、笑い声や直前のフランス語が入ってくる。
一瞬で終わり。
タイトルは P.K ディック風、というか、単にこの頃あんまりオマワリさんと仲がよくなかったのでしょう。
「Fohat Digs Holes In Space」(6:22)
ギターのパワー・コードとサックスが力強いユニゾンで迸り、トライバルなドラム・ビートが轟く迫力のオープニング。
KING CRIMSON にも迫るヘヴィなイントロである。
グリッサンド・ギター、オルガン、メロトロンらのノイズが渦を巻くように宙を舞う一方で、ドラムス、ベースがじつに腰のあるリズムを叩き出している。
サイケデリックな混沌を仕切るのは、ドラムスとタイトなベース・リフ。
軽やかなスネア打ちと小気味いいベースのトレモロ。
引き締まったリズムの上で、グリッサンド・ギターとスペース・ウィスパーが交錯する。
中盤になって、混沌の中からギターとサックスによるテーマが鮮やかに浮かび上がり、やがてサックスとのハーモニーになってゆく。
万を持して、アレンのヴォーカルが、独特のナめた口調で登場。
サックスのオブリガートが高鳴り、スマイズの嬌声が追いかける。
ジャジーなサックス・ソロ、かみつくように迫るギターのコード・ストロークとハーモニー。
続いて、粘っこいギター・ソロ。
オーソドックスなペンタトニックのアドリヴで、左右のチャネルから攻め立てる。
サックスも巧みにギターを支えている。
最後は、突如ユーモラスな民謡風のべースとヴォーカルが乗り込み、リズムが崩れておしまい。
前半は、本作以降も現れる典型的な GONG 流サイケデリック・ミュージック。
タイトでミニマルなリズムと宇宙遊泳状態ギター、ヴォーカル処理など、あらゆるものが肉体と精神も溶かし込んだスープとなってゆく。
中盤からも、軽妙にして弾力あるヴォーカル・パート、信じられないくらいシャープなギター、サックスのインタープレイなどみごとなプレイが連発。
とにかくイケイケなオープニングがカッコいい。
名曲。
「Tried So Hard」(4:38)
フォーク・ロック調のギターによるストローク、アメリカン・ロック調の乾いた小気味いいリズムが走る。
力のぬけたヴォーカルと追いかけハーモニーは、THE BEATLES を先祖とするビート・グループに通じるものだ。
ギターを激しくかき鳴らす間奏、そして軽やかなタム回し。
いかにもアレンらしい、かったるいヴォーカル・リフレイン。
サビのヴォーカルに合わせてギターが轟き、オブリガートも軽やかだ。
ギターの軽やかなカッティングをバックに、エコーを効かせたフルートが宙を舞う。
歯切れのいいドラミングにうっとり。
一方、ヴォーカルは、相変わらずのヘナヘナ調が意外にいい感じだ。
どこかノスタルジックで暖かいスマイズのささやき。
再び、ギターが轟くヴォーカル・リフレインが追いかける。
ギターが静かにカッティングを続けると、ベースが歌い出して、タイトなリズムが帰ってくる。
メイン・ヴォーカル、コーラスのリフレイン。
ギターが轟き、堂々としたエンディング。
かったるくラリラリななかに、ジョン・レノン風のセンチメンタリズムやビート/サイケ風の若々しさが現れているフォーク・ロック。
60 年代風であり、タイトなドラムスとハーモニー、そしてギターをかき鳴らすだけで十分カッコいい。
フルートやウィスパー・ヴォイスなど宇宙な味つけをしつつも、甘いメロディ・ラインとともにストレートに突き進むビート調のノリが勝った名曲です。
「Tropical Fish: Selene」(7:36)
変な呪文の呟きから、一転、激しいサックスとギターが吠える演奏が飛び込む。
ベースとユニゾンするヴォーカル、早口言葉のようなギターのオブリガート。
痛快だ。
今度は、サックスとユニゾンするヴォーカル・リフレイン。
オブリガートも早口言葉サックスだ。
腰の揺れる歌メロ、そして煽るようなリズム・セクション。
再びサックスとヴォーカル・リフレイン。
ドラムをきっかけにサックスとギターがリフから絶妙の絡みへ。
ややインドっぽいギターに、スペース・ヴォイスが絡みつくと、サックスを聴きながらヴォーカルが呟く。
サックスもやや東洋風。
ドラムはひたすらタイトに叩き捲くる。
すべてが絡み合い、宙に浮かび上がる。
サックスが唯一明確だ。
ややヴォリュームが落ち、呟きヴォーカルが復活。
そしてシャープな決めの連発。
リズムが止み、ヴォーカルが宇宙で叫ぶ。
原色の海。
重なり合うエコー。
軽妙なギター・リフが秩序を取り戻し、ベースがゆっくり歩き出す。
ギターのストロークに、再びスペース・ヴォイスがエロティックに絡む。
再び、ヴォーカルの叫び。
サックスが戻って、アンサンブルが厚みとしなやかさを取り戻す。
ギター・リフから、一転「You Can't Kill Me」の「You Can Do What You Want!...」のリフレインが現れて、早口ユニゾンが炸裂して終わり。
ハードなオープニングにゾクゾク、そしてみごとに一体化したアンサンブルに思わず体が動くフィナーレ。
ギター、サックスのソロ/デュオ、スペース・ウィスパーから変態ヴォーカルまで、全てを叩き込んだライヴのようなインプロヴィゼーション。
荒々しさが魅力だ。
それでいて、ドラマもある。
とても落ちついていられません。
エンディングもグー。
CAN や PINK FLOYD、「Islands」KING CRIMSON との共通点を感じます。
「Gnome The Second」(0:27)銅鑼の響きか。
再び妖しい「GONG...」の呟きと飛び交う電子音。
「Planet GONG.....」。
ディープなサイケデリック・ミュージックとタイトなロックンロールがほどよくブレンドした傑作。
サイケな毒々しさよりも、ユーモラスでほんわか能天気な雰囲気が、全篇を貫く。
それでいて、澱むことのないこの疾走感。
ほとんど脳内麻薬的、ラリパッパな快楽を湧き上がらせるから、サイケデリック・ロックであることに間違いはない。
一つのジャンルを作り上げた、アレン以下変態たちのオリジナリティの発揮に感謝感激。
特に後半の 3 曲がおみごと。
パイルのドラミングは本当にすばらしいです。
(Virgin 502 / CD LIK 64)
| Daevid Allen | guitar, vocal |
| Gilli Smyth | special effects, vocals, voices, poetry |
| Didier Malherbe | flute, soprano & tenor sax |
| Tim Blake | synthesizer, vocals |
| Steve Hillage | guitar |
| Pierre Moerlen | percussion, drums |
| Mike Howlitt | bass, vocals |
