COLLEGIUM MUSICUM

  スロヴァキアのプログレッシヴ・ロック・グループ「COLLEGIUM MUSICUM」。 60 年代末結成。 作品は七枚。 82 年解散。 キース・エマーソンの影響を受けたマリアン・ヴァルガのプレイを中心にしたクラシカルかつジャジーなキーボード・ロック。 クラシックのモチーフをふんだんに用いた THE NICE スタイルである。

 Live

 
Marian Varga organ
Fedor Freso bass
Dusan Hajek drums,percussion

  73 年発表の「Live」。 キーボード、ベース、ドラムのトリオ編成によるライヴ・アルバム。 内容は、音域広く駆け回るベース、手数多くフィル/ロールしまくるドラムス、そして、クラシックのフレーズを次々と繰り出しては、大見得切って暴れまわるオルガンに典型的なオルガン・ロックである。 THE NICEEL&P の影響はいうまでもない。 強烈なトゥッティによるテーマ演奏から、教会音楽調からジャズ調まで微妙に音色をコントロールするオルガン・ソロへとなだれ込み、テンポ、ヴォリュームの変化によってみごとな抑揚をつけた一体感ある演奏を繰り広げている。 ライヴだけあって、緻密さよりも、大向こう受けするけれん味たっぷりのアドリヴ・プレイが続く。 ベーシストは M-EFEKT のメンバー。 立ち昇る熱気は EL&P の「展覧会の絵」にも匹敵する。

  「Burleska」(Burlesque)(11:01)グループの作品。 テーマ部は強烈なトリオ演奏だが、中間のオルガン・ソロ・パートは即興風で比較的静かな演奏だ。 オルガンのアドリヴに「ユーモレスク」やリストの「カプリース」も現れる。 途中ややジャジーな演奏へと変化するも、結局は「Tarkus」を思わせるモダン・クラシック調のオルガン・プレイが続く。

  「Si Nemozna」(You Are impossible Part 1)(8:54)ヴァルガの作品。 短いクラシックのモチーフをどんどん繰り出してゆく作品。 ハイテンションでせわしないのだが、オルガンは荒々しいプレイのようでいて、じつは端正でオーソドックス。 エマーソンよりもクラシック志向であり、ウェイクマンよりも技巧は本格的だ。 ベースもソロがフィーチュアされ、コード・ストロークという荒業も登場する。 終盤のオルガンがすさまじい。 歓声と交錯するエンディングがカッコいい。

  「Si Nemozna」(You Are impossible Part 2)(8:01)ヴァルガの作品。 ワーグナーを思わせる、勇壮にしてシンフォニックなテーマから、歪みきった音色の轟々たるアドリヴが炸裂する。 その後も、エレクトリックでノイジーな音によるクラシカルなテーマという独自のアプローチが展開する。 エコーを効かせたオルガンの打楽器に近いニュアンスがおもしろい。 最後はホットなテーマ演奏へ。

  「Monumento」(Monument)(14:42)グループの作品。 いきなりディストーション・ベースによるストラヴィンスキーの「火の鳥」のテーマが叩きつけられるオープニング。 テーマはオルガンへと引き継がれ、一気に盛り上がる。 中間にドラム・ソロ。

(OPUS 91 2618-2)

 Marian Varga & Collegium Musicum

 
Marian Varga organ, piano
Dusan Hajek drums
Ivan Belak bass
Jozef Farkas guitar

  75 年発表のアルバム「Marian Varga & Collegium Musicum」。 ギタリストを迎え、4 人編成でのライヴ・アルバム。 バルトークやプロコフィエフの作品を過激に弾き倒す痛快な内容だ。 ハードロックとクラシック、ジャズが、それぞれに高まりを見せつつ交差する、スリリングな瞬間が何度も現われる代表作である。 全曲インストゥルメンタル。 THE NICE 型 のオルガン・ロックとしては屈指のでき映えといえるだろう。

  「Mikrokozmos」(7:23)バルトークの作品。 激しいドラムの連打から、挑発的なオルガンの 7 拍子リフが炸裂するオープニング。 ストレス解消にはもってこいである。 手数の多いドラムとオルガン、ギターが攻めたてる典型的なスタイル。 ピアノが見せるジャズ・テイストや、エコーを施した音響など、細かい味付けもよし。 中間部のエキゾチックなピアノのリフレインとギター・ソロが絡む場面など、「攻め」だけではない幅広さを見せている。

