イギリスのプログレッシヴ・ロック・グループ「CIRKUS」。70 年結成。作品は、EP や再結成を合わせて三枚。
| Dog | guitars |
| Stu McDade | drums, assorted percussion, backing vocals |
| Derek G.Miller | organ, piano, mellotron |
| John Taylor | bass |
| Paul Robinson | lead vocals |
73 年発表のアルバム「One」。
ポップなメロディとリズミカルな曲調を主にメロトロン、ストリングス・シンセサイザーやオーケストラをフィーチュアしたシンフォニック・ロック。
甘ったるくメロディアスなヴォーカル・ハーモニーは完全にブリット・ポップの流れなのだが、思いのほか荒削りで音数の多い演奏がサイケデリックから初期 YES のようなプログレ路線へと導いている。
メロトロンやシンセサイザーなど、キーボード類はかなり気合の入った使い方を見せている。
このキーボードと手数の多いドラムス、弾き捲くるベースらのせいでプログレ度合いがぐんと強くなっている。
ストリングスは ELO を垢抜けなくしたようなポップス・オーケストラ風の使い方だ。
オブリガートだけではなくバッキングにもふんだんにあしらわれている。
73 年にしてはやや古臭いような気がするのは、リズムの武骨さとメロディやハーモニーが 60 年代ポップス風なせいだろう。
アコースティックでパストラルなムードは英国フォークの流れだが、そこへストリングスが重なるとイタリアン・ポップス的な甘美な味わいすら出てくる。
ひょっとすると元々フォーク・ロックをやっていたのがキーボードに目覚めた結果こうなってしまった、またはベイ・シティ・ローラーズのようなアイドル・バンドを目指すもキーボードに凝ってしまった挙句にこうなってしまったのかもしれない。
もしくは、すでにロックから実験色が後退してエンタテインメント性が強調され始めた時代になってから YES を耳にしてしまったために、こういう道を歩くことになったのかもしれない。
それでも、全体の印象は歌メロによるところが大きくやはりポップでスウィートである。
「シリアスでないプログレ」という感触がアメリカの発掘モノにも通じるのだが、おセンチでウェットなメロディはやはり英国独特といえるだろう。
「You Are」や「Seasons」のような YES もどきの作品よりも、ストリングスを用いたフォーク・タッチの 8 曲目「Jenny」や軽快なボーナス・トラックのシングル作品の方が、このグループには自然であったのではないだろうか。
作曲の中心はドラマーのステュ・マクデイド。プロデュースはグループ。
ボーナス・トラックの 1、2 曲目、71 年の作品「Castles」、「The Heaviest Stone」は小曲ながらも完全に YES や初期の GENESIS のようなシンフォニック・プログレ。
メンバー交代を経た 76 年の作品では一転してモダン・ポップどころかニュー・ウェーヴにすら迫った音を聴かせる。
(RCB 7 / Audio Archive 009)