73 年発表の第四作「Radio Gnome Invisible Part II - Angel's Egg」。
ディテイルは綿密だが徹底してナンセンスなスペース・ストーリー「Radio Gnome Invisible」三部作のニ作目。
すでにデキあがっているけだるいオープニングから、長いクレシェンドとともにグラインドするようなグルーヴが生まれてゆく。
この「キモチよさ」がアレン GONG の最大の特徴である。
ハレハレのサイケデリック空間を演出するのはスペース・ウィスパリングとシンセサイザーとギター、そしてそこへ研ぎ澄まされたサックス、エレピによるジャジーなテイストが加わり、極上のリラクゼーション・ミュージックとなっている。
うっすらと煙のごとく渦を巻く東洋風味もいい感じだ。
また、GONG というととかくユーモラスな面のみが強調されるが、ここで聴かれる演奏は、そこらのフュージョン・グループに顔色無からしめるシャープなものである。
タイトなリズム・セクションとマレルブのサックスは、ジャンルを越えて超一流といっていい。
そして、アレンの暖かくもシニカルなヴォーカルも非常に魅力的だ。
OZRIC TENTACLES なんかは、やはりこの辺が原点なんだろう。
この頃、各メンバーの優れた仕事がアレン、スマイズをぐっと押し上げてゆく、理想的な状況にあったのでしょう。
改めてフランク・ザッパの影響も感じさせます。
「Oily Way」は、目がさめるほどカッコいいジャジーなロックンロール。
スーパーテクニカルにしてカッタるい、という GONG の代表作の一つでしょう。
「Love Is How Y Make It」は、モエルランのマリンバがフィーチュアされ、グループの将来の片鱗がうかがえる。
「I Never Glid Before」は、御大のヴォーカルとジャジーなバックが冴えるヒレッジのナンバー。
サイケ・ギターも全開。
THE BEATLES っぽさとともに、アレンの音楽センスの根底にはジャズがあるんだなあと実感できる音である。
一言でいうと、ふにゃふにゃなのに、しなやかな音楽です。
プロデュースはグループ。
「Other Side Of The Sky」(7:40)うっすらと漂う電気の粒が次第にまとまり、惑星を生むような律動を見せ始める。
ふと気づけば、脈動するリズムに命があふれ出る。
エレクトリックなエフェクトを駆使した、けだるくもファンタジックなオープニングである。
「Sold To The Highest Buddha」(4:25)かったるいアレンのヴォーカルをサックス、ギターが支えるロックンロール。
ふざけているようで、演奏とヴォーカルの一体感は抜群。
ジョン・レノンのプレイのようです。
エフェクトされたギターとシンセサイザーによる、あたかも空気が液体になったような音響もみごと。
奔放なプレイの陰では、メロディアスなサックス、丹念なリズム・セクションがしっかり仕事をする。
「Castle In The Clouds」(1:09)グリッサンド・ギターとディレイがさざめきシンセサイザー・シーケンスが駆け抜ける。
宇宙の呼び声。
「Prostitute Poem」(4:52)スマイズの股間直撃ウィスパーと銀河ダンス・ホールのレトロ・バンド演奏に島田も揺れる、小粋な舞曲。
サックス、トレモロ・ギターらによる大正カフェー風のエッチなワルツと、アフロ・エキゾチックな疾走型の演奏が、夢の中にいるように交錯する。
ここまで全編にわたり、ジャズロック的な疾走を匂わせるアンサンブルが一瞬現れてはすぐに消え失せる、というのを幾度も繰り返す。
この寸止め状態は正直辛い。
「Givin My Love To You」(0:43)スチールドラムのような音と学生コンパのようなコーラス。
なんとなく、ドイツの男子学生の宴会(参加したことはありませんが)風である。
「Selene」(3:38)ギターと鉄琴、フルートが彩るスローで愛らしくちょっとサイケなナンバー。
10CC 的なデリケート・ポップである。
最後はお経。
「Flute Salad」(2:09)エレクトリック・フルートとシンセサイザーによる東洋的エキゾチズムあふれるインストゥルメンタル小品。
「Oily Way」(3:37)フルートとギターのジャジーで軽妙なユニゾンから始まる、イージー・ゴーイングにしてタイトなロックンロール。
モエルランのドラムスは、すさまじい切れ味だ。
クールで意地悪そうなアレンのヴォーカルが冴える。
ワイルドなメイン・ヴォーカルと暖かみのあるビートポップ風のサビの対比。
呼吸抜群のかけあい。
マレルブのフルート、サックスが絶妙のプレイを見せる。
「Outer Temple」(1:09)
「Inner Temple」(2:34)
「Percolations」(0:46)
「Love Is How Y Make It」(3:27)ヴァイブらの愛らしい音に支えられアレンがささやく謎めいた御伽噺。
もしくは東洋風の童謡。
後半、ヴァイブ、マリンバのプレイが、後のモエルラン GONG を思わせる緻密な文様を描き出す。
「I Never Glid Before」(5:36)左右から交互にささやくのは、御大とヒレッジだろうか。
サックス、ギターによるしなやかなリフがドライヴする。
サイケ・ギター・ソロもフィーチュア。
ヒレッジらしい甘酸っぱさあり。
「Eat That Phone Book Coda」(3:12)初期 SOFT MACHINE 的なジャズ・ポップ。
サックスは、まるで、エルトン・ディーンのようです。
「Ooby-Scooby Doomsday or The D-Day DJ's Got The D.D.t. Blues」(5:09)LP 時は「Live Etc」に収録されていた作品。
(Virgin 2002 / CAROL 1662-2)
| Steve Hillage | guitar |
| Daevid Allen | guitar, vocal |
| Tim Blake | synthesizer, keyboards |
| Mireille Bauer | percussion |
| Benoit Moerlen | percussion |
| Mike Howlett | bass, vocals |
| Pierre Moerlen | percussion, drums |
| Didier Malherbe | synthesizer, flute, sax, vocals, wind instruments |
| Gilli Smyth | special effects, vocals, voices, poetry |
74 年発表の第五作「You」。
アレンによる空想物語「Radio Gnome Invisible」の第三部。
ユーモアと健康的な(?)パワーに溢れたサウンドにシンセサイザーのループによる悪夢テイストを盛り込み、新たなサイケデリック・ミュージックへと到達した作品だ。
