ECHOLYN

  アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「ECHOLYN」。 89 年結成、91 年アルバム・デビュー。
  アメリカン・ポップ・ミュージックをプログレ風味の優れたテクニックでまとめあげた、パーカッシヴで元気いっぱい、「カッコいい」プログレです。2008 年新作予定。

 The End Is Beautiful

 
Christopher Buzby keyboards, vocals
Brett Kull guitar, vocals
Paul Ramsey drums, percussion
Raymond Weston vocals, guitar
Tom Hyatt bass
guest:
Mark Gallagher alto sax, baritone sax
Eric Apelt trumpet
Phil Kaufman trombone

  2005 年発表の作品「The End Is Beautiful」。 余裕シャクシャクでラフにかっ飛ばす、カッコよさのカタマリのような傑作。 キレのいい変拍子リフと管楽器もたっぷりフィーチュアした内容は、ジャジーでルーラルでヘヴィで超コンテンポラリー、そして、もちろんプログレな ECHOLYN 節。 いってみれば「Cowboy」と「Mei」の中間くらいの感じ。 ストリートっぽく苛立つような表現を強調しているが、独特のおセンチ・テイストも健在である。 ただし、全体に容赦がないというか、凶暴で緊迫したハイ・テンションの表現が主であり、抜くところでも安易なノリを許さない。 厳しいイメージである。 まず耳を惹くのは、トリッキーなリズムとダイナミックなソロで迫る痛快なる 1 曲目、ワイルドにしてクールな 2 曲目、 バラードの傑作である 3 曲目。ポスト・ロック風のイコライジング、怒れる歌唱、モダン・ジャズへの憧憬のような管楽器、きらめくような転調、ノスタルジーが希望へと力強く昇華する。 タイトル曲は、ストラヴィンスキー風(というかそのもの)のテーマと 7 拍子のせいかもしれないが、不良の YES のような感じ。
  同時代の音を含めて、さまざまな音を自由自在に取り込んで、メッセージを突きつけるばかりか、エンターテインメントとしても内容を整える。 第一線のミュージシャンでも、なかなかできることではないと思うが、本作では、それが大筋でできている。 ただし、突き抜けるような表現(たとえば、多用しているブラスを鮮やかに際立たせるようなアレンジ)よりも、鋭い一体感をもちながらもグネグネとした表現が主なため、地味な印象もある。 往年の GENTLE GIANT と共通しながらも、アブストラクト過ぎるところや大胆奇抜なポップ志向がないといってもいい。 これを、哲学的、感傷的、叙情的といってしまうとあまりに雑な気がする。 「Cowboy」のような、カーンと勢いよく悩みなく飛び出すスタイルもとても似合うだけに、あんまり深刻にならないでほしい。 もっとも、四の五のいっても、1 曲目冒頭のドラムスが耳に飛び込んできた瞬間に、一気に沸騰してしまうんですけどね。 傑作です。

  「Georgia Pine
  「Heavy Blues Miles
  「Lovesick Morning
  「Make Me Sway
  「The End Is Beautiful
  「So Ready
  「Arc Of Descent
  「Misery, Not Memory

(VR 2010)

 A Little Nonsense

 
 

  2003 年発表の編集盤「A Little Nonsense」。 初期作品、および未発表テイクを集めたコンピレーション。 特に、第一作「Echolyn」、第三作(ミニ・アルバム)「And Every Blossom...」、第五作「When The Sweet Turns Sour」が全曲収録されているのがうれしい。 CD 三枚組。

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 Echolyn

 
Christopher Buzby keyboards, backing vocals
Thomas Hyatt bass
Brett Kull guitar, lead & backing vocals, bass on 3
Paul Ramsey drums, percussion, backing vocals
Raymond Weston lead & backing vocals, bass on 11
guest:
Brian Buzby alto sax on 10
Jesse Reyes bass on 4,5,8,9,10
Katherine Shenk violin on 1,11
Kimberly Shenk cello on 1,11

