スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・グループ「BRIGHTEYE BRISON」。2000 年結成。作品は四枚。 2011 年「The Masician Chronicles Part 1」発表。 オールド・スタイルを誠実に継承したメロディック・シンフォニック・ロック。
| Linus Kase | keyboards, saxophones, vocals |
| Johan Oijen | guitar |
| Kristofer Eng | bass, taurus, theremin, flute, vocals |
| Daniel Kase | drums, percussion, vocals |
| Per Hallman | vocals |
2006 年発表のアルバム「Stories」。
内容は、
ヴォーカル・ハーモニーを活かした 70 年代後半英国風のメロディアスなシンフォニック・ロック。
キーボード主体の演奏は、オーセンティックなクラシカル趣味のほかに、中期(A Trick Of The Tail)以降の GENESIS の影響を大きく受けている。
キーボード、ギターともにきわめてテクニシャンのようだが、技巧を凝らすのではなく、ゆったりと懐深くメッセージを紡いでゆく演奏スタイルである。
音を詰め込み過ぎないところが魅力といえる。
最大の特徴は、ソフトなタッチの内側に哀愁をはらんだハーモニーだろう。
若々しいヴォーカルは、声質が甘ければ KAYAK になっただろうが、声に若干の憂いがあり、ややひねったメロディ・ライン(これがすばらしい)とともに英国ロック的というのが最も適切だろう。
個人的には STACKRIDGE を思い出したが、70 年代中盤以降のポップス(10CC や PILOT もしくはテクニシャン振りは UTOPIA あたりでしょうか)、AOR に通じるキャッチーさといえば通じるかもしれない。
そして、自然なジャズっぽさもあって、そういう箇所では CAMEL に近い演奏になる。
鋭く切り換えしてたたみかける演奏もいい感じだ。
もっとも、ヘヴィに迫るといっても、往年のハードロック程度であり、基本は、緩やかでメロディアスな展開である。
プログレ然とするだけではなく、ポップな作品から自然にオルガンやメロトロンが聴こえてくるところが、天晴れだ。
80 年代、英国にこういう音があれば、僕の人生ももう少し悩みが少なかったかもしれない。
プロデュースはグループ。
「Stories」(2:54)
「Patterns」(8:37)
「Isolation」(5:00)
「The Battle Of Brighteye Brison」(6:57)
「Elenah」(1:14)
「Late」(5:22)
「Life Inside」(5:31)
「All Love」(9:02)重厚にして心温まるシンフォニック・チューン。サックスが美しい。ヴォーカルがアンディ・パートリッジ(いやコリン・ムールディングか?)に酷似。
「We Wanna Return」(5:33)
「Stories(reprise)」(3:21)
(PRCD019)
| Linus Kase | keyboards, saxophones, percussion, vocals |
| Johan Oijen | guitars |
| Kristofer Eng | bass, taurus, theremin, mandolin, vocals |
| Erik Hammerstrom | drums |
| Per Hallman | keyboards, vocals |
| guest: | |
|---|---|
| Daniel Kase | xylophone, trumpet |
| Figge Norling | sopken voice |
2008 年発表のアルバム「Believers And Deceivers」。
内容は、もし 80 年代中盤に発表されたならばプログレ・ファンを救済したであろうメロディアスなシンフォニック・ロック。
彼の時代のポップ・テイストにあふれ、なおかつ彼の時代にすでに懐かしかったプログレ・テイストをたっぷりもった、いわば二重のノスタルジーでもって応ずる他はない作品である。
自分がいつを生きているのか分からなくなるという不安を抱かせやすい点を除いて、ほぼ完璧である。
たとえば、3 曲目の大作は、SPOCK'S BEARD ばりのオプティミスティックなシンフォニック・ロックに、
オールド GENESIS、80th ブリット・ポップ(やっぱり XTC と TEARS FOR FEARS)、さらには 70th ジャズロックも味付けをした佳作。
そんな作風があり得るのかという疑問には、ここにあるとしか答えようがない。
とにかく流麗な筆致が魅力である。
透き通るようなソプラノ・サックスから THE FLOWER KINGS への連想も。
4 曲目の超大作は、その流麗な筆致に神秘性が加わってドラマに深みが出る。
このマジカルな無常感は、明らかに 60 年代からの意識変革の試みとその後の虚脱感に端を発すもの(の名残?)、もっと端的にいえば PROCOL HARUM からだろう。
全体に、たたみかけるような演奏ではないのに、さまざまな展開がたたみかけるように現れるという、よく練られたシナリオの存在を感じさせる作風である。
もちろん、お仕着せの「優しさ」や「哀しみ」を振りほどくような、ロックなエッジは立っているし、そこに今がある。
それを忘れたら、もう本当に、自分がいつにいるのかがわからなくなってしまうだろう。
そして、シナリオは終盤に向かうに連れ、パッションとオプティミスティックな力強さが緻密な技巧を凌駕してゆき、結果、夢想的な世界を現実とオーヴァーラップさせることができている。
余韻もいい。
ドラムスは新メンバー(THE FLOWER KINGS の新ドラマーとか)。
プロデュースはグループ。
MANGALA VALIS とともに、ベテランによるネオプログレ超越後の新展開を提示する傑作である。
「Pointless Living」(3:13)XTC とTEARS FOR FEARS の合体のような「ご挨拶」。
「After The Storm」(7:36)1 曲目から数年遡った AOR「風」の作品。「ジャジーで大人な感じ」は 70 年代中盤以降のロックの重要な要素である。
アナログ「風」シンセサイザーが目立つ。
音楽的なサービス精神はきわめて旺盛。
「The Harvest」(20:27)
前 2 曲と比べると、わりとオーソドックスに GENESIS 風のプログレをなぞる佳作。
むろん、サウンドや演奏面の充実度は並大抵ではない。サックスをフィーチュアしたジャジーな表現が「ものすごく」プロっぽい。
「The Grand Event」(34:44)
(PRCD031)