特に、インストゥルメンタル・パートの充実が顕著。
OZRIC TENTACLES なんかは、やはり実はこの辺が原点なんだろう。
構成は、ユーモラスな小品 4 曲とシンセサイザーに泥酔できる濃厚な大作 4 曲。
詩的で繊細なアレンの感性/アイデアを、べらぼうな演奏能力のメンバーがデフォルメして実体化するという形は、本作で最高潮に達した。
それとともに、軽妙なヴォーカル・パートと緊迫した技巧的インストゥルメンタル・パートとの間に、対比効果以上の乖離も感じられる。
プロデュースは、グループとサイモン・ヘイワース。
1 曲目「Thought For Naught」(1:32)シンセサイザーが風のように吹きすさぶ。
フルートとサックスが交差するおだやかなメロディ。
そして、笑いをこらえる演説のようなヴォーカル。
スマイズのささやきが応える。
ヴァイブの透き通るような響き。
フルートがいくつも重なり合う。
沖縄音階のような歌。
シンバルが鳴る。
おだやかな中にユーモアをうめこんだイントロダクション。
ヴォーカルは珍妙だが、演奏にはまとまりがあり、メロディアスで暖かみがある。
2 曲目「A P.H.P.'s Advice」(1:38)1 曲目の変奏のようなアップ・テンポの軽妙な曲。
アレンのバリトン声は、ちょっといやらしい。
ヴァイブとサックスのオブリガートもすてき。
1 コーラス目の間奏は、サックスがリードする。
2 コーラス目の間奏は、ネジの外れたキュートなヴァイブのリフレイン。
おもちがぐにょーんと伸びるようなアンサンブル。
かわいらしくてちょっとクレイジーなナンバー。
コール・レスポンス風のヴォーカルとユーモラスな演奏。
。
ヴォーカルが伸ばす低音がそのまま続き、3 曲目「Magic Mother Invocation」(2:11)へ。
シンセサイザーの電子音と声が重なりながら、うねってゆく。
スキャットともスライド・ギターともつかぬ、奇妙なポルタメント。
次第に、視界はさまざまな色におおわれてゆく。
4 曲目「Master Builder」(6:17)シンセサイザーの電子音が渦巻く混沌の向こうから聴こえてくるのは、「ダイ・ダオ」という祈りの言葉のようなリフレイン。
シンセサイザーは、輝く光の雨のように降り注ぐ。
ドラム、パーカッションが呼吸よく打ち鳴らされ、ふと気づけば、リズムが形つくられている。
息を呑む瞬間だ。
コーラスに合わせて、フルートが軽やかに歌い出す。
タイトなリズムが最高潮に達し、鋭いフィルが放たれると、エネルギッシュなサックスが、あたかも待ち切れないようにつんのめりながら飛び出してくる。
気が遠くなるほどカッコいい。
きらめき渦巻くシンセサイザー。
暴れるサックスと疾走するドラム。
すべては、エクスタシーへ向けて、一直線に昇ってゆく。
リズムとサックス、ノイジーなギター、キーボードが一体となり渦を巻く。
サックスとギターが、小粋に軽やかに、かけあう。
ヴォーカルが一声決めて、いきなりブレイク。
フニャフニャ・ギターとヴォーカルが繰返される。
眩暈のしそうなブレイクの連続、そして一糸乱れぬアンサンブルが、再び全力で駆け出す。
パワフルなリズムに乗って、インドなギター・ソロが繰り出される。
左右のチャンネルから交互に飛び出す、しなやかなギター。
これはヒレッジだろう。
ヤケっぱちか気が触れたか、ドラムスは常人とは思えぬ手数足数で叩きまくる。
電子音が尾をひいてクルクルクルと宙を舞う。
ヴォーカル、サックス、メロトロンによるユニゾンが、しなやかにアンサンブルをすくい上げて、宇宙へと連れ出す。
全てが走る、走る、走る、走る。
息を呑む唐突なストップ。
色とりどりの音の粒が宙を舞うなかを、ひたすら翔けぬけてゆく、ファンキーでパワフルなサイケデリック・ロック。
絶妙の呼吸、グルーヴ、ワイルドにして酩酊感あふれる疾走、すべて 100 点。
唐突に現れて一気にクライマックスへと猛烈に突っ走るため、加速で脳震盪を起こしそうだ。
快感。
5 曲目「A Sprinkling Of Cloud」(9:03)シンセサイザーのシーケンスが延々絡み合う不可思議空間。
幻想宇宙の鼓動が錯綜する。
3:20 くらいから、ベースによるフリーで呪術的なプレイが聴こえてくる。
4:15 あたりでドラムが鋭く動き出し、ベースもうねるようなリフに変化する。
またもや、疾走の始まりだ。
シンセサイザーが生む原色の乱舞。
ムーグらしいいい音だ。
5:43、すべてに命が宿り、動き始める。
メロトロンが轟々と鳴るも、フロントにはにぎやかな音が通り過ぎる。
ギターは、この大混乱を助長するが如く弾きまくる。
メロディアスなサックスとフルートが切り込み、混沌にようやく一筋の光明がさすもすでに時遅く、幻想宇宙は去ってゆくのであった。
こんがらがった巨大な音の混沌から始まリ、やがて迸るようなリズムが混沌を切り裂き、強引にかきまぜてゆくサイケデリック・ロック。
中盤までのシンセサイザー・シーケンスは、宇宙に満ちる素粒子の歌声である。
サイケデリックにして、なぜかニューエイジ/テクノ調でもある。
ラリラリだがアシッドでなく、あくまで舌ざわりはなめらかだ。
ドラムスは、時を刻みとって秩序をもたらす神である。
最後のフルートは、まるで尺八。
長いデクレシェンドで去ってゆく後味もいい。
傑作。
緊迫感は「太陽と戦慄」にも通じる。
前曲と本曲が最初のクライマックス。
6 曲目「Perfect Mystery」(2:31)ツイン・ギターによるファンキーなオープニング。
一転して、アレンのヴォーカルによるけだるくもコミカルな演奏へ。
マリンバとサックスが軽妙に伴奏する。
男性陣の語りかけにスマイズが色っぽく応える。
間奏は、ジャジーなマリンバと色っぽいソプラノ・サックス、ギターが軽やかに走る。
ほとんどザッパである。
今度は、スマイズがセクシーに語りかける。
再びイントロのファンキーなギターから繰り返し。
アレンとスマイズのヴォーカルによる小粋な相聞歌。
パンチのあるオープニングがカッコいい。
ソプラノ・サックスとマリンバが軽妙に彩る。
ほのかに 60 年代ポップ・テイストが浮かび上がり、アレンのキャリアを思い出させる。
7 曲目「The Isle Of Everywhere」(10:24)
女性のファルセット・ヴォイスが電子音のうねりとともにあちこちから降り注ぐ、幻惑的なオープニング。
突如激しく小気味いいピック・アップ、フィル・インでドラムスが加わり、ベースがジャジーなリフを刻みだす。
シンセサイザーの電子音によるうねりと女性ファルセット・ヴォイスによるバック・グラウンドは変化なし。
次第にシンセサイザーの音の濃度は上がり、スキャットとともに緩やかに広がりを見せ始める。
執拗なまでにジャズロック的なリフを繰り返すリズム・セクション。
ベースのパターンが次第に催眠術のように効いてくる。
