イタリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「CONSORZIO ACQUA POTABILE」。 70 年代から活動を続けるベテラン・グループ。 93 年アルバム・デビュー。 2004 年現在、初期のライヴ盤含め作品四枚。 ツイン・ギターにツイン・キーボードを擁した重厚なイタリアン・ロック・サウンド。
| Pippo Avondo | drums |
| Romolo Bollea | keyboards |
| Massimo Gorlezza | electric & acoustic guitar |
| Maurizio Venegoni | keyboards |
| guest: | |
|---|---|
| Riccardo Roattino | electric & acoustic guitar |
| Paul Rosette | voice |
92 年発表のアルバム「...Nei Gorghi Del Tempo」。
超ベテラン・グループによるデビュー作である。
内容は、安定感あるしなやかなメロディアス・シンフォニック・ロック。
ツイン・キーボード(ピアノとシンセサイザー)、ツイン・ギターながら、音を詰め込まず、描写に必要な十分な音でていねいにアンサンブルを綴ってゆく作風である。
優美に歌うところも、リズミカルなところも、演奏には自然な抑揚と流れがある。
叙情的に詠ずる場面と比べると、攻め込みたたみかける演奏はあまり得意ではないようだが、それでも物語のための演出としてきちんと織り込まれている。
ただし、次作以降のようなヨーロッパらしい「濃さ」は、意外なほどない。
むしろ、ポンプを引きずるクリシェがちらほら見られる。
それを引き締めるのは、要所で切り込むグランド・ピアノの重厚華麗なプレイや、悠然たるストリングスの響きである。
本作品のみ参加の美声ヴォーカリストの歌唱も、クラシカルで本格的なものだ。
オペラ風の朗々たる歌唱など、BANCO への憧憬のなせるわざだろう。
(もっとも、4 曲目終盤のエレアコのプレイは、フランコ・ムッシーダなのだが)
レンジの小さい録音、シンセサイザーのサウンド・メイキングなど、製作面に若干の問題があるのが残念。
ヴォーカルはイタリア語。
「Il Mercante」(The Merchant)(9:06)
「In Un Vecchio Castello」(In An Old Castle)(13:13)
「Arnaldo Da Chatillon Crociato」(Arnaldo From Chatillon Crusader)(7:44)
「Vivendo Un Giorno...Solo Di Niente」(Living One Day Only...Of Nothing)(11:01)冒頭、BANCO の「R.I.P」を彷彿させるハードなトゥッティが印象的な作品。
「Traccia...Ora Lo E」(4:50) BANCO の同名作品のテーマを拝借したオマージュ。
(KALIPHONIA KRC003)
| Chicco Mercandino | guitars |
| Luca Bonardi | drums |
| Fabrizio Sellone | keyboards |
| Luigi Secco | bass |
| Maurizio Mercandino | lead vocals |
| Massimo Gorlezza | guitars |
| Romolo Bollea | keyboards |
| Maurizio Venegoni | wind instruments |
98 年発表のアルバム「Robin Delle Stelle」。
ヴォーカリストが新規加入。
内容は、このパワフルかつオペラチックなリード・ヴォーカルと、キーボードを中心としためくるめく器楽アンサンブルが特徴のイタリアン・ロック・リバイバル。
やや HR/HM 風の音使いのギターやドラムス(なぜかバスドラ連打多し)など、全体の音質が現代的なだけで、それ以外は 70 年代の雰囲気そのままである。
長いキャリアと往年のサウンドと現代の音質のブレンドの仕方のイメージから、イタリアの SOLARIS というのが、適切な表現になるかもしれない。
演奏は、重厚華麗であり、肺活量の大きそうな存在感あるヴォーカリストと、アコースティック、エレクトリックすべてにわたり多彩な音色を誇るツイン・キーボードが、その中心である。
10 分くらい平気で歌いまくるので、このヴォーカルとの相性が、全体を聴き通せるかの重厚なカギとなるだろう。
1 曲目だけであきらめると、2 曲目以降のど真ん中なクラシカル・ロックを味わい損ねてしまうので、注意が必要だ。
フルートなど管楽器のアクセントも鮮やか。
ムーグ・シンセサイザーの音は、かなり感動的だ。
「Signori Del Tempo」(14:00)
「Robin Delle Stelle」(12:52)
「Lontana Lucia」(11:11)
「Soli Sull'Olimpo」(18:05)
「Robin....Again」(9.42)
(KALIPHONIA KRC012)
| Maurizio Mercandino | lead vocals |
| Chicco Mercandino | guitars |
| Gigi Secco | bass |
| Massimo Gorlezza | guitars |
| Luca Bonardi | drums |
| Romolo Bollea | keyboards |
| Silvia Carpo | recorders, backing vocals |
| Maurizio Venegoni | MIDI wind controls |
2003 年発表のアルバム「IL Bianco Regno Di Dooah」。
キーボーディストの一人が脱退し、代わりにリコーダー奏者が加入している。
BANCO に通じる往年のイタリアン・サウンドといわれていたが、前作では、ギターに代表されるモダンな音ともったりした 70 年代プログレ風味のバランスに、今一つと思わせるところがあった。
しかし本作は、緩急硬軟に自然な抑揚のある楽曲展開とサウンドがマッチしており、最後まで一気に聴き通すことができる。
やや冗長なところや、リズムがゆれるところもあるのだが、さほど気にはならない。
これはおそらく、トータルなサウンド・イメージがしっかりしているためだろう。
元々 BANCO 的といわれていたのも、演奏そのものよりはツイン・キーボードとオペラチックなヴォーカルいう面をとらえてのことであり、本家ほどトリッキーなまでに敏捷な演奏が得意であったわけではない。
むしろ、シンプルなメロディにさまざまな音を入れ込んだ、丹念な語り口に味わいがあるグループである。
どうやら本作でようやく、持ち味であるクラシカルで一体感のある演奏が楽曲と一つになって、すばらしい芸術をつくりだしたようだ。
たとえば、透明感あるアコースティック・アンサンブルには、みごとな説得力と高い音楽性が感じられる。
こういう場面が美しいと、ヘヴィなハモンド・オルガンで突き進むシーンが、より一層スリリングに感じられるのだ。
これが、彼らが見出した自然でオリジナルな表現スタイルなのだとしたら、心から喝采を送りたい。
とはいえ、エレアコ・ギターがあまりにフランコ・ムッシーダ風だったりするから、やはり微笑ましくはあるのですが。
また、メロトロン・フルートなのか MIDI ウィンド経由なのか分からないが、随所にノスタルジックな音が散りばめられているのもうれしい。
新加入のリコーダー奏者によるハーモニー・ヴォーカルもいい。
メロディ、演奏ともに度肝を抜くようなところがない代わりに、しみじみとしたいい味わいのあるアルバムです。
ピアノの調べにリコーダーが静かに重なり、ぐっと湧き上がるストリングスとともにヴォーカルが始まる場面や、ハモンド・オルガンの凶暴な響きにオーボエの典雅な光射す場面などには、かなりの感動があります。
SITHONIA とともに、ベテラン・グループとしてイタリアン・プログレの火を灯し続けていただきたい。
ジャケットは今回もすばらしい。
もし文句をつけるとしても、HR/HM 調のギター・プレイに品がなく他の部分との相性が悪いこと、音数のわりに印象的なメロディが少ないことぐらいだろう。
8 曲目は、EL&P を連想させるプログレ幻想曲。
10 曲目は、SOLARIS のような硬派なインストと叙情的な歌が絶妙の展開を繰り広げる大作。
(RBN 001)