イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「CURVED AIR」。70 年ロンドンにて SISYPHUS を母体に結成。メンバー・チェンジを繰り返しつつ活動し、77 年解散。 サウンドは、紅一点ソーニャ・クリスティーナのヴォーカルとダリル・ウェイのヴァイオリンを中心としたクラシカル・フォーク路線。RENAISSANCE とともに女性ヴォーカルをフィーチュアしたグループの代表格。 サイケデリックな実験色や YES に通じるような込み入ったアンサンブルもあり。
| Sonja Kristina | vocals |
| Darryl Way | vocals, electric violin, piano |
| Francis Monkman | guitar, keyboards, VC3 synth |
| Ian Eyre | bass |
| Rob Martin | bass |
| Florian Pilkington-Miksa | drums |
70 年発表の第一作「Air Conditioning」。
全英 8 位に輝く幸運なデビュー・アルバム。
サウンドは、クラシカルなヴァイオリンの調べとエネルギッシュなロックの融合が生み出す新奇なものであり、美麗なイメージに到達する前の、未完成の味わいが特徴だ。
そして、クラシカルなヴァイオリンと、ファズをギンギンに効かせたサイケ・ギターのミスマッチの面白さに象徴されるように、どこか古臭いアートロック色、つまり洗練され切らないヘヴィさがある。
クリスティーナのヴォーカルも、いわゆるトラッド系の美声ソプラノでなく、コケットにしてドスの効いた「お水」系である。
音楽大の学生がレコード会社にいわれるまま「不良っぽさ」をセールス・ポイントにして売り出したら、意外に当たってしまった、という感じだろうか。
プロデュースはマーク・エドワーズ。
なお、ベースが二人クレジットされているのは、録音直後にロブ・マーティンが脱退したため。
「It Happened Today」(5:02)
せわしないギターとピアノが駆り立てるようなドライヴ感を生み、腰のすわったお色気ヴォーカルが妖艶に迫る、パンチの効いたナンバー。
フォーク・ロック風のメランコリックなメロディと、悩ましげなヴォーカルおよび饒舌なギターによるロックンロールのアンバランスと調和の面白さである。
後半現れる流麗なヴァイオリンが前半のワイルドな展開をかき消すと裏切られたような気持になる。
モンクマンとクリスティーナの作品。
「Stretch」(4:06)
ギターとドラムによるビートが強調された、英国らしいブルーズ・ロック。
ブルージーなギターが、リフにもソロにも活躍する。
もう少し丹念なタッチがあると、WISHBONE ASH に迫ったかもしれない。
ヘヴィにスウィングするスタイルは、パンチのあるクリスティーナのアルト・ヴォイスには合っているようだ。
後半のヴァイオリンとギターの絡みは、かなり無理やり。
モンクマンは、こういうブルーズかかったプレイが得意なようだ。
ウェイとモンクマンの作品。
「Screw」(4:02)
ヴァイオリン、オルガン、ギターのアンサンブルが、上り詰めては自らを解き放つこと繰返す、幻惑的な作品。
空ろな響きとともに高揚感/緊張感もある、不思議な作品だ。
基本的には三者のリフレインのみなのだが、憑かれたような演奏とダイナミクスの変化が、独特の酩酊感を生む。
ヴォーカルもシングル・ノートの呪文であり、全体にマジカルなムードが強い。
歌ものにもかかわらず、インストゥルメンタルのようなイメージである。
クラシカルなヴァイオリンは圧倒的存在感。
ウェイとクリスティーナの作品。
「Blind Man」(3:35)
はにかんだようなヴォーカルがすてきなフォーク・ソング。
伴奏も楽しげだ。
ポクポクいうパーカッションとアコースティック・ギターのコンビネーションは、なぜかドイツ・ロック風。
こういう軽やかな小品にも、ヴァイオリンがピリリとワサビを効かせている。
ちょっとヘンクツかなあと思ってた彼女が、実はとっても可愛いって分かった時のうれしい気分、みたいな曲です。
ウェイとマーティンの作品。
「Vivaldi」(7:33)
バロック・ヴァイオリンがリードするクラシックとロックの融合であり、典型的なプログレ・アプローチといえる作品。
ヴァイオリンは、憂鬱なロマンを感じさせるアルペジオ、カデンツァにおける豊かな音色、シリアスなフレージングにおいて際立った表現を見せる。
カデンツァからエレクトリック・ヴァイオリンによるノイジーな暴走へと突入して、アンサンブルへと帰ってゆく展開は、きわめてスリリング。
「展覧会の絵」におけるエマーソンのキーボード・ソロに匹敵する破天荒さである。