ドラム・フィルも快感。
ここで、天からの声のように切り込むのがサックス。
透き通るような音色で、やや中近東風味もあるソロだ。
ジャジーである。
何もかもが浮き上がりそうなタイトなリズム。
続いて、旋回するようなエフェクトを効かせたギターへ。
スペイシーなシンセサイザーをバックに、ブルージーなソロである。
マリンバが伴奏へ加わる。
ギターは、いかにもヒレッジらしいペンタトニック主体のソロである。
ベンディングによるしなるようなフレーズが心地よい。
湧きあがる電子音と猛烈なドラミングそしてクールなベース。
シンセサイザーのうねりをバックに、シーケンスの如きシャープなリズムとベース・リフが延々と続く、ファンクなサイケデリック・ロック・インストゥルメンタル。
ドラムンベースの原点の一つである。
ここのリズム・セクションは、私の知る限り、最強/最高の一つ。
セカンドライン・ファンクにサイケをまぶした、まさに奇跡的なグルーヴである。
スペース・ウィスパー、ベース、サックス、ギターが順繰りにフィーチュアされる。
ヒレッジによる終盤のギター・ソロが圧巻。
すぐさま 8 曲目「You Never Blow Up Your Trip Forever」(11:10)。
再び電子音がネジを巻き、四方八方へ飛び交うなかを、声色を駆使したデタラメなヴォーカルが入ってくる。
ほとんど幼児の戯言の如きヴォーカルが続き、軽妙なオブリガートが反応する。
会話のようなやりとりとともに、演奏はフェード・アウト。
再び電子音を背景に、つぶやくようなアレンの歌が始まる。
おもしろいことに、歌にはスタンダード・ジャズ風なところもある。
フルートがメランコリックにさえずり、メロトロンが湧きあがる。
ジャジーなリズムと気まぐれなギターのコード・ストローク。
ドラムのタム回しをきっかけに、ヘヴィなハードロックがスタート。
短い言葉を繰り返しては、吐き捨てるヴォーカル。
ギターとサックスがオブリガートで応酬。
パンクっぽいヴォーカルを、ヘヴィなギターとサックスのリフが追いかける。
荒々しくも俊敏な演奏だ。
アジっては突如軽妙に表情を変える、存在感抜群のヴォーカル。
またも演奏のヴォリュームが落ち、電子音や SE が漂う。
かったるそうに歌うヴォーカル。
次第にヴォリュームが上がり、リズムもはっきりとしてくる。
いいかげんなセッション調のロックンロールが続く。
電子音や SE がからまりあう。
ダルなリズムに奇妙な SE が降り注ぎ、ワイルドなギターが絡まる。
つぶやくようなヴォーカル。
挑発するギター。
リタルダンド。
再びヴォリュームが落ち、アレンとスマイズによるピロートーク風のデュオが続く。
電子音が舞い、リズムは死にかけ。
ギターとフルート、ヴォーカルによるアンサンブルはアラビア風?。
どこかへ旅立ってしまうように、次第に何もかもが消えてゆく。
シンセサイザーをやや抑え、「Camembert Electrique」を思わせるギター、サックス中心の演奏にアレンの軽やかなヴォーカルが乗る、レイドバックしまくりのロックンロール。
ジャズからハードロック、パンク、ビートポップまでを、軽やかにカッタルげに旅する。
脈絡はぶっ飛び、無から有が生まれる超現実世界である。
やる気がないのか、やる気満々だけどこういう風になっちゃうのか。
おそらく両方。
ザッパとジョン・レノンの合作のような大団円。
GONG 流サイケデリック・ロックの完成型。
疾走感あふれるジャジーで引き締まった演奏に、シンセサイザーによる彼岸的音響が加わって、もはや誰も止められない。
豊かに歌うサックス、破天荒な効果音ギター、気持ちよすぎるリズム・セクションが生み出した奇跡の大傑作だ。
特に A 面最後の 2 曲は快感。
特にテクノが好きというわけでもない私が、「A Sprinking Of Clouds」には痺れてしまう。
ドラムスが入ってくるところを、これだけ楽しみに待てる作品は、他にはありません。
至福の後半 5 分間。
ヒレッジもマレルブもモエルランもハウレットも、すばらしい仕事をしている。
ここでのサウンド、音楽は、現代ポピュラー・ミュージック・シーンの源流の一つではないだろうか。
そして、せめぎあうテクニック、音、グルーヴの間を流れるのは、アレンのセンスのいいユーモアと人間としての懐の深さ。
最後が妙に宗教調なのは、一流の洒落に違いない。
本作がつまらないと思った方は、少し人生辛いかも。
個人的には、本作はロック・アルバム 10 選の上位に必ず入ります。
(Virgin 13113 / VICP-61174)
| Mike Howlett | bass, vocals |
| Dedier "Bloom" Malherbe | tenor & soprano sax, c&g flutes, bamboo flutes, gongs |
| Mireille Bauer | marimba, glockenspiel, xylophone, assorted percussions, gongs |
| Pierre Moerlen | drums, vibraphone, tubular bells |
| Patrice Lemoine | pianos, organ, mini-moog |
| guest: | |
|---|---|
| Steve Hillage | acoustic & electric guitars on 1, 3 |
| Miquette Giraudy | vocals on 3 |
| Sandy Colley | vocals on 6 |
| Jorge Pinchevsky | violin on 2, 3 ,4, 6 |
75 年発表の「Shamal」。
アレン、スマイズ、ヒレッジ(ゲスト参加)というサウンドの核を失うも、新メンバーを迎えて、新たなる領域へと一歩を踏み出した作品。
本作の特徴は、いかにも GONG らしい、サイケでユーモラスにして切れ味いい演奏に盛り込まれた、ワールド・ミュージック的なサウンドである。
アジアンな音が、生来のデラシネ的な逞しさ、無常感、暖かみにいい感じの薬味になっている。
演奏面では、ギターを欠いた編成のため、サックスやキーボードがリードする場面が多い。
そして何より、ヴィブラフォン、マリンバ、グロッケンシュピールなど打楽器の音が、ほとんど主役級の存在感を放つ。
また、ハウレットのベースとモエルランのドラムスというリズム・セクションの力量にも改めて気づかされる。
アレンのもっていた妖しさを、エキゾチズムに求めて成功したといってもいいだろう。
プロデュースはニック・メイスン。
"SHAMAL" は、ペルシャ湾周辺に吹く北西風の意。
内ジャケのメンバーの写真が、抜群にカッコいいです。
「Wingful Of Eyes」(6:20)
フルート、ヴァイブラフォンという涼風のようなアンサンブルをお披露目するオープニング・チューン。