  「Nech Zije Clovek」(16:29)グループのオリジナル作品。 各自のソロをフィーチュアしたジャム風の演奏。 ジャジーなリズム・セクションとブルージーなギター。 クラシカルなテーマで疾走するアンサンブルがみごと。 トルコ行進曲から、一転、オルガンを揺らしてノイズを巻き上げるヴァルガのパフォーマンスは、EL&P の「展覧会の絵」を髣髴させる。 エンディングの重厚なオルガンが、破天荒な展開を強引にまとめる。 邦題は「ある男の為の三つの歓呼」。

  「Preludium C Dur(A Cast Z Baletu Romeo A Julia)」(8:40)プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」より。 残響音を処理したオルガンとチェレステ(?)の組み合わせによる美しいテーマから、転げ落ちるように、オルガンを中心としたアンサンブルが疾走する。 オルガンの音色の変化にも注目。 中間部で繰り広げられる行進曲のハマり具合もみごと。

  「Hudba K Vodometu C.1」(10:38)ヴァルガの作品。 邦題は「泉に捧ぐ No.1」。 変調されたオルガンが鳥のさえずりのような効果を見せるオープニングから、一転してブルージーなロックへと変化する。 ギターが活躍。 中盤でも変調させたノイジーなオルガンを多用している。 ゆらゆらと揺れ動く奇想曲的な雰囲気は、やはりジャム・セッション風というべきだろう。 終盤はヘヴィなリフで攻めたてる。
  「Nesmierny Smutok Hotelovej Izby」(2:37)ヴァルガの作品。 邦題は「ホテルでの素敵な朝」。 印象派とジャズを行き交うようなファンタジックなピアノ・ソロ。 突如、バルトーク風の強打が現れてビックリ。 最後は、電話が鳴って赤ん坊の泣き声が消えてゆく。

(OPUS 9356 0446)

 Divergence

 
Marian Varga piano, Rhodes, Horner D-6, Roland Jupiter-4, Minimoog
 ARP-2600organ, Wersi Helios organ, Roland vocoder
Fedor Freso bass on A1-3
Cyril Zelenak drums, percussion on A1-3, B1-5
Lubos Andrst guitar on A1-3, B1-5
Pavol Hammel vocals on A3,5,9, B6,9,10
Peter Peteraj guitar, guitar synth(Arp Avator)on A4-14, B6-11
Anastasis Engonidis bass on A4-14, B6-11
Pavol Kozma drums, percussion on A4-14, B6,7,9,10
Katarina Rybkova vocals on A10,12
Detsky zbor Cs. on A7,10,12
Vojtek Magyar keyboards on B1,5
Synfonicky Orchestra Cs. B1-5
Karol Morvay drums, percussion on B10,11
Jan Lehotsky vocals on B7,8,11
Slacikove kvarteto on A4-14, B7

  81 年発表のアルバム「Divergence」。 アナログ二枚組の各面毎に趣向を凝らした大作。 FERMATA を思わせるテクニカルにしてダークなジャズロックから、現代音楽的なピアノ曲や歌もの、そして、合唱や管弦楽を伴うクラシカルな作品まで、ヴォリュームたっぷりの内容である。 THE NICEEL&P 的な世界を超えた幅広くトータルな音楽の面白さでは白眉。 ジャズ・フュージョン・タッチが新鮮だ。 ジャケット写真は再発 CD のもの。

  「Refreny」クラシカルなアレンジをたっぷり施したジャズロック。 緊張感あふれる MAHAVISHNU ORCHESTRA 風のアンサンブルから、デメオラばりのアコースティック・ギターなど RETURN TO FOREVER を思わせるプレイも飛び出す。 第二曲は、アコースティック・ピアノ、超絶的なアコースティック・ギターのデュオによる現代音楽風の傑作。 第三曲は、ジャジーにしてブルーズ・フィーリングあふれる M-EFEKT 風の作品。ギターがカッコいいです。
  
  「P.F.(1982.1983...)」キーボードをフィーチュアした近現代クラシック調の歌もの。 全 11 曲から構成される。 チャーチ・オルガン、シンセサイザーらが効果的に使われる。 リズミカルなポップ・チューンもあるのだが、全体としては愛らしくも清らかな賛美歌調である。 LE ORME を思わせるところも。
  
  「Musica Concertante」バンドと管弦楽によるシリアスな近現代クラシック。重厚にしてラヴェルのような華麗さ、富田勲のようなキュートさもある。
  「Sadza Do Obalky」クラシカルなキーボードが伴奏する歌もの。 キーボードは伴奏というよりもヴォーカルとのデュエットのような呼吸である。 元 AFTER CRYING のヴェドレス・サバの芸風に通じる。

(BONTON 497636 2)


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