これだけ激情的なエレクトリック・ヴァイオリンのソロには、なかなかお目にかかれないだろう。
ややチープな擬似クラシック風のエンディングにユーモアを感じる。
ウェイの作品。
「四季」なら「冬」。
「Hide And Seek」(6:19)
けたたましいギターとトランス状態のヴォーカル、そして、いびつに傾いだ演奏がミステリアスな印象を残すサイケデリック・ロック。
リズム・テンポの変化もさることながら、わざと音程をぶれさせたような、発散し切らない展開が特徴的であり、かなりフラストする。
アシッドな肌さわりにもクラシカルなフレーズを交えるところは、英国ロックらしいセンスダろう。
ギターだけは、ネジが外れたようにデリカシーのないプレイをぶつけている。
イタリアン・ロックによくある曲調だ。
分厚い化粧とロングヘア、そしてベルボトムが似合いそうな大時代な音だ。
ウェイとクリスティーナの作品。
「Propositions」(3:09)
テンポのいいサイケデリック・ロックンロール。
パンチの効いたヴォーカルが、シンプルな歌メロディに映える。
小気味よくけたたましいギターは、ほとんど THE VENTURES。
ディレイとオーヴァーダブを重ねた能天気なギター・リフには、ややエキゾチックな色あいもあり、B 級 GONG という感じがしなくもない。
ひたすら走り騒ぎ立てるギターに対して、ヴォーカルはやはりクールに斜に構えている。
前曲とともにやや音が割れている。
モンクマンの作品。
「Rob One」(3:27)
優美でロマンチックなインストゥルメンタル。
ほぼピアノ、ヴァイオリン、ドラムのみの演奏だ。
シンプルで美しいテーマを用い、曲線を描くように柔らかな起伏をつけている。
空気の色を描くようなすてきな演奏だ。
ブリッジ的な小品だが、味わいは格別。
品のある落ちついたアンサンブルがなんともいい。
マーティンの作品。
「Situations」(6:24)
やや破綻気味の悪夢のようなサイケデリック・プログレッシヴ・ロック。
ノスタルジックで愛らしいヴォーカル・パートと、アシッドな器楽が不分明のうちに交錯する。
極端なダイナミクスの変化。
執拗な反復。
ネジが外れたように弾きまくるギター。
躁鬱気味のヴォーカル。
酩酊感。
常軌を踏み外した世界である。
ウェイとマーティンの作品。
「Vivaldi And Cannons」(1:37)
エレクトリック・ヴァイオリンとノイジーなシンセサイザーが正面衝突する、過激なインストゥルメンタル。
サイケです。
モンクマンのセンスはやや怪しいのかもしれない。
ウェイとモンクマンの作品。
さまざまな実験が試みられ、サイケデリックな面が強調されたサウンド。
純クラシック調の技巧を誇るヴァイオリンには、凛とした存在感がある。
ただし、その存在感は、ファズ・ギターとぶつかり合うことで生まれる異常な熱気の前でより怪しく姿を歪ませる。
このグループの作風の特徴がそこに凝縮されている。
火元となるモンクマンのギターは、ひたすら野蛮であり、楽曲をまとめるのではなくぶち壊す方向を目指している。
さて、アヴァンギャルドで、強いエネルギーをはらむ作品が未完成の魅力で迫る一方、素朴な叙情性をもつ 4 曲目や 8 曲目は完成された魅力を放っている。
(両曲の作曲に携わったマーティンが脱退しているのは、グループの音楽的な方向性に乱れを感じたせいではないだろうか)
全体を見渡すと、作品のスペクトルが、ハードロックからフォーク、実験風のコラージュまで各メンバーの嗜好そのままに幅広い。
方向はバラバラだし荒っぽいのだが、いきなりの熱気に面くらい、そのまま酔わされてしまう内容といえるだろう。
そしてなんといっても最大の成果は、隣のオネーさん風のクリスティナさんのヴォーカルでしょう。
(WPCP-4222)
| Sonja Kristina | vocals |
| Darryl Way | vocals, electric violin, piano |
| Francis Monkman | guitar, keyboards, VC3 synth |
| Ian Eyre | bass |
| Florian Pilkington-Miksa | drums |
71 年発表の第二作「Second Album」。
ギターはやや抑えられ、モンクマンはメロトロンやオルガン、シンセサイザーに注力する。
そして、デリケートな表情も活かして歌い上げるクリスティナのヴォーカルと相まって、全体にふんわりしたファンタジー色の強いアルバムとなった。
前作のガツンとくる感じがうれしかった人には、やや退屈かもしれない。
逆に、前作の過激さに辟易した人には、次作ほどでないにしろ、アコースティックでデリカシーある表現がうれしいだろう。
ハードなナンバーでもサイケな広がり/ルーズさは抑えられ、タイトで小気味いい演奏になっている。