ジャズロック+サイケデリック+ワールド・ミュージックの巧みなブレンドである。
へたくそでけだるいヴォーカルには、アレンの雰囲気も感じられる。
後半は、オブリガートで見得隠れしていたヒレッジのギターが一気に走り、しなやかで官能的なロックとなる。
粘っこい演奏を支える、シャープに躍動するリズムもみごと。
ハウレット作。
「Chandra」(7:18)
ローズ・ピアノ、ベース、サックス、打楽器による技巧的かつほんのりファンキーなジャズロック。
主としてサックスのリードで進むが、聴きどころは、前半のマリンバとグロッケンシュピールの絡み、ムーグ・ソロ、そして、後半のオルガン、ヴァイオリン・ソロか。
ヴォーカルが入ってからのユニゾンも、ユーモラスだがなかなかテクニカルだ。
エンディングの 11 拍子も面白い。
随所に散りばめられるローズ・ピアノの音色も印象的。
多彩な音色を使った描ききった好作である。
ルモワーヌ作。
「Bambooji」(5:11)バンブー・フルートをフィーチュアしたアフロ・アジアン・エスニックなインストゥルメンタル。
吹き荒れる風に笙の如く響くフルートと、東洋風の音階のスキャットが妖しい。
マレルブ作。
「Cat In Clark's Shoes」(8:50)サックス、ヴァイオリン、キーボードを中心に繰り広げられるカンタベリー風のジャズロック。
前作までを思わせる遊び心がたっぷりあり、全体を貫く弾けるような 2+3 拍子のビート感が心地いい。
インストゥルメンタル。
マレルブ作。
「Mandrake」(5:04)ヴィブラフォン、グロッケンシュピールがフィーチュアされたファンタジックなナンバー。
メロディは、前半ドリーミーなフルート、そして後半はジャジーなサックスが担う。
インストゥルメンタル。
モエルラン作。
「Shamal」(9:00)強力なサックスによるファンキーなジャズロック・ナンバー。
ウィスパー系のヴォーカルとヴィビラフォンが絡む中盤以降は、かなりトランス/サイケデリックな雰囲気も強い。
クレジットにないが、ワウを効かせてうねるようなノイズを出しているのはギターではないだろうか。
GONG 作。
(CAROL 1663-2)
| Mireille Bauer | marimba, vibraphine, glock, toms |
| Mino Cinelou | congas, african bell-gong, cuica, triangle, maracas, talking drums, temple blocks |
| Allan Holdsworth | electric & acoustic guitar, violin, pedal steel guitar |
| Dedier Malherbe | tenor sax, flute |
| Benoit Moerlen | vibraphone |
| Pierre Moerlen | drums, vibraphone, marimba, timpani, glock |
| Francis Moze | fretless bass, gong, acoustic & electric piano |
76 年発表の「Gazeuse!」。
前作を最後にスティーヴ・ヒレッジも完全に脱退、新メンバーによるジャズロック路線への足固めを図った内容となった。
RETURN TO FOREVER を思わせる、いかにも「フュージョン」らしいストレートにテクニカルな演奏も増え、相対的に、前作で見られたエスニック色はやや後退している。
今回の特徴は、ミレーユ・ボエ、ベノワ・モエルランらのヴァイブとピエール・モエルランのドラムが生み出す、クリアーにしてパーカッシヴなサウンドの感触だ。
たとえば、「Percolation Part1/Part2」は、その特徴をよく表現した佳作である。
メカニカルながらもしなやかなテクスチュアをもつ音が、うねりをなして広がってゆく。
モエルランの作風には、後に合流するマイク・オールドフィールドの世界に通じるメランコリックなファンタジー性も感じられる。
各曲それぞれに、作曲者の志向がはっきりと現れているのも特徴だろう。
ホールズワースの作品は、ソロ・アルバム用といっていいくらいのギター・ジャズロックであり、モーゼの作品は、エレピも用いた印象派風のファンタジックなものである。
もっとも、この超絶的な個性の発揮が仇となったのか、それぞれのプレイがホールズワースのギターを筆頭にすごい迫力をもつにもかかわらず、アルバムを通した印象があまりはっきりしない。
本作は、やはりヴァイブ、マリンバ、パーカッションによるリズミカルで硬質なきらめきをもつアンサンブルこそが軸である、ということをモエルランに再認識させ、次のステップへと進ませた、という位置付けが正しいのかもしれない。
全曲インストゥルメンタル。
プロデュースはデニス・マッケイ。
なお米国盤「Expresso」は、本作と同内容。
「Expresso」(5:58)オーソドックスなフュージョン/ジャズロック。
沈み込むようなフロア・タムの音や間断なくきらめくヴァイブの伴奏は独特である。
フレットレス・ベースのプレイは、典型的なフュージョン・スタイル。
全員参加のメロディアスなアンサンブルとソロ回しによる顔見世ナンバーだ。
ホールズワースのアドリヴがヘヴィでカッコいい。
モエルラン作。フュージョンが苦手の私でも傑作と呼ばざるを得ません。
「Night Illusion」(3:42)ヘヴィなギターをフィーチュアしたクールな作品。
独特のアーミングをもちいた流れるようなソロを堪能すべし。
ぴったり寄り添うヴァイブの余韻とのコンビネーションがいい。
前曲のリズム・セクションの派手さと比べるとドラムスがおとなしめに聞こえてならない。
熱気と冷気が矛盾なく一つになっている。ホールズワースの芸風は 30 年経っても変化なし。(というか、このスタイルの音楽そのものに変化が無いのかもしれない)
ホールズワース作。
「Percolations:Part 1/Part 2」(10:02)
打楽器のみによる大作。
東洋風のエキゾチズムあふれるヴァイブ、マリンバのアンサンブルが構成する世界は、のちのニューエイジ・ミュージックに通じる。
後半は、切れ味のいいドラム、ティンパニが加わり、万華鏡が高速回転するような変拍子のモアレをなす。
本アルバムの目玉を意図した作品だろう。
モエルラン作。
「Shadows Of」(7:48)
再び、レガートなテーマが活かされたフュージョン・チューン。
メローなテーマは、ギター、ヴァイオリン、フルートのハーモニー。
最初のソロはフルート、こういうジャジーなフルートというのはこっち系では意外に珍しい。
続いてギター・ソロ。冒頭のどうやっているのかよくわからないボトルネックを含め、爆発的なプレイである。
