イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「ERIS PLUVIA」。 85 年結成。作品は二枚。現在は活動停止中。管楽器奏者は FINISTERRE にも参加。 2010 年、まさかの新作「Third Eye Light」発表。
| Alessandro Cavatorti | guitars |
| Marco Forella | bass |
| Matteo Noli | vocals, guitars |
| Paolo Raciti | piano, keyboards |
| Daviano Rotella | drums |
| guest: | |
|---|---|
| Roberta Piras | flute on 1,2,4,6,8, vocals on 1 |
| Diana Dallera | vocals on 1,6 |
| Max Martorana | classical guitar on 1,9 |
2010 年発表のアルバム「Third Eye Light」。
内容は、きわめて洗練された現代的なメロディアス・ロック。
どちらかといえば英国ロックやポーランドのシンフォニック・ロック勢にダイレクトにつながるへヴィネスと湿気がある。
主役はよく歌いむせび泣くギターとフルート。
ギターは、今風のトリッキーなプレイから KERRS PINK ばりの柔らかなハーモニーまで楽器の魅力を十分に引き出して、よく歌っている。
スイープも抜群なのに昔のハードロックのようなリフもためらいなくぶちかますところがいい。
また、フルートは叙情面の演出を一手に引き受けている。
びっくりするほどドライヴ感たっぷりにかっ飛ばすところは HR/HM 向け、というよりはこれが現代ロックのスタイルなのだろう。
もちろん、そういったロックらしさを意外なまでにさまざまな音が取り巻くのがプログレの醍醐味であり、本作品でもサイケデリックでけたたましいロックと可憐なフルートがさえずり、弦楽やピアノが切々と音を紡いでゆく本格的なクラシック・アンサンブルがみごとに調和して一つの風景に描かれている。
音の振れ幅の大きさはかなりのものであり、音の絵巻物としてのスケールは大きい。
フェード・アウトが多いのが気になるが、聴き応えという点では文句はない。
ベテランなので当然なのかもしれないが、90 年代、雨後の筍のように現れたポスト・ポンプのグループらと比べると、演奏、サウンドともに一つも二つも格上である。
もはや前作での匂い立つような美感すらも、本作品においては魅力の一面に過ぎなくなっている。
ヴォーカルは英語。一部でコケットな女性ヴォーカルもフィーチュア。
(AMS 185 CD)
| Alessandro Serri | voice, guitars, flute |
| Paolo Raciti | piano, keyboards |
| Edmondo Romano | recorder flute, saxophone, backing vocals |
| Marco Forella | bass, acoustic guitar |
| Martino Murtas | drums, percussion |
| guest: | |
|---|---|
| Valeria Caucino | vocals on 1-c |
| Enrico Paparella | acoustic guitar on 3 |
| Alessandro Cavatorti | acoustic guitar on 4 |
| Sabrina Quarelli | violin on 4, 7 |
91 年発表のアルバム「Rings Of Earthly Light」。
内容は、リコーダー、サックスをフィーチュアした、爽やかで健やかなるシンフォニック・ロック。
リコーダーやヴォーカルのトラッド風の旋律にうっすらとした哀感が漂うものの、悲劇に高まる前に、あたかも雲間から光がさすように現世の救済が訪れてほっと安堵の息をつける、そんなイメージの音である。
一方、サックスとギターは、しなやかさと現世的なたくましさを表現している。
したがって、サウンドは、心地よい清涼感と匂いたつような気品、健康的な明るさにあふれている。
清涼感は主としてフュージョン・タッチの和声と音色により、気品はリコーダーの喚起する中世音楽のイメージからくるのだろう。