また、管弦楽も活かされている。
クラシカルなヴァイオリンは、本作の方が座りがいいようだ。
プロデュースはグループとコリン・コールドウェル。
「Young Mother」
シンセサイザーで彩られたメロディアスでロマンティックな歌もの。
インストゥルメンタル・パートでは、切れ味のいいリズムでシンセサイザー、エレピを軸に、小気味よいアンサンブルが続く。
メロディアスなヴォーカル/ヴァイオリンによるメイン・パートと、リズミカルで歯切れいいインストゥルメンタルの対比や、巧みなリズム・チェンジなど、細かやかなアレンジの妙のある力作だ。
サイケというにはたおやかで、フォーク・ロックというには、エレクトロニックな味わいのサウンドは、いかにもこのグループらしい独特のポジションを示している。
「Back Street Luv」
クリスティナのヴォーカルをフィーチュアした、60 年代風のストレートなサイケデリック・ロック。
BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANY 辺りにありそうな曲である。
コギャルの生態のようなストリートっぽいブルージーな内容にもかかわらず、現実感が希薄なのは、ブリッコ風のコケティッシュさとお局 OL のようなクールな無表情が入り交じった独特のヴォーカルのおかげだろう。
「Jumbo」
ストリングス、ピアノが支えるドリーミーなバラード。
歌メロはシンプルな繰り返しであり、ポップス風の聖歌というべきである。
ヴォーカルは、素朴ながらも気品あるテーマを美しい弦楽の調べとともに歌い上げている。
珍しく端正でたおやかな表情が露になっており、アニー・ハズラムにも近いイメージである。
リズム・セクションはなし。
「You Know」
60 年代ビート・ポップの雰囲気もあるシンプルなナンバー。
ファズ・ギターのクランチなリフ、コーラス、ささやかな黒っぽさ。
歯切れいいビート感とちょっとだけ不良っぽい表情。
ヴァイオリンはなし。
「Puppets」
マジカルで不思議な雰囲気のフォーク・ソング。
起伏が少なく、ミニマル・ミュージック風の繰り返しと執拗なビートが妖しい浮遊感を生む。
ジャーマン・ロック風のパーカッションによる呪術性、低音のヴォーカルの惹き込まれそうな魔力。
メロトロンもいい。
「Everdance」
ヴァイオリンをフィーチュアしたテクニカルな演奏へ熱いささやきがカラむ、本グループの作風を象徴するサイケデリック・チューン。
あわただしくもジャズロック的な緊張感のあるアンサンブルと、吐息の如きヴォーカルという奇妙な取り合わせが、みごとにハマっている。
ヴォーカルに火を点けるのは、もちろんつややかなヴァイオリンとシャープで強烈なドラミングである。
タイトル通りフィジカルな高揚を生む内容だ。
「Bright Summer's Day 68」
キュートなヴォーカル全開のコミカルなねじれポップ。
バロック調のチェンバロがフィーチュアされている。
オルガンやチェンバロがクラシカルな表現を見せるのに対して、ヴァイオリンと節操ないギターが安っぽいロックンロール色を強調する。
クリスティナ独特の、焦点の定まらないようなコケットさが、全体にユーモラスな調子を与えている。
「Piece Of Mind」
ミステリアスでいびつなアンサンブルが面白い、プログレッシヴなナンバー。
オープニングのヴォーカルは、まるで邪神に仕える巫女のよう。
ヴォーカルとヴァイオリン、ギターによるテーマは、スリリングにビジーにたたみかけてくる。
長いエンディングともとれる後半のスピーディな演奏は、そのままフェード・アウトした方がよかったのでは。
エピローグ風のシンセサイザーにやや食傷。
12 分あまりの大作。
キーボードやストリングスを多用してメロディアスなフォーク・ロックを彩った好作品。
鮮烈なヴァイオリンと存在感あるヴォーカルをフィーチュアしたアンサンブルは、クラシックからフォークまで幅広い音楽性を見せる。
シンセサイザーやギターに支えられてきらめく演奏は、いわば、エレクトリックなフォーク・ロックであり、RENAISSANCE にも近い。
ただし、こちらの魅力は、品のよさよりも手を伸ばせば届くような親しみやすさにある。
また、一部メンバーは高度な音楽的素養の反動もあってか、過剰なまでにワイルドさにこだわっているようだ。
要は、「アマノジャク丸出し」ということである。
直裁的な表現を意固地に捻じ曲げて、意図的にチープなセンスで押し切っている。
素朴な詩心とワイルドでヘヴィな面、そしてアヴァンギャルドといってもいい大胆さがごちゃごちゃとしているところを、清々しくもコケットなヴォーカルが、テキパキとまとめあげた作品といってもいいだろう。