ドラムスも加熱。ヴァイヴが適宜クールダウン。
後半メローなテーマ変奏に達した後に唐突なブレイク、ささやくようなフルートによるほのかなエキゾチムに酔う間もなく、圧巻の速弾きアコースティック・ギターが走る。一回のピッキングで、いったいいくつの音が出ているのだろう。
ジョン・マクラフリンの極めた頂点を、コペルニクス的発想転換で乗り越えた天才ホールズワースのすごさを、ひしひしと感じる。
ドラムもモーリス・パートを思わせる機械のようなプレイで応戦。
ホールズワース作。
「Esnuria」(8:01)
ラテン・フレーヴァーを活かしたへヴィ・ジャズロック。
ここまで出番を抑えられたマレルブのサックスがいい感じの軽さで舞い踊る。
一方ギターは強引なまでにへヴィに攻める。フレットレス・ベースもカッコいい。
マイルドでメロィアスなサックス、轟音ギター、変拍子で軽やかに走る終盤など、この時点での GONG という「グループ」を感じさせる内容である。
モエルラン作。
「Mireille」(4:10)
アコースティック・ギターとエレピによるドリーミーなデュオからシリアスなピアノ・ソロへ。
やや未消化。
MAHAVISHNU ORCHESTRA を思い出させる作風だ。
モーゼ作。
(CDV 2074)
| Daevid Allen | guitar, vocal | Gilli Smyth | space whisper |
| Didier Malherbe | flute, sax, percussion | Steve Hillage | guitar, vocals |
| Mike Howlett | bass, vocals | Shakti Yoni | bass, vocals |
| Tim Blake | synthesizers, vocals | Pierre Moerlen | drums |
| Rob Tale | drums | Di Stewart | vocals, percussion |
| Mireille Bauer | percussion | Miquette Giraudy | voices yonic |
| Patrice Lemoine | keyboards |
アレン、ヒレッジ脱退前のライヴ・テイクと未発表曲をまとめた 77 年発表の「Live Etc」。
「Camembert Electrique」から Radio Gnomes Invisible 三部作までの作品が中心の決定版 LP ニ枚組ライヴ。
レコード会社の専行によって発表された作品ではあるが、内容は、ベスト・メンバー(後半はアレン、スマイズ脱退後のフォーメーション)による、オナカいっぱい充実のパフォーマンスである。
つまり、カッコよくてネジの外れた、最高の演奏です。
CD 化に際してオリジナル LP の B 面 4 曲目の当時の未発表曲「Ooby-Scooby-Doomsday Or The D-Day DJ's Got The D.D.T Blues」(ふざけたタイトルだ)は、時間の関係上割愛され、「Angel Egg」の最終トラックに移された。
プロデュースは、7-10 曲目がジョン・ウォルターズ、それ以外が、マイク・ハウレットとフィル・ニューウェル。
「You Can't Kill Me」(5:53)
「Zero The Hero & The Witch's Spell」(11:05)
「Flying Teapot」(6:32)
「Dynamite/I Am Your Animal」(5:43)
「6/8」(3:49)
「Est-Ce Que Je Suis」(4:16)
「Radio Gnome Invisible」(7:34)
「Oily Way」(3:21)
「Outer Temple」(1:04)
「Inner Temple」(5:15)
「Where Have All The Flowers Gone?」(3:05)
「Isle Of Everywhere」(10:24)
「Get It Inner」(2:30)
「Master Builder」(5:58)
「Flying Teapot(Reprise)」(2:04)
(CAROL 1661-2)
| Pierre Moerlen | drums, percussion |
| Benoit Moerlen | vibraphone, marimba |
| Mireille Bauer | marimba, vibraphine |
| Hansford Rowe | bass |
| Guest: | |
|---|---|
| Allan Holdsworth | guitar |
| Mick Taylor | guitar |
| Bon Lozaga | guitar |
| Darryl Way | violin |
78 年発表の「Expresso II」。
重鎮マレルブも遂に脱退、ついにピエール・モエルランがリーダーシップを握った作品だ。
メンバー的にも、もはや完全にフランスのグループというべきだろう。
ベース以外は、すべてパーカッションという変則編成も確定、メロディ楽器はゲストが担当している。
内容は、エキゾチズムをアクセントに効かせたヘヴィなジャズロック。
特徴的なのは、ボエのマリンバとベノワ・モエルランのヴァイブによる、波打つような音のアンサンブルである。
ミック・テイラー、ホールズワース、ダリル・ウェイら、個性的なゲストのプレイがうれしい。
特にウェイのヴァイオリンは、そのリリカルなプレイで鮮やかな印象を残す。
全曲インストゥルメンタル。
パーカッションをフィーチュアすることによって、いわゆるフュージョン・ジャズロックをブレイクスルーした快作といえるだろう。
プロデュースはグループとジョン・ウッド。
1 曲目「Heavy Tune」(6:25)。
タイトル通り、ベースが唸り、ギターがヘヴィなパワーコードを叩きつけるオープニング。
リズムも重い。
序章を受けた、中華風の展開部の主役は、アッケラカンとしたように軽やかなヴァイブ。
今度は、ブルース・フィーリングあるミック・テーラーのギターが粘るようにまとわりつく。
リズムは堅実にして切れ味よく、さらにそこへマリンバが加わり、ギターのしなやかなサスティンと打楽器のデジタルな音の粒立ちが対比しながらも奇妙な味わいのコンビネーションとなる。
ヘヴィーなホールズワースのサイド・ギター伴奏で、テイラーのブルーズ・ギター・ソロ。
ナチュラル・ディストーションが心地いい、オーソドックスにして堂々たるソロである。
ブルーズ・テイストをモチーフにした作品である。
モエルラン作。
余談だが、わたしはミックテイラーのギターが非常に好きである。
