アメリカのプログレッシヴ・ロック・グループ「AD INFINITUM」。 94 年結成。
| Todd Braverman | keyboards |
| Craig Wall | guitars |
| Goose(Mike Seguso) | vocals |
| IIan Goldman | keyboards |
| Dave Beers | bass |
| Don Dipaolo | drums |
98 年発表のアルバム「Ad Infinitum」。
内容は、YES、中期 GENESIS のマイルドな面を取り出したようなキーボード主体のシンフォニック・ロック。
メロディアスなハイトーンのヴォーカルを、ていねいなキーボードと安定したリズム・セクションが支える、落ちつきと上品な美感のある作品である。
サウンドの色合いやギターのプレイはさすがに現代的だが、目指しているコンテンツは完全に往年のプログレッシヴ・ロックである。
テンポの変化に乏しく反復が多いこと、キーボードのソロが長いこと、ヴォーカルの歌い込み方に変化があまりないことなどから、全体に一本調子に聴こえるのだが、よく聴くと細やかな音使いが随所で現れていて、作曲/アレンジがとてもしっかりしていることが分かる。
ただし長い作品が多いため、そこに気づくまで、集中力がもたずに飽きてしまう危険がある。
長い曲でもテンポやリズム、アンサンブル、音量の変化をつけて場面を展開すれば、切り替えのタイミングでリスナーの気を引くこともできると思うのだが、本作のスタンスはあえてそれをやらず、じっくりとした語り口についてこられる人のみを対象としている様な気がする。
ケレン味なんてなくても真っ向メロディとハーモニーで勝負できるという自負なのかもしれない。
しかし、そもそもそのケレン味というか、意外な展開こそがプログレの醍醐味(というか基本的にエンタテインメントの重要な要素)のように思うので、それをあえて捨ててしまうというのは、いささか大胆すぎないだろうか。
ただし、メロディやサウンドそのものはとても練られているので、ハマるとかなり陶酔できるのも間違いない。
個人的には、荒々しさが加わるともっとセクシーになったと思います。
佳作ですが、リスナーを選ぶ作品といえるでしょう。
スティーヴ・ハウを現代的にしたようなギター、小気味いいハモンド・オルガン、きらめくシンセサイザー、透明感あるアコースティック・ギターなどいい音はたくさんあります。
(もっとも、21 世紀に入った辺りからロックでは 60 年代風の音が主流を占めつつあるので、ここでの音は、後には 90 年代の典型といわれるのかもしれない)
9 曲目の大作が、本作の中では例外的に動きを感じさせる、変化に富んだ傑作。
GLASS HAMMER や CAIRO といった 90 年代初期から活動するアメリカン・プログレ・リヴァイヴァル派の中においてもなかなかの力作。
80 分近く楽しめます。
ジャケットは御大ロジャー・ディーン。
「Ad Infinitum」(8:26)
「Immortality」(7:02)
「Waterline」(11:00)
「Physician Heal Thyself」(4:23)
「A Winter's Tale」(10:22)
「Rain Down」(3:21)
「Overland」(8:43)
「All Hallows Eve」(8:29)
「Neither Here Nor There」(11:19)
「Ad Infinitum (Reprise)」(2:27)
(KINESIS KDCD 1022)