さて、モンクマンとウェイの音楽学校出身組は、学究肌丸出しで VCS3 の実験に打ち込んでいるのだが、皮肉なことに彼らが目指した実験的な音よりも、ヴァイオリンとキーボードの緊張感あるインタープレイやエキゾチックなアンサンブルや最後の作品のように巧みな構成で神秘的なストーリーを語るセンスの方が、時代を超えた普遍的なきらめきをもっている。
本来、この二人が音楽性をリードする役割を担うべきだったのだろうが、もう一つ冴えがなかったということだろう。
(WPCR-1455)
| Sonja Kristina | vocals, acoustic guitar |
| Darryl Way | vocals, electric violin, piano, tubular bells |
| Francis Monkman | guitar, organ, electirc piano, harpsichord, VC3 synth |
| Mike Wedgwood | bass, acoustic guitar, assorted percussion, vocals |
| Florian Pilkington-Miksa | drums, assorted percussion |
| guest: |
|---|
| Annie Stewart | flute |
| Crispian Steele-Perkins, Paul Cosh, Jim Watson, George Parnaby | trumpet |
| Chris Pyne, Alan Gout, David Purser, Steve Saunders | trombone |
| Frank Ricotti | xylophone, vibes, congas |
| Jean Akers, Mal Linwood-Ross, Colin Caldwell | assorted percussion, hooters |
72 年発表の第三作「Phantasmagoria」。
初期の傑作として名高い作品。
ヴォーカルが冴えるリリカルなナンバーからブラスをフィーチュアしたジャジーなナンバー、エレクトリックでアヴァンギャルドなナンバーまで、得意の幅のある音楽性を生かしたさまざまな作品が、ファンタジーの香りを漂わせつつ収まった玉手箱のようなアルバムである。
アコースティックな美しさに、ジャズ系のゲストによる巧みな運動性とエレクトリックなインパクトが加わり、微妙なバランスの色彩で光るプログレッシヴな音楽になっている。
「Over And Above」はグループの代表作だろう。
なお、作曲者として「Linwood」なるメンバーがクレジットされているが、これはクリスティナが結婚後の名字を使ったため。
プロデュースはグループとコリン・コールドウェル。
「ファンタズマゴリア」とは走馬灯幻想の意。
本作よりベーシストとして、名手マイク・ウェジウッドが参加
「Marie Antoinette」(6:20)
ロマンティックな代表作。
ヴォーカル、ピアノの響きの生む落ちついた雰囲気とロックのワイルドな熱っぽさがいいバランスを保っている。
中間部、風に舞うホィッスル風のシンセサイザーを経て、後半は一気に引きずるようなヘヴィな調子へと突っ込んでゆく。
ジョン・レノンの作風にも通じるのでは。
クリスティナの歌唱もいい表情を見せる。
ウェイ、クリスティナの作品。
「Melinda(More Or Less)」(3:25)
アコースティック・ギターがさざめくメランコリックなフォークソング。
フルート、ヴァイオリンが切なく歌を取り巻く。
クリスティナのヴォーカルはこういう作品で最も輝く。
名曲。
クリスティナの作品。
「Not Quite The Same」(3:44)
悪戯っぽく密やかな歌を管楽器が彩るブラス・ロック小品。
トランペット、トロンボーンらによるブラス・セクションが、クラシカル/ポップス風の表現で、さまざまな雰囲気を支える。
オープニングから RENAISSANCE の大作のように物々しいが、メイン・パートはピアノ伴奏でクリスティーナのヴォーカルが舞い踊る。
シンセサイザーによるキュートな演出もいい感じだ。
ヴァイオリンも終盤少しだけ活躍。
3 拍子を基本にしてテンポを変化させる手法もおもしろい。
ヴォーカルの声域からするとキーがやや低過ぎるのが残念。
ウェイ、クリスティナの作品。
「Cheetah」(3:31)
独奏ヴァイオリンをフィーチュアしたドラマティックかつスリリングなインストゥルメンタル。
ドラムスもなかなか切れがあり、後の THE WOLF を思わせる内容だ。
スピーディな 8 ビートを基本に、大胆にテンポを変化させてゆき、8 分の 6 拍子によるミステリアスなアンサンブルも交える。
本的に、ドラムス、ベース、ヴァイオリン、ギターのカルテットによる演奏だろう。
最後の唸り声がチーター?