いつのことだったか、ROLLING STONES のことが好きなのは、ミック・テイラーがギターを弾いているからだと改めて気づいて一人でびっくりしたことがある。(みなさん同様「Honky Tonk Women」や「Can't you hear me knockin'」あたりですな)
おそらくこの人はピックではなく指で弾いている。
2 曲目「Golden Dilemma」(4:53)。
激しく交錯するリズムで幕を開け、マリンバ、ヴィブラフォンによる 8 分の 5 拍子のリフで快調に走り出す。
ヴァイブの余韻、転がるようなマリンバ、小気味いいギター・カッティング、ドラムス乱れ打ち。
スピーディな展開に、つややかな音色と華麗なフレーズを惜しみなくつぎ込んでゆく。
ぐーっと緊張が高まり、最高潮で弾けると、ギターによるクチャクチャ・カッティッグのソロを経て、落ちついたテンポとともに、ボン・ロザガによるギター・ソロが始まる。
マリンバ/ヴィブラフォンは、リズミカルな伴奏。
ギターは、前曲のブルージーなプレイとは対照的に、粘っこくうねりつつも、跳躍の多いテクニカルなジャズ風のプレイである。
ギターに応える打楽器のユニゾンや、オブリガート風のドラムスのタム回しがカッコいい。
最後もリズミカルにユニゾンを決める。
堅実なビート感と奇数拍子のドライブ感を活かした、マリンバとヴァイブの独壇場ジャズロック。
デイヴ・パイク・セットやゲーリー・バートンと共通しつつも、こちらはあくまでロックであり、とろけそうな風情ながらも毒気はない。
ロウ作。
3 曲目「Sleepy」(7:18)。
ホールズワースとウェイという豪華ゲストによる華麗なソロが聴きもの。
もっとも、パーカッションとベースが、リズム・キープとリフで周囲をしっかり固めていることにも注目したい。
マリンバ/ヴィブラフォンをきっかけにしてソロを導く、というパターンで曲は進んでゆく。
まずは、ユーモラスなアクセントをもつパーカッションのリフとともに、ホールズワースのギターが自在に弾き捲り。
続いて、ウェイの現代的かつファンタジックなソロ。
猛烈な打楽器のハーモニーによるオブリガートがはさまる。
リズム/テンポは、すべてヴァイブがコントロールしているようだ。
ヴァイブのリフレインから 7 拍子に変化。
幻想的。
ハイハットの連打のせいかジャジーでもある。
執拗なリフレインがため込んだエネルギーは、ウェイのソロで破裂する。
快感と緊迫感。
ラストは、再びベースとギターのリフによるファンキーな 8 ビートで軽やかに進む。
リズム・テンポが目まぐるしく変化する大作だが、意外にもファンキーなグルーヴがあって聴きやすい。
ホールズワースのギター、ウェイのヴァイオリンによる、華やかでメロディアスなプレイとパーカッションの対比が、非常にユニークな効果をあげている。
ボエ作。
4 曲目「Soli」(7:39)(フランス語でソロを意味するようだ)。
タイトル通り、ヴィブラフォン、ギター、ベースの華麗なソロをフィーチュア。
前曲とは逆に、ホールズワースのギターがムードを作ってからキメが何度か入って、まずヴィブラフォンの登場である。
細かく動くベースとのインタープレイも決まっている。
タイトなドラミングにどんどん緊張感は高まり、スリリングなソロが展開される。
途中から我慢できなくなったかのように、ホールズワースのギターも飛び出してくる。
得意のアーミングと超絶速弾きによるギターとヴァイブの真っ向からのぶつかり合いだ。
エンディングはオープニング同様ギターのリードでしめる。
テクニカルなベースの動き、鮮やかなソロなどオーソドックスなフュージョン調の作品。
ハイ・テンションです。
ただ、やや普通過ぎるかもしれない。
ロウ作。
5 曲目「Boring」(6:26)東洋音階のマリンバとヴィブラフォンのアンサンブルからスタート。
"DISCIPLINE" CRIMSON の如き、ポリリズミックで幻惑的な演奏だ。
そして、ウェイのヴァイオリンがふくよかな音色で歌いだす。
ロマンティックかつファンタジックなイメージを高める、美しい音だ。
ヴァイオリンの旋律は、西洋と東洋を巧みにゆき交う。
中盤からは、ヴァイブはアフロなリフへと変化、ドラムス、コンガも攻めたてるようなリズムをエネルギッシュに繰り出してくる。
BRAND X 風。
ヴァイオリンの流麗な音は、鋭く躍動的なアンサンブル鮮やかに対比しつつ、刺激し合いながら演奏は続く。
官能的だ。
エキゾチックでダンサブルな佳作。
ボエ作。
この方の作曲センスはなかなかなのでは。
決して "Boring" ではないです。
エンディング・ナンバー「Three Blind Mice」(4:49)
ルンバのスタンダードと同じタイトルの作品である。
かなり速いテンポでマリンバ、ヴィブラフォン、シロフォンがリフを刻む。
ほとんど、エレピかシンセサイザー並みの活躍である。
途中の 8 分の 7 拍子も鮮やかにこなし、次々繰り出すリフのヴァリエーションも魅力的だ。
クレジットされていないが、ホールズワースのギターが、リードとハンマリング・オンとプリング・オフを駆使するバッキングでオーヴァーダビングされているようだ。
このギターと打楽器がポリリズミックに交錯する。
素朴な音のパーカッションとマリンバが、反応し合う。
終盤は、ヴィブラフォンのリードで音がややソフトになるも、目まぐるしく打楽器が絡み合う演奏が続いてゆく。
モエルラン作。
新生 GONG のトレードマークは、透明感ある音色のマリンバ/ヴィブラフォンのプレイをフィーチュアした、テクニカルなリズム・セクションである。
打楽器が生み出す躍動感あふれるビートとエキゾチックなフレーズが全体にゆきわたり、伴奏、ソロ、アンサンブルのすべてがキラキラと輝いている。
このパーカッションは、キーボードの代わりを果たし、リズムも強調できるという優れものだ。
デジタルな質感とダンサブルでダイナミックなビート感のバランスは絶妙である。
本作は、ジャズロックの新境地を開拓した傑作といえるだろう。
(VJD 5019)
| Pierre Moerlen | drums, percussion, vibraphone, vocals |
| Benoit Moerlen | percussion |
| Hansford Rowe | bass |
| Francois Causse | percussion |
| Ross Record | guitar |
| guest: | |
|---|---|
| Mike Oldfield | bass, guitar on 3 |
| Mick Taylor | guitar on 5 |
| Steve Winwood | keyboards, moog on 1,4,6,7 |
| Didier Lockwood | violin on 2,3,6,7 |
| Terry Oldfield | flute on 3 |
| Didier Malherbe | wind on 3 |
79 年発表の「Downwind」。