控えめでアトモスフェリックなキーボードやアコースティック・ギター、ノーブルなヴォーカルなど、ニューエイジ風の淡い色調なところが多いのだが、サックスが弾みをつけるのに加えて、エレキギターやリズム・セクションがしっかり音を出してロックの逞しさをアピールしている。
したがって、決して癒し一辺倒ではない。
ドラムスなどかなりサービス精神旺盛というべきだ。
全体に、ネオ・プログレ的なファンタジー路線にはさほど傾斜しておらず、溌剌とした涼やかな官能をもつ音である。
変拍子による独特の軋み/跳躍感やデリケートな翳りのあるアコースティック・アンサンブルには GENESIS の姿が、そして、メル・コリンズ風のサックスとギターがリードするジャジーな演奏には CAMEL の姿が思い浮かぶ。
結論として、バロック調とニューエイジ風の清涼感、ジャジーなグルーヴが一体となった、淡い色調ながらも個性的な作風といえる。
ギターは、オールド・ファン向きの何気ないプレイをしているが、JADIS のゲイリー・チャンドラーと同じく、豊かな表現力を持つ技巧派である。
そして、リコーダーのたおやかなさえずり。
この音色と表情にも魅せられる佳品だ。
反面、音色ほどには、印象的なメロディがないのが唯一の弱点。
ヴォーカルは英語。
「Rings Of Earthly Light」(17:12)五部からなる組曲。リコーダーの CAMEL という感じ。第三部の女性ヴォーカルが印象的。最後までよどみなく流れる佳品である。
「In The Rising Mist」(4:26)ドラムレスの夢見るような SSW タッチの佳作。
さんざめくアコースティック・ギターは GENESIS 的といえなくもないが、素朴なリコーダーの響きのせいか、よりフォーク調に感じられる。
「The Broken Path」(1:32)変拍子のリフがドライヴするハードなアンサンブル。
「Rain Dances」CAMEL のイメージだが、クライマックスだけ取り出したようにすぐ終わってしまう。
「Glares Of Mind」(3:56)フルート、控えめなアコースティック・ギター、フレットレス・ベースらによる哀愁のアンサンブル。リコーダーの調べに酔う。
名曲です。
「Pushing Together」(4:40)GENESIS にジャジーな和声を加えたようなメロディアス・チューン。AOR っぽさもあるが、悪くない。
「You'll Become Rain」(2:14)
「The Way Home」(9:17)最も躍動感のある、ロックらしさを強調した作品。もちろん、ワールド・ミュージック調などのしかけはある。
GENESIS と CAMEL が交互に現れる。
(FGBG 4048AR)
| Alessandro Serri | voice, guitars, flute |
| Edmondo Romano | recorder flute, saxophone, backing vocals |
95 年発表のアルバム「The Ancient Veil」。
グループは活動停止、それに先立って脱退していたギタリスト兼ヴォーカリストと管楽器奏者がユニット(どちらかというとグループそのものではなく分派プロジェクトという位置づけになるようだ)を組み、本作品を発表した。
ベース、キーボード、ドラムスらは、全てゲスト奏者である。
音楽は、優しげなリコーダーの響きと女性的なヴォーカルを活かした、元気めのニューエイジ調が基本であり、前作の路線継承、発展系である。
その表現は、古楽やクラシック風のアンサンブル、フォーク・ソング、軽快なフュージョン調まで、なかなか多彩だ。
バンド演奏がエレキギターが趣味的なプレイに走り気味でリズムもやや平板なのに比べ、管弦楽を仕込んだアコースティックな演奏の水準は高い。
ヴォーカルとの相性もこちらのほうが若干いいようだ。
歌ものやアコースティックな演奏パートは、70 年代の英国フォーク・ロック、トラッド・リヴァイヴァルを思わせるところも多い。
FOREST や MAGNA CARTA、INCREDIBLE STRING BAND さらには GRYPHON まで思いは及ぶ。
また、前作と同じくサウンドや演奏スタイルはモダンなネオプログレ調なのだが、メロディアスというよりはリズミカルで素朴な味わいが勝るところがユニークだ。
4 曲目は、英国フォークを継承した味わいある力作。
5 曲目は、ゲストによる超絶的なアコースティック・ギターのプレイをフィーチュア。
メインストリーム・フュージョンに古楽風のリコーダーが交差するおもしろい作品である。
10 曲目は、ノーブルなヴォイスがようやく正しい居場所を見つけた優美な作品。
オーボエも美しい。
ヴォーカルは英語。
(MMP 280)