メキシコのネオ・プログレッシヴ・ロック・グループ「CODICE」。 95 年結成。 2002 年現在の作品は一枚。 唯一作は、ネオ・プログレ系には珍しく、本格的なクラシカル・シンフォニック・ロックの逸品。 グループ名は「古文書」の意。 (英語では Codex、"Vatican codex" のアレです)
| Luis Maldonado | vocals |
| Arturo Garcia | bass |
| Mario Mendoza | keyboards |
| David Martinez | drums, percussion |
| Marco Corona | guitars, keyboards, bass on 2 |
99 年発表のアルバム「Alba Y Ocaso」。
ヴァラエティに富む曲想とクラシカルなサウンドが結びついたシンフォニック・ロックの傑作。
透明感あるキーボードを主に、アコースティックな音でアクセントをつける作風は、まず荘厳であり、品格がある。
演奏の安定感と、明暗/攻守などの曲想のバランスと語り口のよさという点で、90 年代の作品の中では、群を抜いた内容といえるだろう。
GENESIS、EL&P(ベタなモダン・ジャズ調含め)風のプレイも散りばめられたヘヴィかつメロディアスなバンド演奏と、透明感ある女性ヴォーカルなどは、いかにもネオ・プログレ調(ギターやキーボードはモロなプレイも多い)なのだが、それを補って余りあるのが、キーボードの豊かな音色と巧みな音響処理、本格的なアコースティック楽器によるクラシック・アンサンブル、そして全体的なストーリー・テリングのうまさだろう。
ハードロック、ジャズ、クラシック、ポップスなど、一つの曲の中でも多様な変転を繰り返すのだが、それがきわめて自然に聴こえる。
これは、卓越した作曲/アレンジ力によるものだ。
楽曲/アルバム構成という面でも、強引さや不自然さを全く感じさせない、みごとな流れをもっている。
演奏面で特筆すべきは、ベーシストが担当するアコースティック・ギター。
王道的でみずみずしさもあるすばらしい演奏で、アルバム全体の気品ある色合いをキープしている。
たとえていうなら、ロック・オーケストラの中に、さらにもう一つ小さなオーケストラがあるようなイメージである。
そして、メロディ・ラインには、中南米らしさを越えて、遠くギリシャ・ローマにすら思いを馳せさせる、たおやかなラテン・エキゾチズムもある。
官能的な潤いはあるのだが、甘過ぎない。
つまり、プログレとしてのツボを外さないしていないということだ。
現代のプレイヤーにしては、フュージョン色がほとんどなく、70 年代プログレ風味とともにハードロックとクラシックの素養が強く感じられるのも、中南米のグループとしては特徴的だ。
これは、SOLARIS や AFTER CRYING らとも通じる音楽性である。
さらに、EL&P 風のシンセサイザーが高鳴る場面では、アルゼンチンの NEXUS をも思い出してしまう。
オーソドックスにして活きがよく、語り口もなめらかとくれば、文句のつけようがない。
問題があるとすれば、全体の水準が平均的に高いせいか、初めて聴いたときにドキっとするような、または耳をぐいっと惹きつけるような際立つものが感じられないこと。
もちろんこれは、奇を衒うようなところがない、バロックなところがないという意味でもあり、繰り返し耳になじませることによってどんどん味わいが深まってゆくタイプということです。
古典への傾倒を、爽やかな若々しさのうちに昇華した好作品。
CD 二枚組で、二枚目は 50 分以上にわたるインスト主体の超大作。
厳かなグレゴリアン・シャントからチャーチ・オルガン、シンセサイザーのファンファーレ、TANGERINE DREAM 真っ青のシーケンス、そして、バンクス直系の 4+3 オスティナートまで、プログレ・ファンの経典的傑作。
一枚目最終曲の鎮魂歌は、ハマると最高です。
クラシカル・ロック・ファンにはお薦め。
SAGRADO、DOGMA といった南米ロックの涼感もある。
ヴォーカルはスペイン語。
レメディオス・バロとギーガーがまざったような邪悪なジャケットも、なかなかいいのでは。
(ASCD339 006)