  91 年発表の第一作「Echolyn」。 デリケートなメロディ・ラインと叙情的な曲調、そして過剰なまでに劇的な構成が英国プログレを思わせる傑作。 オープニング、ハリウッド映画のモノローグから始まる凝った序章からバンドの演奏への展開は、新人のデビュー作とは思えぬ円熟した完成度を象徴する。 伸びやかなヴォーカル、多彩なキーボード、感傷的なまでに切なく歌うギターらによる演奏は、まずきわめて若々しくしなやか、そして緻密である。 アンサンブルを丹念に編み上げて、なおかつ清冽なエモーションを歌い上げられる、稀有のセンスに恵まれているのだ。 特徴は、変拍子を多用したギターとキーボードの緊密なやりとり、そしてマドリガル調の多声のコーラス。 巷でささやかれる通り、90 年代に甦ったアメリカ版 GENTLE GIANT という見方もありでしょう。 ただし、全編を貫くみずみずしさはこのグループ独自のものだ。 そして、メランコリックなナンバーでの抑揚が巧みなのに加えて、4 曲目「Carpe Diem」のような快速ナンバーでの切れとノリもすばらしい。 3 曲目のような叙情的な描写には YES に通じる独自の豊かな宇宙観が感じられる。 ブレット・カルのギターの表現力は、スティーヴ・ハウやフランコ・ムッシーダといい勝負です。 そして、SSW(個人的には DonovanDon Mclean を思い出す)的な弾き語りにも魅力あり。 5 曲目では、その弾き語り調の叙情性につむじ風のような変拍子アンサンブルを無造作につなげて、溌剌としたエネルギーを発散する。 全体に、清々しさ、幼子の瞳のような純粋さといったイメージのある作品です。 もしアメリカに生まれて少年時代を送っていたらどんなだったのだろう、そんな気持ちにさせられます。 IQ の「Ever」とともに 90 年代のプログレッシヴ・ロック復興を牽引することになる佳作です。

  「Fountainhead」(2:57)
  「The Great Man」(8:31)
  「On Any Given Night」(5:02)
  「Carpe Diem」(5:08)快調にすっ飛ばす ECHOLYN 節。
  「Shades」(11:08)
  「Clumps Of Dirt」(4:24)P.F.M か?
  「Peace In Time」(6:41)
  「Meaning And The Moment」(7:21)
  「Breath Of Fresh Air」(3:39)
  「Until It Rains」(5:18)
  「The Velveteen Rabbit」(7:31)

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 Suffocating The Bloom

 
Christopher Buzby keyboards, backing vocals
Tom Hyatt bass, MIDI pedals
Brett Kull guitar, lead & backing vocals
Paul Ramsey drums, percussion
Raymond Weston lead vocals

  92 年発表の第二作「Suffocating The Bloom」 は、後半に 30 分近い大作を持つ、「成長=幼年期の喪失」をテーマにしたコンセプト・アルバム。 サウンドは、爽やかで健康的、なおかつ能天気なまでにハイテクのアメリカン・ロックの中核に英国プログレなどさまざまな音楽を叩き込んで、感性を熟成したヴィンテージもの。 クラシックやジャズ・フュージョン、メインストリーム・ロックなどの要素を垣間見せながらも、中核にはダイナミックで若々しい「ロック」が拳を突き上げる、痛快なサウンドだ。 そして何より圧倒的なのは、明確で輪郭のはっきりした演奏である。 ドラムを中心にしたスピーディにしてパーカッシヴなアンサンブル、キーボードとギターのクリアなフレージングと巧みな呼応/インタープレイ、生命力あふれるヴォーカル、どこを取っても超一流なのだ。 懐かしめの音を巧みにアクセントに使うところもにくい。 そして技巧の連発の中に、いかにもアメリカンなメロディと雰囲気を活かしてストレートに軽やかに訴えかけてくる感覚が、プログレッシヴ・ロックにとって新しい。 管弦楽や SE がストーリーをドラマチックに彩ってみごとな流れを見せる一方で、あえてそういう完璧さを軽やかに蹴っ飛ばすような逞しき一発録りセッション感覚もある。歌詞に込められたピュアな視線にもわくわくさせられる。 さらに、いわゆるアメリカン・ロックの能天気さとは一線を画す、いわば英国ロック本流というべき、デリケートで翳のある音とオセンチなメロディもあるからすごい。 8 曲目などはブリティッシュ・フォーク・グループの作品に通じるペーソスとロマンがある。 卓越した情報処理能力とジャンクフードで育った雑食性こそが、新世紀のロックを語るキーワードなのかもしれないが、歌の向こうに優しく真っ直ぐな気持ちが見えなくては何にもならんのだ、と改めて思わせる大傑作。 音を一言で語るならば「清潔感」。 リード・ヴォーカルとハーモニーがかなりいいです。 「Winterthru」は少年の日のクリスマスを思い出させる佳曲。 2000 年にリマスター CD が発表された。

