オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・グループ「ALEPH」。 作品は 77 年の一枚のみ。 ヴォーカル、ピアノが目立つ丁寧なポップス調プログレッシヴ・ロック。
| David Highet | bass |
| David Froggatt | guitar, vocals |
| Mary Jane Carpenter | keyboards, vocals |
| Joe Walmsley | vocals |
| Mary Hansen | keyboards, synthesizer |
| Ron Carpenter | percussion |
77 年発表のアルバム「Surface Tension」。
内容は、技巧的な演奏とメロディアスなヴォーカル・テーマが一体となったポップなシンフォニック・ロック。
全体にせわしなく目まぐるしい演奏ながらも、ハイトーン・ヴォーカルと分厚いツイン・キーボードが前面に出て、アクセスしやすくしている。
なにせ、冒頭から「究極」YES を思わせる自信たっぷりのアカペラでびっくりする。
歌メロはおおむねポップであり、曲調はリズミカルなものが主。
また、キーボードの一方はピアノが主であり、もう一方はオルガンとシンセサイザーを担当する。
メロトロンかシンセかはっきりしないが、ストリングス系の音もたっぷり使われている。
落ちついた雰囲気は、主としてピアノが持ち込んでいるようだ。
しかし、このピアノの存在は、ヴォーカルの声質とともにこのバンドの音をやや中途半端にしているような気もする。
本格的であればあるほど良質のポップスへと接近し、プログレ風のしかけある演奏と水と油のように乖離してゆくように思えてならない。
また全体に YES と同じく、ヘヴィなオルガン、テクニカルなギター、ドラムによる鋭角的でリズミカルな演奏とロマンティックなヴォーカルとのアンマッチの面白さがある。
雰囲気は、コーラスこそないのだが、70 年代前半の YES がそのままポップスをやってしまった感じ、もしくは初期の STYX か SUPERTRAMP あたりだろうか。
おそらくこの感触は、プログレが様式化する前の 70 年代初期英国の音を引きずったまま、アメリカナイズされたポップ・フィーリングを身につけたことによるのだろう。
前半は、アップテンポのナンバーからバラードまで、おそらくチャート・インしていたであろうポップス風のヴォーカル・ナンバー。
しかし、細かくリズムを刻む技巧的な演奏とメロトロン?が作るシンフォニックな広がりのおかげで、プログレのフィールドで語られる音になっている。
それでも、作品はアレンジに手がかけられたというよりも、演奏力でなんとかもたせている感じである。
ポップな曲調から考えても、練り込まれたというよりは手持ちの札でなんとかまとめたという印象だ。
一方後半は、クラシカルなキーボード、ギターがフィーチュアされた大作が控える。
ヴォーカル中心のリズミカルな曲調を基本に、アナログらしい多彩な音を用いたみごとなシンセサイザー・ソロ、リズミカルなピアノ、ギター・ソロ、メロトロンによるストリングスからコーラスなどを交えた、シンフォニックな場面も盛り込んでいる。
ストリング・アンサンブルとメロトロンによる雄大さ、伸びやかさとピアノとギターによる小気味よいビート感の対比も面白い。
終盤 5 分は、ドラムスがやや危ういながらも華麗なインストゥルメンタルが続いてゆく。
最終曲は前曲の余韻のままに繰り広げられるシンフォニックなバラード。
ヴォーカルを存分に活かし、ストリングス系のシンセとピアノ、ドラムで盛り上げる。
プロデュースはロン・カーペンター。
基本的には、YES 調のインストもあるポップ・プログレ。
歌メロとピアノ以外は、かなりど真ん中のプログレです。
とはいえ一番目立つのはヴォーカルとピアノ。
3 曲目は忙しくもポップな名曲。
ここの CD 番号はブートレグですが、正規盤も出た模様。
「Banshee」(5:35)
「Man Who Fell」(5:45)
「Morning」(4:16)
「(You Never Were A)Dreamer」(4:20)
「Mountaineer」(14:38)
「Heaven's Archaepelago」(6:34)
(600029)