イギリスのジャズ・ロック・グループ「CIRCUS」。 KING CRIMSON、CAMEL へ参加するメル・コリンズの在籍したグループ。 唯一作は、フォーク系の TRANSATLANTIC レーベルより。
| Mel Collins | flute, tenor saxophone |
| Ian Jeffs | guitars, vocals |
| Kirk Riddle | bass, guitar |
| Chris Burrows | drums |
| guest: | |
|---|---|
| Keith Bleasby | percussion on 3, 8 |
69 年発表のアルバム「Circus」。
ビート・グループが本格ジャズ演奏を試みたようなイメージという点で、初期のジャズロックと呼べるかもしれない作品である。
ギターとベースはエレクトリックが主だが、演奏スタイルはモダン・ジャズ的をなぞるようなものであり、いわゆるクロスオーヴァー色はない。
そして、ヴォーカル・ハーモニーは、まさしく 60 年代英国ビート・スタイル。
デリケートにして頼りなげな風情と、拙くも若々しいジャズへの挑戦が魅力だろう。
サックスとフルートはさすがに明快なプレイが冴えており、ギターもそれに次ぐテクニシャン。
全編、イージーリスニング調にたなびく英国情趣を汲み取れればしめたもの。
ちなみに、アルバム・ジャケットのドラマーは前任者だそうだ。
プロデュースはレイ・シンガー。
「Norwegian Wood」(7:20)
ジョン・レノンの名曲をややアシッドにアレンジ。
ファズ・ギターをフィーチュアし、中盤のアドリヴ大会でサックスとともに盛り上がる。
「Pleasures Of A Lifetime」(8:18)インストゥルメンタルをフィーチュアした幻想的でロマンティックな傑作。
7th を交えたアルペジオが、なぜか初期 KING CRIMSON 風。
そして、サックスがささやき、空ろなヴォーカルをギターとフルートがなぞると、McDonald & Giles と同じ世界が開けてくる。
中盤、8 分の 5 拍子で走るサックス・ソロがカッコいい。
この「ひんやり感」はまさに 60 年代末期英国のもの。
コリンズ作。
「St.Thomas」(3:36)
もちろんソニー・ロリンズだが、ここではなんとフルート、ギターでの演奏。
ベースはダブル・ベース。
なんというか、アーサー・ナイマンかなんかのカヴァー演奏のようである。
コリンズ作。
「Goodnight John Morgan」(1:50)
スタン・ゲッツかレスター・ヤングを思わせるノスタルジックでメローなサックス・ソロによる"埋め草"。
ギターのバッキングなど完全にモダン・ジャズ。
個人的には好みです。フェードアウトはあんまりです。
コリンズ作。
「Father Of My Daughter」(3:21)
メロトロンに聞こえてしまうフルートを用いたソフトなフォーク・ソング。
コリンズ作。
メル・コリンズ氏、ジャズ畑にもかかわらず、フォーク・ソングが好きなようだ。
「II B.S.」(6:33)チャールズ・ミンガスのカヴァー。
スリリングなテーマをもつモダン・ジャズ。
奔放なソロもいいが、サックスとギターのユニゾンとベース・リフが絡むテーマがカッコいい。
「Monday Monday」(4:23)フルートをフィーチュアしたヴォーカル入りのソフトなナンバー。
珍しくドラムが丁寧でいい。
特にすごいことをしなくても、バランスの取れたアンサンブルだけでカッコいいというブリティッシュ・ロックの見本。
フルートはジミー・ヘイスティングスを思わせる軽やかさをもち、ブルーノートの響きでは一歩上をゆく。
ジョン・フィリップス(THE MAMA'S AND THE PAPA'S)作。
「Don't Make Promises」(4:44)ギターのアルペジオ伴奏がすてきなフォーク調ヴォーカル・ナンバー。
ベース、ドラムと次第に加わってゆき、間奏のあでやかなフルート・ソロを経て、一気にテンポ・アップする。
ギター伴奏もジャジーなコード弾きへと変化し、加速するが、律義さは変らず。
ティム・ハーディン作。
(TRANSATLANTIC TRA-207 / ESMCD 926)