  1曲目「21」(5:48) パーカッシヴなノリのよさと華やかさに青いメランコリックが浮かび上がる佳曲。

  2曲目「Winterthru」(3:45) 流れるような演奏に切ない気持ちが込められたクリスマス・ソング。 子供の声の SE が、はや郷愁を呼び覚ます。

  3曲目「Memoirs From Between」(8:01)

  4曲目「Reaping The Harvest」(1:41) 弦楽奏によるブリッジ。

  5曲目「In Every Garden」(4:39)ヴォーカル・ハーモニー、オルガン/ギターらによる凝ったユニゾン・ライン、陰陽の巧みな反転など新時代の GENTLE GIANT たる前半から、YESGENESIS による叙情的な場面へと進むプログレ作品。 アコースティック・ギターが美しい。歌詞に「Soffucating the bloom」というキーワードが現れる。

  6曲目「A Little Nonsense」(3:37) ファンキーにしてジャジーな「リズム」・ロック。 STEELY DAN と ブライアン・ウィルソンと GENTLE GIANT の合体。 超絶的なリズム・セクションに注目。 たった 3 分半にもかかわらずエネルギッシュにめまぐるしく変転し、倍くらいの長さに感じられる。

  7曲目「The Sentimental Chain」(1:40) フルート、ヴァイオリンとアコースティック・ギターによるロマンティックでクラシカルなアンサンブル小品。

  8曲目「One Voice」(5:20) 英国フォークを思わせるデリケートな作品。 前曲をイントロに、弦楽とアコースティック・ギター、フルートがセンチメンタルなヴォーカルを取り巻く。 後半シンセサイザーとギターのコンビネーションで朗々と歌い上げシンフォニックな広がりも生まれてくる。 バンドによるクラシカルなアンサンブルの妙を味わえる。

  9曲目「Here I Am」(5:21) 再び活きのいい快速チューン。 ヒネったヴォーカルとアコースティック・ギターのストローク、手数を惜しまぬドラミング、多彩なシンセサイザー、キレのあるギター・リフなど、バンド全体が高速で急旋回を繰り返しつつもどこまでもグルーヴィ。 サックスをフィーチュア。

  10曲目「Cactapus」(2:53) ややフュージョン・タッチのインストゥルメンタル。 ギターをフィーチュア。

  11曲目「A Suite For The Everyman」(28:13)11 パートから成る大作。


  内容は、アメリカン・ロックと 70 年代プログレの奇跡的な邂逅というべきモダン・ロック。 ルーツ音楽というよりは、現代アメリカの日常を取り巻くさまざまな音を、何もかも取り入れたようなサウンドだ。 ジャズ、ブルーズ、ゴスペル、フォーク、カントリーそしてポップスとあらゆるものを飲み込んだアメリカン・ロックだが、ことプログレッシヴ・ロックに関しては、アメリカ的なものを活かすよりも、ヨーロッパ的な感覚を取り入れてきたグループが多い。 しかしこのグループは、元来貪欲さをもつアメリカン・ロックを全てすくいあげることによって前衛的なサウンドを獲得した成功例なのだろう。 SPOCK'S BEARD もほぼ同様なアプローチのように思えるが、こちらが一歩先を行っていた。 (余談だが SPOCK'STHE BEATLES に端を発する英国ロックへの意識の強さが目立つ) その結果驚くことに、REMPHISH といったオルタナティヴ・ミュージックに通じる雰囲気すら獲得しているのだ。 このサウンドならば、プログレ・ファンに限らずもっと広い層にも訴えるのではないだろうか。
  複雑な展開をごくナチュラルな流れにのせて聴かせるうまさは、たしかに GENTLE GIANTYES などのテクニカルなプログレ・グループを思わせる。 しかし乾いた眩い音の質感は、これらのグループにはなかったものだ。 このサウンドは、特定のグループのあからさまな影響というレベルをはるかに越えて進んだオリジナルなものというべきだろう。 とにかく抜群のリズム感と、一瞬に賭けるハイ・テンションのアンサンブルの鋭さにはすばらしいものがある。 それでいて豊かな歌心と活き活きとした生命力も感じさせるのだ。 耳をそばだてつついっしょに頭を働かせても、体を動かしても楽しめるという意味で稀有の音楽である。