ARISTA からの PIERRE MOERLEN'S GONG 名義の初作品。
1 曲目のブルージーなナンバーに驚かされるが、やはり全体としては、目の眩むような打楽器をフィーチュアしたジャズロック・サウンドである。
ミニマルなリフと軽快なテーマを中心にした、マイク・オールドフィールド調の作品(本人も参加)から、AOR 調のヴォーカル・ナンバーまで曲調は多彩。
音楽の指向は、スリリングなパフォーマンスを重視するジャズロック・スタイルから、ポップでオリジナルな音へとシフトしているようだ。
マレルブのサックスやロックウッドのヴァイオリンなど、個性的なゲストの音もみごとに活かされている。
トータル性よりも、1 曲ごとのおもしろさを味わうべきだろう。
もっとも、ややナルなジャケとともにモエルラン氏のヴォーカルは....。
タイトル・ナンバーは、マイク・オールドフィールドのギターとヴァイブをフィーチュアした、ミニマルかつシンフォニックなインストゥルメンタル。
ギターとキーボードが伴奏に周り、ドラムとヴァイブがソロを見せるシーンが、いかにもこのグループらしい。
「Aeroplane」(2:39)スティーヴ・ウィンウッドのハモンド・オルガンがフィーチュアされたストレートなヴォーカル・ナンバー。
「Crosscurrents」(6:11)ドラム、ヴァイブ、マリンバのシャープなプレイに、ヴァイオリンが絡む変拍子ジャズロック・インストゥルメンタル。
ロウのベースも見事なプレイを見せる。
「Downwind」(12:30)ヴァイブ・マリンバの TUBULAR BELLS 調のリフに乗せて、サックス、ヴァイオリン、そして一音で分かるマイク・オールドフィールドのギターなどが次々フィーチュアされるインストゥルメンタル大作。
シンフォニックな広がりと躍動感のある傑作。
「Jin-Go-Lo-Ba」(3:24)パーカッション、ヴァイブがフィーチュアされたアフロ・ラテン風のエキゾチックなヴォーカル・ナンバー。
中盤のギター・ソロが新鮮。
「What You Know」(3:40)ギター、シンセサイザーが支える AOR 調ヴォーカル・ナンバー。
ヴォーカルは決してうまくはなく、リズムの切れ味が補っている。
ミック・テイラーによる、かなりヘヴィなブルーズ・ギターと、エレポップ風の軽いシンセサイザー・ビートのバランスが奇妙な味わい。
「Emotions」(4:44)冴え冴えと響くヴァイブと哀しげなヴァイオリンが美しいインストゥルメンタル。
シンセサイザーが静々と湧き上がると透き通るような幻想美が生まれる。
前曲よりは、こちらのニュー・エイジ調の方が自然に思えるのだが。
「Xtasea」(6:39)前半はメランコリックなヴァイブのリフとメロトロン風シンセサイザー、ヴァイオリン、フレットレス・ベースなどによる低く沈み込むような演奏。
ヴァイオリンのメロディが物悲しい。
中盤以降ギター、ドラムも加わり、ギターのリードで、ミドル・テンポながらもスリリングな演奏へと変化してゆく。
インストゥルメンタル。
(251 138)
| Pierre Moerlen | drums, percussion, vibraphone, synthesizer |
| Peter Lemer | keyboards |
| Hansford Rowe | bass |
| Bon Lozaga | guitar |
| guest: | |
|---|---|
| Allan Holdsworth | guitar on 9 |
| Darryl Way | violin |
| Joe Kirby | contrabass |
| Nico Ramsden | guitar |
79 年発表の「Time Is The Key」。
ARISTA 二作目。
ライヴを苦手としたレコード氏に代わり、ギターは再びボン・ロザガが担当する。
サウンドは、打楽器をフィーチュアするスタイルへの回帰とも思える、パーカッシヴなニュー・エイジ調ジャズロック。
マイク・オールドフィールドの影響と思われる反復と、メロディ・ラインを活かしたキュートさのある作品だ。
ゲストは多彩だが、あくまでアクセントであり、モエルラン兄弟とキーボードの演奏が中心となっている。
ヴァイブ、マリンバ、ドラムによる弾けるような躍動感と透明感のあるシンセサイザーによる音の広がりが、うまくバランスしており、全体にリラックスしたおだやかな聴き心地がある。
メインストリーム寄りのフュージョン・タッチは強まるも、精緻なプレイから生まれるユーモアと暖かみ、そしてモダンな音色がつまった傑作といえるだろう。
小曲をつなげたオール・インストゥルメンタル。
キーボードはカンタベリーの名手ピーター・レマー。
「Ard Na Greine」(6:11)
「Earthrise」(2:25)
「Supermarket」(3:37)
「Faerie Steps」(5:34)
「An American In England」(2:57)
「The Organ Grinder」(3:57)
「Sugar Street」(2:22)
「The Bender」(3:20)
「Arabesque Intro & Arabesque」(5:19)
「Esnuria Two」(5:35)
「Time Is The Key」(2:22)
(251 183)
| Pierre Moerlen | drums, synthesizer |
| Hansford Rowe | bass |
| Ake Zieden | guitars |
| Benoit Moerlen | vibraphone, synthesizer, marimba |
| Stefan Traub | vibraphone, synthesizer |
| Frank Fischer | synthesizer, piano |
| guest: | |
|---|---|
| Alex Sanguinetti | drums |
| Simon Pomara | percussion |
88 年発表の「Second Wind」。グループとしてのスタジオ盤最終作。
内容は、打楽器をフィーチュアした、ニューエイジ風味のあるフュージョン。
変拍子も交えたチャレンジングなアンサンブルをあくまで穏やかに聴かせる、インテリジェントな作風は堅持されている。
どの作品もメロディアスなテーマが貫くのだが、打楽器による音の粒立ちと精緻な音の結びつきがあるため、
いわゆる世間の「フュージョン」と比べると、リスニングに心地よい緊張感がある。
前作と同じく TRIBUTE からの流れでエイク・ツィデン氏がギターを担当している。
最終曲 30 分あまりの「ドラム・デュオ」にてパーカッション主体のグループとして、音楽的な意地を見せる。
LP 二枚組。
(LICD 9.00698 O)