アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「FROGG CAFE」。 フランク・ザッパのカヴァー・バンドとして結成。作品は五枚。最新盤はライヴ。 けったいなグループ名はメンバーのフェイバリット、ダウランドの佳曲「蛙のガリアルド」から取ったそうですが、冗談だと思います。
| Bill Ayasse | electric & acoustic violin, vocals, mandolin, percussion |
| Steve Uh | electric & acoustic guitar, keyboards, violin |
| Nick Lieto | lead vocals, keyboards, piano, trumpet, flugelhorn |
| Andrew Sussman | bass, cello, vocals, marinated ice |
| James Guarnieri | drums, percussion |
2005 年発表の第四作「Fortunate Observer Of Time」。
内容は、ヴァイオリンをフィーチュアし、フランク・ザッパ風味があちこちに散りばめられたメロディアスな歌ものジャズロック。
ギタリストが交代したようだ。
管弦楽器の充実度合いや全員マルチ・インストゥルメンタリストであるところなどほとんど往年の GENTLE GIANT だが、こちらは込み入った近現代音楽風のアンサンブルの芯に明快な音色とメロディ・ラインを盛り込んで圧倒的に解きほぐしやすくしているところが異なる。
また、間口として明快なモダン・ジャズに近接したスタイルのアドリヴもしっかり取り入れて、アクセスしやすさをアピールしている。
つまり「聴きやすさ」を十二分に考慮しているのだ。
いや順序が逆だった。まず何より、トランペットとヴァイオリン、ギターらによるアンサンブルに知的で上品で暖かい魅力があるのだ。
変拍子を変拍子と思わせず、厳格な構成を厳(いかめ)しく感じさせない。
リード楽器またはヴォーカルのたどる旋律がそのままナビゲータとなり、精緻に組み上げられた音楽を鳥瞰することができるのだ。
俊敏に切り返すオブリガートがどうしてもザッパ風になってしまうところもおもしろい
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| Nick Lieto | vocals, keyboards, trumpet |
| Bill Ayasse | violin, vocals |
| Andrew Sussman | bass, guitar, vocals |
| Frank Camiola | guitars, bass |
| James Guarnieri | drums |
2001 年発表の第一作「Froggcafe」。
内容は、カントリー・フィドル調のヴァイオリンをフィーチュアした若干現代音楽ノリのあるジャズロック。
まろやかな音色と 70 年代の初期フュージョンを思わせる演奏が特徴である。
変拍子のリフや圧迫感のあるユニゾンもあるのだが、メイン・テーマが比較的カラっと穏かなのと音色が明朗なため、シリアスな感じはない。
ただ、アンサンブルのまとまりはよく、凝ったスコアもスペイシーな即興もきっちりと決めてくる。
力の抜けたヴォーカルは誰かに似ているが、思い出せない。
歌だけ聴いていると北米中央の田舎のガレージでがんばるオルテナティヴ・ロック・バンドのような感じだが、ヴァイオリンを中心とした演奏がおっと思うほどアカデミックで、不思議なミスマッチの魅力がある。
こういう作品でモダン・ジャズ調の本格的なトランペットが高鳴るところも珍しいように思う。
CD は 2004 年にリマスターされている模様。
ジャケットには本当に蛙(Frog)のバンドが描かれている。
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| Nick Lieto | vocals, keyboards, mellotron, organ, piano, trumpet, percussion, hot water |
| Frank Camiola | guitars, 12 string acoustic, classical guitar, tenor banjo, string bass, keyboards, percussion |
| Bill Ayasse | electric & acoustic violin, viola, mandolin, octave mandolin, background vocals, percussion |
| Andrew Sussman | bass |
| James Guarnieri | drums, percussion |
2003 年発表の第三作「Creatures」。
内容は、小気味いいギター、マリンバ、室内楽風アンサンブル、アメリカン・ロックらしいライトでアーシーなハーモニーが特徴のコンプレクシャスなジャズロック。
かなり込み入った演奏なのだが、サウンドは明朗で爽やか、ヌケがよく、ヴォーカルもしなやかだ。
ギターが唸りを上げるとハードロックっぽくもなるし、ハードなまま細やかさが出ると往年のプログレに非常に近いイメージになる。
メロトロンがゴーっと鳴り響く最終曲の大作なんて、GENESIS、YES ばりのシンフォニックな盛り上がりがある。
まずは、こういったところが特徴的だ。
MAHAVISHNU ORCHESTRA ほどではないがヴァイオリンがフロントに踊り出て、流麗かつスリリングに演奏を引き締めることもあれば、トランペットが派手にぶちかますところもある。
また、こういった演奏力に任せた楽曲のみならず、ロック黎明期を思わせる大胆な音響実験や、クラシカルなチェンバー・ミュージックの要素もある。
つまり、往年のイタリアン・ロックを思わせるプログレッシヴ・ロックの精神が息づいている。
とにかく、音情報が豊かであり、多彩なのだ。
主要メンバーは驚くばかりのマルチ楽器奏者であり、ギター一本くらいなら眠っていても弾けてしまう、といった輩に違いなく、そのスキルを惜しみなく楽曲、演奏に突っ込んでいる。
その上で、プログレ好きという趣味も全開なのだ。
また、こういうテイストでメロトロンを多用するところもユニークである。
もちろん、転がるようなマリンバとギター、ハーモニーによるシャープな変拍子ユニゾンと性急に折れ曲がるアンサンブルは、70 年代中盤くらいのフランク・ザッパのグループそのもの。
複雑な展開とアヴァンギャルドな感性を、多彩な音色とメロディアスなテーマ、ハーモニーでセンスよくアクセスしやすくした佳作である。
音楽に対するアカデミックで高潔な姿勢は間違いのないところだが、このジャケットのセンスからして、ぜひ FRENCH TV のような下世話オルタナティヴな精神をもがっちり引き継いでほしい。
1 曲目「All This Time」は、明快なテーマとほの暗い響きが英国的、たとえば VdGG に迫るような傑作。必殺メロトロンが唸ります。
2 曲目「Creatures」は、一転して 70 年代中後半辺りのフランク・ザッパ流フュージョン。マリンバが大活躍する。軽快だが人を食ったようなところがあり、カッコいい。爽やかなのに空ろに響くハーモニーのイメージから、ECHOLYN を思い切りジャジーにした感じも。
ヴォーカルのアメリカらしいソウルっぽさも個人的には懐かしいです。
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