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 As The World

   
Christopher Buzby keyboards, backing vocals
Tom Hyatt bass, MIDI pedals
Brett Kull guitar, lead & backing vocals
Paul Ramsey drums, percussion
Raymond Weston lead vocals

  95 年発表の「As The World」。 アコースティック・アルバムをはさみ、大手レーベルからの第四作。 優美な弦楽の調べで幕を開ける本作、プロデュースのおかげか、二作目よりも 70 年代プログレ+アメリカン・ロックという姿が分かりやすい形で示された内容になっている。 特にメロディアスな場面において、メイン・ストリームのビッグネームと遜色ない垢抜け方を見せている。 情感たっぷりに歌い上げても気品と清潔感があるところがいい。 さすが、メジャー進出しただけはある。 もちろんロックという音楽形態の最先端をゆくような、ダイナミックでスリム、なおかつ緊密なアンサンブルも健在。 あれよあれよという間にとてつもないプレイが積み重なって一つになるかと思えば、クライマックスでは鮮やかなコーラスへとまとまるなど、演奏はつむじ風のように小気味よく吹き抜ける。 意外な転調とリズム・チェンジ、怒涛の攻めとロマンティック過ぎる引きの切りかえは、あまりにみごと。 プログレッシヴ・ロックの醍醐味をたっぷりと伝えてくれる。 ただし、全体としてはデリケートなリリシズムを明快に強調した作りとなっている。 上にも書いたように、この分かりやすさが賛否を分ける鍵のような気がする。
   モダン・クラシック、ジャズを鮮やかにこなすアコースティック・ピアノと流麗なシンセサイザー、饒舌にして引きも心得たギターが、演奏をリードする。 そして、器楽全体のしなやかな動きを支えるのはラムゼイのドラミング。 このリズム隊は巧者揃いのプログレ界隈でも相当な実力といえるだろう。 ヴォーカルも、あっけらかんと逞しい表情にしっかりとウェットな情感を埋め込んでおり、若々しくも真剣なまなざしが感じられる。 清潔感の源泉はこのヴォーカル・ハーモニーにあるといってもいいだろう。 もちろん、GENTLE GIANT ばりのマドリガルも健在だ。
   アコースティック、エレクトリック、バラード、シンフォニック・ロック、ジャズと何もかもフィルタリングして抽出した独特のロックが、アルバムの隅々にまでゆき渡っており、聴き流していた耳が気がつけば釘付けである。 さて、一つ気づくのは今回の曲のタイトルが、前作の思弁的なものと比べるとあまりに即物的であること。 これは何を意味するのだろうか。 また、本作でも後半に巨大な組曲が用意されている。
   リリカルなプレイと跳ね回るようなプレイが交差しながら迎える終盤は、かなり感動的だ。 高い運動性を誇る挑戦的な楽曲が並ぶなかで、時おり現れるストリングスやピアノの響きが郷愁の泉のようにナイーヴな姿を浮かび上がらせる。 乾いた大地に力強く根差すアメリカン・ニュー・プログレッシヴ・ロックの傑作。 プロデュースはグレン・ローゼンシュタインとグループ。 唯一気になるとすれば、切なく爽やかなハーモニーとなめらかな運動性に頼りきりなため、楽曲がワンパターンに聴こえてしまう点。 右側のジャケット写真は、バンドのレーベルから出ている DVD 付バージョン。

  「All Ways The Same」(0:36)芳しき弦の調べ。

  「As The World」(4:52)トリッキーにして爽やかな快速チューン。変拍子での急旋回、雅なマドリガル、そして、小気味よくパンチの効いたプレイを連発。

  「Uncle」(6:54)小気味いいビート感はそのままに(変拍子リフもカッコいい)、内省的、神秘的な表情をも加味した佳作。 ドラマ性に富み、大作の趣も。 音を惜しまないドラムスがみごと。このドラムスあっての ECHOLYN である。エンディングは YES のよう。

  「How Long I Have Waited」(4:44)弾けるようなリズムとジャジーなポップ・タッチが結びついたクールな作品。さりげなく多彩なキーボード。ワンコードの無表情なギターのコード・カッティングが活きる。

