イタリアのネオ・プログレッシヴ・ロック・グループ「AUFKLÄRUNG」。 90 年結成。 グループ名は "Enlightment"(「解明」、「啓蒙」といった意味)のドイツ語表記。 ゲストのヴォーカリストは ASGARD のメンバー。 PICK UP レーベル。 活動はしているようなので、復活希望です。
| Fabio Guadalupi | acoustic & classic & electric guitar |
| Marco Mancarella | keyboards |
| Michele Martello | acoustic & classic & electric guitar |
| Massimo Mignini | drums |
| Luciano Rubini | bass |
| guest: | |
|---|---|
| Chicco Grosso | vocals |
| Edoardo Lecci | flute |
95 年発表の「De' La Tempesta.....L'Oscuro Piacere(嵐と共に、人知れぬ楽しみ)」。
おそらく第一作にして唯一の作品と思われるが、確証はない。
内容は、哀愁の叙情派シンフォニック・ロック。
整然と鳴り渡るシンセサイザーをバックに、ギターがロングトーンで朗々と歌うかと思えば、不安をかきたてるユニゾンで重苦しく攻め立てるなど、変化に富むアンサンブルによる正統的な演奏である。
「大作主義の MARILLION」といってもいいだろう。
そして最大の呼びものは、ツイン・ギターを活かしたアコースティック・ギターのアンサンブル。
ロックのプレイヤーとは思えないほど、本格的なプレイである。
このアコースティックな哀感のあるプレイが、重厚さを引き立てている。
ヴォーカルは、声質にさほど特徴のないポンプ風。
ただし英語は自然である。
フルート奏者が専任ヴォーカリストなのだが、一時的な不在のため ASGARD のヴォーカリストを迎えた、という経緯があるそうだ。
1曲目「Red Shift」(13:03)
吹きすさぶ風の音から始まる叙景的でスケールの大きな作品。
重厚かつ幻想的な序盤、巨大な質量を抱えたままの急旋回からシリアスな展開を見せる中盤、アコースティック・ギターとフルートによるファンタジックなブリッジを経て、リリカルな終章へと進む。
非常にオーセンティックなシンフォニック・ロックである。
中盤のインスト・パートはメロディアスなロングトーン・ギターやチャーチ・オルガンのリードでたたみかけるような激しい展開を見せる。
引き続くアコースティック・アンサンブルとの落差は、まさにクラシカルなイタリアン・ロックの醍醐味。
アコースティック・ギターのプレイは、格調と素朴さが一体となったみごとなものである。
歌メロにあまり印象的なところがない分、全体の構成で見せている。
2曲目「Jetho Van Hall」(10:10)
英国調の田園風味たっぷり歌メロが全編を貫くシンフォニックなフォークロック。
ゲイブリエルの語り口を模したヴォーカルを巡り、アコースティック・ギターのアンサンブル、ブラス風のアナログ・シンセサイザー・ソロが快調なリズムで走る。
最初の間奏部では、重厚なメロトロン・ストリングスのリフレインとともに、邪悪なリフにハケット風ギター・ソロで走るというユニークな取り合わせも見られる。
セカンド・ヴァースに続くギターはやはりハケット。
オルガンとのコンビネーションが懐かしい。
中盤のアップ・テンポの場面はやはり MARILLION 似。
太目のベースの音も本家そっくりだ。
メロトロン風のストリングスが高鳴り、再び重厚なリフレインを経て、終盤はスローな 8 分の 6 拍子でメランコリックなヴォーカルがアコースティック・ギターとオルガンで彩られる。
この終盤のメロディと展開には PROCOL HARUM のような重厚なロマンが感じられる。
全般に硬軟軽重の対比がおもしろい。
「Watcher Of The Skies」的な古式ゆかしいシンフォニック・ロックである。
3曲目「Il Funerale Della Luna」(10:38)
壮麗なインストゥルメンタル・パートと軽快なロックンロールを間奏にもつ哀感あるバラード。
メランコリックなアコースティック・ギター・アンサンブルと、メロトロンの伴奏による哀感の強いヴォーカル・パートから始まる。
淡々と進む演奏は、中盤でインダストリアルなムードが強まるも、重厚かつ幻想的に膨らみ始める。
突如切り込むオルガンの 7 拍子オスティナートは、やや決まり文句風ではあるがインパクトはかなりのもの。
間奏部は、オルガン、シンセサイザー中心に次第に緊張から解き放たれ、華やかなまでの盛り上がりを見せる。
いったんフルートが美しい哀愁のバラードへと回帰し、再びリズミカルな演奏へと進んでゆく。
ロック的な躍動感を主張するパートの存在が、おもしろい。
あまりに切ないアコースティック・アンサンブルの生む繊細な美と、ヘヴィなゴシック美、軽妙なブルーズ調が奇跡的にまとめられている作品だ。
しかし後半の展開はやや散漫。
4曲目「Eclipse - Echo's Wave」(10:51)
雄大なシンセサイザー・オーケストレーションによる、ややニューエイジ風の透明感あふれるオープニング。アコースティック・アンサンブルも、透き通るような美感がある。
フルートとフレットレス・ベースも加わると、いよいよ典型的なヒーリング・ミュージックとなってゆく。
躍動するリズムの始まりと、朗々たるギターとシンセサイザーのメロディ。
風のように重なり合い、浮沈を繰り返す。
緊迫感を高めるベース・パターンとヴォーカル。
フルートのオブリガート・間奏が美しい。
疾走するアンサンブル。
後半は、再びアコースティック・ギターとフルートのアンサンブルから始まる。
ミドル・テンポの悠然とした、そして哀愁ある演奏である。
フルートの転調にともない、ほのかな明るさが生まれてくる。
しかし再びギターは、メランコリックに落ち込み、哀しげなヴォーカルが始まる。
エンディングも、はかないアルペジオ。
そしてアルバムのオープニングへと戻ることが、SEで示唆される。
ニューエイジ風の雄大かつ静謐な演奏から哀愁のヴォーカル・テーマへと進む、ヒーリングまたは映画音楽系シンフォニック・ロック。
2 部構成。
こういう曲調だと、ヴォーカルがネオプロ風なのが、やや鼻につく。
インストでもよかったのではないだろうか。
雰囲気はよくできた美しい曲である。
ギターとシンセサイザーを中心に 70 年代イタリアン・ロックの薬味を効かせたシンフォニック・ロック。
ヴォーカルは英語だが、ピーター・ゲイブリエル調を越えた朗々たる歌唱力がある。
アコースティックに歌うパートとエレクトリックに攻め立てるパートのコントラストは際立ち、曲展開はすばらしくスリリング。
特にクラシック・ギターおよびアコースティック・ギターによるメランコリックな演奏は、ピカイチ。
本格的なクラシックのプレイである。
さて、基本的なメロディ・ラインやアンサンブルの作りは典型的な GENESIS 風なのだが、往年のイタリアン・ロックのダーク・サイド、近年なら ANGLAGARD にも通じる暗さとヘヴィネスが個性的である。
ポンプには珍しい湿り気とクラシカルな哀感がある。
地味ながらも、堅実でツボをおさえたプレイで大作を聴かせる力量は、かなりものといえるだろう。
やはり YES や KING CRIMSON をしっかり勉強しているのだろう。
やや安きに流れることもあるが、ポンプ臭さは気にならない。
メタルっぽさはなく、厚みと重いドラマのあるサウンドです。
以前は中古盤のコーナーにたくさん転がってましたが、最近見かけません。
見つけたら拾ってあげてください。
(PK 1909)