ウェイの作品。
「Ultra-Vivaldi」(1:24)
シンセサイザー・シーケンスによるヴァヴァルディのヴァイオリン・カデンツァ。
ウェイ、モンクマンの作品
「Phantasmagoria」(3:13)
フォークと R&B が入り交じった英国ロックらしさあふれるリズミカルな作品。
蓮っ葉ながらもどうしても弾き語り風になってしまうヴォーカルを、ビート風のコーラスやオルガンで支え、ピアノとヴァイオリンがクラシカルなアクセントをつける。
特に、R&B 風のハモンド・オルガンが新鮮だ。
この、えもいわれぬ安っぽさが本グループの特色である。
モンクマンの作品。
「Whose Shoulder Are You Looking Over Anyway ?」(3:23)
クリスティナのヴォーカルやオルガンを電子処理して、編集を加えた音響実験作品。
ノイジーな変調による新規な効果を狙った、一種のサウンド・コラージュである。
効果はまさしくレトロ・フューチャー。
50 年代の米国 SF 映画で BGM として流れそうなサウンドである。
モンクマンの作品。
「Over And Above」(8:33)
切迫感のあるリフレインとともに疾走するプログレらしい大作。
前曲を序奏に、怪しげな雰囲気をまとったまま走り出す。
ブラス・セクションを再びフィーチュアし、大胆な変拍子アンサンブルも駆使する。
そして、抜群の存在感を示すのは、ゲスト奏者のフランク・リコティによるマリンバ、シロフォン。
主としてたたみかけるような調子なのだが、そのなかで、ヴォーカル、ヴァイオリンがメロディアスな存在感を示す。
ヴォーカルがリコティのプレイとともにジャジーななめらかさを発揮すれば、ヴァイオリンは邪悪なリフに加担して、表情に深みをつける。
後半は、シンセサイザー、エレクトリック・ピアノによってジャジーでファンタジックなイメージが強まる。
躍動感あるベース・ラインにも注目。
終盤のブラス・セクションとヴォーカル、ワウワウギターによるパワフルな盛り上がりもカッコいい。
モンクマンの作品。
本グループ屈指のテクニカル・チューンといえるだろう。
「Once A Ghost, Alway A Ghost」(4:21)
ジャジーなイージー・リスニング調のナンバー。
ヴァイブ、ブラス・セクションをフィーチュア。
独特の性急さがあるヴォーカル・パートとラウンジ風の演出が巧みに交差する。
ゲスト奏者のフランク・リコティのヴァイブが冴える。
モンクマン、クリスティナの作品。
(WPCR-1456)
| Sonja Kristina | vocals, acoustic guitar |
| Eddie Jobson | keyboards, electric violin, vocals |
| Kirby Gregory | guitar, vocals |
| Mike Wedgwood | bass, acoustic guitar, vocals, lead vocals on 7 |
| Jim Russell | drums, percussion |
73 年発表の第四作「Air Cut」。
解散、再結成を経た作品。
ギターにカービー・グレゴリー、キーボード、ヴァイオリンに新進気鋭のエディ・ジョブソン、ドラムスにジム・ラッセルを迎えている。
クリスティナ、ウェッジウッドの存在感と音楽性を考えると、やはりこれは CURVED AIR なのだろうが、グレゴリー、ジョブソンのアレンジ力、演奏力なくしては語れない。
内容は、イージーなフォーク・ロックに、目の醒めるようなクラシカルなプレイと冴えたロック・ギターが無造作に放り込まれたものである。
未 CD 化作として長年かまびすしい扱いを受けてきたが、CURVED AIR という雑食性旺盛なバンドの奇妙な味わいはともかく、サウンドの色合いは前作の方が上ではないだろうか。
また、エディ・ジョブソン参加作としても、さらにあれこれかまびすしい扱いを受けているが、本作で最も目を見張るべきは、カービー・グレゴリーのセンスあふれるブリティッシュ・ロックらしいギター・プレイであり、CURVED AIR のロック・バンドとしての真のカッコよさは、彼とジム・ラッセルを獲得することで成立したというべきだろう。
プロデュースはマーティン・ラシェット。
(WPCR-1456)