  「Best Regards」(4:11)ポリフォニックなピアノが印象的。

  「The Cheese Stands Alone」(4:48)へヴィなギターとあまりに多彩なキーボードの目まぐるしいやり取り。 「ハードロックっぽいけどすごく変わっている」といわれそうな個性的な作品。昔のプログレの密度と速度をアップしたような内容。

  「Letters」リリカルなピアノで幕を開ける組曲。弦楽も美しい。基本は抒情風味。
  「Prose」(1:46)
  「A Short Esssay」(4:35)名曲。
  「My Dear Wormwood」(3:35)
  「Entry 11/19/93」(5:34)
  「One For The Show」(4:31)

  「The Wiblet」(0:47)組曲の余韻を断ち切るトリッキーなアンサンブルによるブリッジ。
  「Audio Verite」(4:28)前曲を前奏に、尖がった序奏を見せるも、ヴォーカルが入ると独特の暖かみが。
  「Settled Land」(5:42)メロディアスでオーセンティックなポップ・テイスト(STEELY DAN10CC は絶対ある)を基調に、突如キレたようなテクニカル・アンサンブルが切り込む。
  「A Habit Worth Forming」(4:30)
  「Never The Same」(7:59)本作の魅力を押し込めた終曲。リコーダーがうれしい。

(EPIC SONY ECSA 6175)

 Cowboy Poems Free

 
Brett Kull electric & acoustic guitar, lap steel, 12 string, indian banjo
 tremolo "wah" guitar, ebo, mandolin, jaymar, lead & backing vocals
Christopher Buzby Hammond organ, Rhodes, Wurlitzer, synth, table organ, talk box, clavinet, soprano & alto sax
 auto harp, cajon, harpsichord, accordion, tenor & soprano recorder, hammered dulcimer
melodion, ocarina, "wow" earth bell, backing vox
Jordan Perlson conga, cowbell, rainstick, drums, saw blade, snow disc, shaker, tanbourine, riq
 sleigh bells, tabla, timbale, snare, ashiko, brushes
Paul Ramsey drums, bell tree, claves, congas, crash cymbal, quinto, shaker, timbale
 watering pail, drum loop, sleigh bells, vibraslap, tambourine, wind chimes, guiro, tabla
Ray Weston bass, lead & backing vocals, spoken words

  2000 年発表の「Cowboy Poems Free」。 遂に再結成、自主制作に戻って発表された新作。 丹念に研ぎ澄まされた音を、パーカッションを活かして、スムースに無造作に心地よくカッ飛ばす、痛快なロック・アルバムである。 がっしりした骨格のサウンドは、アメリカン・ロックらしいライトなカッコよさと乾いたリリシズムにあふれるばかりか、STEELY DAN 風の精密なアレンジとジャジーなグルーヴをも矛盾なく備える。 そして、キーボードを中心としたプログレらしい音や懐かしめの表現も、無邪気なくらいにあちこちに散りばめてある。 さらに、そういう音がまったく古臭くなく、現実の質量と固さをもって突き当たってくるのだから、これはもう興奮せざるを得ない。 ヴォーカル・メロディは、少年の瞳のようにキラキラと輝き、あくまでキャッチー、そして独特のフックをもっている。 この「ひっかかり感」がひねくれもののロック・ファンには絶対訴えると思う。
  パーカッションを効かせた、ときにエキゾティックですらあるアレンジとノスタルジックなイメージを喚起する音を巧みに使った、新しいミクスチャー・プログレである。 Brian WilsonArthur Lyman か、クールなタッチも心地よい。 改めて、「アメリカン・ロックなのにプログレ」という境地をみごとに拓いたグループだと感じる。
   「Cowboy Poem」が文字通りの意味ならば、曲間を補う小品の存在からして、おそらく本作は一種のトータル・アルバムなのだろう。 ジャケット通りの「んなモン売れねえよ」的自嘲気味のユーモアにも、余裕が感じられていい。 基本的に、ロックとメジャーに大した関係はない。 我々にいえるのは「Welcome back, Echolyn...」の一言である。
  個人的には 2000 年のベスト・アルバム。 全体のノリで聴くべき内容だが、特にあげるならば「High As Pride」。 THE BEATLES すら思い浮かべてしまう音である。
  ECHOLYN のガツーンとくるロックっぽいカッコよさを感じたい向きには、本作が一番のお薦め。

  「Texas Dust」(5:16) 鋭く弾けながらも、郊外へピクニックに出たドナルド・フェイゲンみたいなリリシズムをたたえる名作。 パーカッションが冴え渡る。

  「Poem #1」(1:33)

  「Human Lottrey」(5:32) キャッチーなフレーズにノスタルジックな音を散りばめた、本作の軸の一つとなるロックンロール力作。 小気味よさとなめらかなメロディの流れが絶妙のブレンドを見せる。 ギター・リフ、サビに象徴されるノリのよさは SPOCK'S BEARD を凌ぎ、目まぐるしい展開を 5 分半に収めるセンスは YES に迫る。スライド・ギターも印象的。

  「Gray Flannel Suites」(4:47) 70 年代後半から 80 年代前半風のジャジーなポップチューン。 スタイリッシュなのにいいメロディです。

  「Poem #2」(0:59)

  「High As Pride」(6:45) ロマンティックでやや哀しげなバラード。 ポストロック風のエコー、トレモロとリムショット。 間奏では、スライド・ギターとシンセサイザーがうれし涙にくれるように切なく歌う。 終盤のイコライジングされたヴォイスは、まるで照れ隠しのようで、それがまたいい。

  「American Vacation Tune」(5:18) 切れ味いい生音っぽいギターのストロークがカッコいいギター・ロック。 得意のハーモニーもあって、完全に ECHOLYN 節。

  「Swinin' The Aix」(3:15) ハードロック風のパワー・ギターとエレクトリック・ピアノ、オルガンで迫るサイケデリック・チューン。

  「1729 Broadway」(6:01) 悩ましげな、しかし現実というよりは夢の中にいるようなバラード。

  「Poem #3」(1:50)サックスをフィーチュア。

  「67 Degrees」(5:21)再び、幻想に漂うような作品。 怒りを込めつつも、静かにプログレ。 トレモロをかけたエレピは得意技。

  「Brittany」(6:34) スリムでパンチの効いたオリジナリティあるモダン・プログレッシヴ・ロック。 ドラマティックな展開をもつ作品である。 各場面が自信に満ち溢れた表現であるため、目まぐるしいはずの展開があまりそのように感じられない。 エキゾティックなスパイスも効いている。 PORCUPINE TREE 的な語り口だが、あくまでアメリカン・ロックである。

  「Poem #4」(1:30)

  「Too Lake For Everything」(4:33) アコースティックな音がやさしい、穏かなバラード風の作品。 何をするにも手遅れなんてことは決してないよ、安心おし。

(VR2006-2)

 Mei

 
Christopher Buzby keyboards, vocals
Brett Kull guitar, vocals
Paul Ramsey drums, percussion
Raymond Weston bass, vocals

  2002 年発表の復活第二作「Mei」。 内容は 50 分にわたる熱気と詩情あふれる大作一曲。 胸を打つ弦楽奏からたぎるようなハモンド・オルガン、そして乾いたヴォーカルが、優美にしなやかに物語を綴る大傑作である。 コンテンポラリーな音への思いとヴィンテージ・プログレへの思いを、こんなにも正々堂々とロマンあふれる形で結びつけてしまうとは、やはりこの人たちはただものではない。 モダン・ミュージックの文脈で語られる「プログレ」という言葉の響きにどうにもガマンならないオールド・ファンも、この音なら納得できる。 ジャズ、アメリカン・ロック、ポスト・ロック、ジャム・バンド、トム・ペティから TORTOISE、スタントン・ムーアまでのファンにも自信をもってお薦めできます。 また、前作に比べるといわゆるプログレ度はかなりアップし、ワイルドなオルガンやエレクトリック・ピアノ、目の醒めるようなムーグのプレイ、ギターとの巧みなインタープレイも充実。 小管弦楽セクションとの相性や、若々しいレイ・ウエストンのリード・ヴォーカルと器楽とのバランスもいい。 30 分過ぎの迸るようなクライマックスを経た後のジャジーでパワフルなジャムは圧巻、そして優れた映画を思わせるエンド・シーンと余韻。 個人的には、こんなにおセンチでこんなにカッコいいと、もうどうしていいか分かりません状態です。 ふと心和ませるジャジーな音使いがうれしい。
  プログレ・バンドとしての ECHOLYN を思い切り味わいたいときは、1 時間のヒマを見つけて、用事を済ませてから、本作品を聴くことをお勧めします。

(VR2009)


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